毎年100万円を続けると完済は何年早まるか
条件は借入3,000万円・35年・元利均等・金利0.6%・2026年9月返済開始で、 毎月の返済額は79,208円です。ここに毎年1回、12回目の返済を終えた直後に期間短縮型で繰上げ返済を入れる操作を、 残債がなくなるまで繰り返します。手数料は0円として計算しています。
| 毎年の繰上げ額 | 繰上げ回数 | 投入した総額 | 完済までの期間 | 短縮 | 総利息 | 利息の削減額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 繰上げなし | — | — | 35年 | — | 326.7万円 | 基準 |
| 50万円 | 22回 | 1,100.0万円 | 22年3ヶ月 | 12年9ヶ月 | 207.2万円 | 119.6万円 |
| 100万円 | 16回 | 1,600.0万円 | 16年5ヶ月 | 18年7ヶ月 | 153.0万円 | 173.8万円 |
| 200万円 | 11回 | 2,056.7万円 | 11年 | 24年 | 102.2万円 | 224.5万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。期間短縮型のため毎月の返済額は79,208円のまま変わりません。最後の1回は残債分だけを入れているため、投入した総額が毎年の額の整数倍にならない行があります。
毎年100万円を続けた場合、繰上げ返済は16回で残債がなくなり、完済までの期間は16年5ヶ月、 当初の35年より18年7ヶ月早まります。利息は326.7万円から153.0万円へ、 1,737,527円減りました。
年額を50万円から200万円へ4倍にしても、削減額は119.6万円から224.5万円と 1.9倍にとどまります。増やした分だけ完済が早く来て、利息が付く期間そのものが消えるためです。 大きく変わるのは削減額より完済までの期間のほうで、22年3ヶ月から11年まで縮みます。
何年続けるかで効き目はどう落ちるか
毎年100万円を、途中でやめた場合も含めて比べます。最後の列は投入した100万円あたり、いくら利息が減ったかです。
| 続ける年数 | 投入した総額 | 完済までの期間 | 短縮 | 利息の削減額 | 100万円あたりの削減額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3年 | 300.0万円 | 31年3ヶ月 | 3年9ヶ月 | 61.6万円 | 205,350円 |
| 5年 | 500.0万円 | 28年9ヶ月 | 6年3ヶ月 | 94.7万円 | 189,351円 |
| 10年 | 1,000.0万円 | 22年11ヶ月 | 12年1ヶ月 | 151.2万円 | 151,196円 |
| 15年 | 1,500.0万円 | 17年5ヶ月 | 17年7ヶ月 | 173.2万円 | 115,471円 |
| 完済まで(16回) | 1,600.0万円 | 16年5ヶ月 | 18年7ヶ月 | 173.8万円 | 108,595円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。表の「続ける年数」は繰上げ返済を実行した回数で、そのあとは通常どおり返済を続けた前提です。
100万円あたりの削減額は、3年でやめた場合の205,350円から、完済まで続けた場合の108,595円まで落ちます。 繰上げ返済が減らすのは「その残高に、残りの期間ぶん付いていたはずの利息」なので、 残高も残り期間も小さくなった後半に入れる分ほど、消せる利息が少なくなります。
15年続けた時点の削減額は173.2万円で、完済まで続けた場合の173.8万円との差は5,465円しかありません。 終盤の繰上げ返済は、完済を早める効果はあっても、利息の削減という点ではほとんど頭打ちになります。 1回だけ入れる場合の時期による差は繰上げ返済は早いほど得かで扱っています。
毎年に均すか、初めにまとめて入れるか
同じ総額を用意できるとして、毎年100万円ずつに分けた場合と、1年目の返済を終えた時点でまとめて入れた場合を比べます。
| 投入する総額 | 毎年に均す | 1年目にまとめて | 削減額の差 | 完済までの期間(均す→まとめて) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円(年100万円×3年) | 61.6万円 | 63.8万円 | 21,471円 | 31年3ヶ月 → 31年3ヶ月 |
| 500万円(年100万円×5年) | 94.7万円 | 101.7万円 | 70,210円 | 28年9ヶ月 → 28年9ヶ月 |
| 1,000万円(年100万円×10年) | 151.2万円 | 181.4万円 | 301,834円 | 22年11ヶ月 → 22年7ヶ月 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも期間短縮型で、手数料は0円としています。「削減額の差」はまとめて入れた場合が多い分です。
