ローン返済額だけでは住居費を小さく見積もる

毎月の返済額は一定でも、持ち家には年払い・不定期の支出があります。支払月だけ貯蓄を取り崩す方法では、金利上昇や収入減と重なったときに資金繰りが崩れやすくなります。

本ページでは戸建てを想定し、固定資産税など、火災・地震保険の更新準備、点検・小修繕の積立を月割りします。マンションの管理費・修繕積立金を扱う管理費込みの負担率とは、年払いを月次予算へ直す点が異なります。

年払い費用を月額へ直す

試算用の内訳は次のとおりです。実際の平均ではありません。税額は納税通知書、保険は次回更新見積もり、修繕は過去の支出と今後の計画を使います。

項目仮定年額毎月の積立確認する資料
固定資産税など180,000円15,000円納税通知書
火災・地震保険の更新準備60,000円5,000円保険証券・更新見積もり
点検・小修繕の積立180,000円15,000円点検記録・修繕計画
合計420,000円35,000円毎年更新

各年額を12で割った単純な積立額です。支払時期と金額が確定している費用は、残り月数で割る方が正確です。たとえば半年後に12万円なら、今から月2万円を確保します。

年420,000円は月35,000円です。ローン返済79,208円に足すと、現在の実質住居費は月114,208円になります。通帳に見える返済額だけより35,000円大きい金額です。

年額別に実質住居費を比べる

物件ごとの差を確認するため、年払い・修繕積立の合計を年18万〜60万円で置きます。手取り月収は500,000円の仮定です。

年払い等の合計毎月積立ローン込み住居費手取りに占める割合
180,000円15,000円94,208円18.8%
300,000円25,000円104,208円20.8%
420,000円35,000円114,208円22.8%
600,000円50,000円129,208円25.8%

ローン返済は残債3,000万円・残り35年・年0.6%の元利均等額で固定し、年払い等の合計だけを変えています。割合は審査上の返済負担率ではなく手取りに対する実質住居費です。

年額が18万円から60万円になると、毎月積立は35,000円増えます。築年数が進み修繕見込みが増えたら、ローン金利が同じでも住居費予算を更新する必要があります。

金利上昇後は実質住居費がいくらになるか

年払い等を年420,000円に固定し、ローン金利だけを上げた感応度です。返済額改定後に必要な月額を確認します。

金利上昇上昇後金利ローン返済毎月積立実質住居費手取り比
+0%0.6%79,208円35,000円114,208円22.8%
+0.5%1.1%86,091円35,000円121,091円24.2%
+1%1.6%93,331円35,000円128,331円25.7%
+1.5%2.1%100,925円35,000円135,925円27.2%
+2%2.6%108,863円35,000円143,863円28.8%

残債と残り期間を固定し、上昇後金利で返済額を再計算しました。5年ルールによる反映の遅れや125%上限は入れていないため、改定後に必要となる返済能力の比較です。

金利+1.5ポイントではローン返済が月100,925円、積立を含む実質住居費は135,925円です。ローンだけなら見落とす35,000円を先に確保してから、生活費に回せる残額を出します。

支払月の赤字と年間の赤字を分ける

固定資産税を一括で払う月に赤字でも、毎月積み立てた専用資金から払えるなら家計全体の赤字ではありません。反対に、支払月だけ貯蓄を取り崩し、その補充を計画していなければ年間では予算不足です。

口座を分ける必要はありませんが、家計簿上は「使ってよい預金」と「年払い用に確保済みの預金」を区別します。金利上昇の備えと年払いの備えを同じ残高で二重に数えないことが重要です。

修繕費は毎年同額ではない

税金や保険と違い、修繕は支出時期が偏ります。月割りは資金を準備する方法であって、毎年同じ金額が必要という意味ではありません。数年以内の給湯器、外壁、屋根、水回りなど、見込める支出は個別に期限と金額を置きます。

予定外の故障まで平均額だけで吸収できるとは限らないため、年払い用積立とは別に生活防衛資金を残します。必要月数は住宅ローン返済中の生活防衛資金で確認できます。

毎年の見直し手順

  1. 最新の納税通知書から年間税額を転記する
  2. 保険の満期までの月数と更新見積もりを確認する
  3. 点検結果から5年以内の修繕予定を一覧にする
  4. 各金額を支払日までの月数で割る
  5. 合計を住宅ローン返済額へ足し、金利上昇ケースでも黒字か確認する

税額や保険料が前年と同じとは限りません。住宅ローンの年末残高を確認する時期など、年1回の固定日を決めて更新すると漏れにくくなります。

年払い住居費についてよくある質問

固定資産税はいくらで見積もればよいですか

一般的な比率ではなく、自分の納税通知書の年額を使います。購入直後で通知書がない場合は、仲介会社や自治体、売主に確認した概算を仮置きし、通知後に更新します。

保険料は支払った年だけ家計に入れればよいですか

更新年だけ計上すると平年の住居費を小さく見せます。次回更新見積額を満期までの月数で割り、毎月の確保額として入れます。

修繕積立と生活防衛資金は同じですか

別に管理する方が安全です。予定修繕の積立は使途が決まった資金で、失業や病気などに備える生活防衛資金として二重に数えません。

まとめ

  • 年払い費用は12か月、または支払日までの月数で割る
  • 仮定年420,000円なら月35,000円をローン返済とは別に確保する
  • 現在の実質住居費114,208円は、金利+1.5%で135,925円になる
  • 年払い積立と生活防衛資金を同じ預金で二重に数えない