まとめて入れたほうが利息は減りますが、差は300万円で21,471円、1,000万円で301,834円です。 1,000万円のケースでも、まとめて入れた場合の削減額181.4万円に対する差は16.6%です。 完済までの期間の差は4ヶ月(22年11ヶ月と22年7ヶ月)で、 300万円と500万円のケースでは完済の月まで同じです。
つまり「まとめて出せる現金がないから毎年に分ける」という選び方をしても、失う額は限定的です。 逆に、手元資金を先に使い切ってまとめて入れる形にすると、想定外の支出に現金で対応できなくなります。 手元にいくら残すかは生活防衛資金はいくら残すかで計算しています。
金利が高いほど毎年の繰上げは効く
毎年100万円を10年続けた場合を、適用金利別に比べます。繰上げ返済が消しているのは利息なので、金利が高いほど消せる額も大きくなります。
| 適用金利 | 毎月返済 | 繰上げなしの総利息 | 10年続けた場合の総利息 | 利息の削減額 | 短縮 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.6% | 79,208円 | 326.7万円 | 175.5万円 | 151.2万円 | 12年1ヶ月 |
| 1% | 84,685円 | 556.8万円 | 294.4万円 | 262.3万円 | 12年5ヶ月 |
| 1.5% | 91,855円 | 857.9万円 | 444.3万円 | 413.6万円 | 12年9ヶ月 |
| 2% | 99,378円 | 1,173.9万円 | 594.9万円 | 579.0万円 | 13年2ヶ月 |
| 2.5% | 107,248円 | 1,504.4万円 | 745.3万円 | 759.1万円 | 13年8ヶ月 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・35年・元利均等で、金利だけを変えています。
同じ1,000万円を投じても、削減額は金利0.6%で151.2万円、 2.5%で759.1万円と5.0倍の開きがあります。 短縮できる期間も12年1ヶ月から13年8ヶ月へ伸びます。
変動金利で借りていて、これから金利が上がる場面を想定するなら、この表は「上がったときに繰上げ返済の効きも上がる」ことを示しています。 ただし同時に、毎月の返済額そのものも上がるため、繰上げ返済に回せる余力は減ります。どちらが先に効くかは家計の余白次第です。
期間短縮型と返済額軽減型のどちらで続けるか
毎年100万円を10年続ける前提で、2つの方式を比べます。期間短縮型は毎月の返済額を据え置いて期間を縮め、返済額軽減型は期間を据え置いて毎月の額を下げます。
| 方式 | 10年後の毎月返済 | 完済までの期間 | 総利息 | 利息の削減額 |
|---|---|---|---|---|
| 繰上げなし | 79,208円 | 35年 | 326.7万円 | 基準 |
| 期間短縮型 | 79,208円 | 22年11ヶ月 | 175.5万円 | 151.2万円 |
| 返済額軽減型 | 48,106円 | 35年 | 235.4万円 | 91.4万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。どちらも毎年100万円を10回入れた前提で、手数料は0円としています。
利息の削減額は期間短縮型151.2万円に対し、返済額軽減型は91.4万円で、差は598,139円です。 一方で返済額軽減型は、10年続けた時点で毎月の返済が79,208円から48,106円へ、31,102円下がります。 削減額の差は、この毎月の余裕を買った代金にあたります。
どちらを選ぶかは、毎月の支出を軽くしたいのか、総額を減らしたいのかで変わります。 方式ごとの違いは期間短縮型と返済額軽減型どっち、 1回あたりの下げ幅は繰上げ返済で月額を下げるでも扱っています。
縮めすぎると住宅ローン控除が外れる
期間短縮型を続けるときに、金額以外で効いてくるのが住宅ローン控除の要件です。 国税庁は、控除の対象となる借入金の要件として 「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの」であることを挙げています (国税庁 No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等)。 繰上げ返済をした場合の扱いについては、 「繰り上げて支払ったことにより償還期間が短くなったとしても、当初の契約により定められていた最初に償還した月から、その短くなった償還期間の最終の償還月までの期間が10年以上であれば、本年以後も住宅借入金等特別控除を受けることができます」とし、 10年以上に該当しなくなった場合は「その該当しなくなった年以後については住宅借入金等特別控除を受けることはできない」としています (国税庁 質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」)。
判定に使うのは最初の返済月から、短縮後の最終返済月までの期間です。そこで、毎年の繰上げ額別に完済までの期間を並べました。
| 毎年の繰上げ額 | 繰上げ回数 | 完済までの期間 | 最初の返済からの月数 | 10年以上か |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 16回 | 16年5ヶ月 | 197ヶ月 | 満たす |
| 200万円 | 11回 | 11年 | 132ヶ月 | 満たす |
| 220万円 | 10回 | 10年 | 120ヶ月 | 満たす |
| 240万円 | 9回 | 9年10ヶ月 | 118ヶ月 | 満たさない |
| 300万円 | 8回 | 8年 | 96ヶ月 | 満たさない |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。10年=120ヶ月として、完済までの月数と比べています。控除の適用可否はほかの要件も満たす必要があり、個別の判断は税務署にご確認ください。
この条件では、毎年220万円なら完済までがちょうど120ヶ月で10年以上を満たしますが、 毎年240万円にすると完済が9年10ヶ月となり、120ヶ月を下回ります。 年額の差は20万円ですが、境目をまたぐと控除の扱いが変わります。
控除期間が残っている間は、繰上げ返済で年末残高が減ることによる控除額の減少も併せて見る必要があります。 この論点は控除中の繰上げ返済は損かで計算しています。
10年続けた後、金利上昇にどれだけ強くなるか
毎年100万円を10年続けると、2036年9月時点の残債は1,178.6万円・残り12年11ヶ月になります。 続けなかった場合は残債2,206.1万円・残り25年です。 この2つの状態に、そこから10年かけて一定ペースで金利が上がる仮定を当てました(金利の予測ではなく、あくまで仮定です)。
| 上昇幅 | 到達金利 | 繰上げあり: 改定後返済額 | 繰上げあり: 以後の支払総額 | 繰上げなし: 改定後返済額 | 繰上げなし: 以後の支払総額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 据え置き | 0.6% | 78,936円 | 1,225.1万円 | 79,208円 | 2,376.2万円 |
| +1.0ポイント | 1.6% | 81,675円 | 1,259.1万円 | 84,244円 | 2,575.2万円 |
| +2.0ポイント | 2.6% | 84,494円 | 1,294.6万円 | 89,522円 | 2,791.5万円 |
| +3.0ポイント | 3.6% | 87,396円 | 1,331.7万円 | 95,048円 | 3,026.2万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。「以後の支払総額」は2036年9月以降に支払う額の合計で、それまでに払った返済額と繰上げ返済の1,000万円は含みません。改定後返済額は2041年8月の改定時点の額です。据え置きの行で繰上げありの額が79,208円をわずかに下回るのは、改定時にその時点の残債と残り期間で計算し直すためです。5年ルール・125%ルールがある前提で計算しています。
金利が据え置きだった場合と3.0ポイント上がった場合を比べると、以後の支払総額の増え方は、 繰上げありで106.6万円、繰上げなしで649.9万円です。 金利上昇による負担増そのものが、およそ6.1分の1に縮んでいます。 残債と残り期間の両方が小さくなっているためで、繰上げ返済は総額を減らすだけでなく、金利が動いたときの振れ幅も小さくします。
未払利息が出る金利(危険水位)も、繰上げありで8.06%、繰上げなしで4.31%と差が付きます。 表の4つの上昇幅では、どちらの状態でも未払利息は発生しませんでした。 2041年8月の改定では、いずれのケースも125%ルールの上限には当たっていません。 上限に当たる水準までの余白については金利は何%まで耐えられるかで扱っています。
どこで止めるかの判断基準
続ける年数別の表が示すとおり、毎年の繰上げ返済は続けるほど1円あたりの効きが落ちます。 10年続けた時点で100万円あたり151,196円、15年で115,471円です。 この数字を、同じお金を別の使い道に回した場合と並べると、続けるかどうかの判断がしやすくなります。
判断の順序としては、まず控除期間が残っているかを見ます。控除が残っている間は、繰上げ返済で年末残高が減ると控除額も減るため、 利息の削減額だけで比べると効果を大きく見積もることになります。 次に、償還期間が10年を下回らないかを確認します。償還期間の表にある境目をまたぐと、金額の損得より制度の扱いのほうが大きく効きます。
最後に、手元資金です。繰上げ返済に回した現金は、原則として戻ってきません。 毎年の繰上げを止めても残債は予定どおり減り続けますが、現金が尽きた状態で収入が減ると、選べる手が一気に減ります。 止める判断は損ではなく、余白を優先した選択として扱ってかまいません。
始める前に確認する手順
1つ目は、返済予定表で残債・適用金利・残り回数を確認することです。当初借入額ではなく現在の残債で計算しないと、効果を大きく見積もります。 見る場所は返済予定表の見方にまとめています。
2つ目は、契約先の繰上げ返済の条件です。手数料の有無と額、1回あたりの最低金額、受付の方法(窓口・インターネット)、 期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選べるかは金融機関により異なります。 毎年続ける前提なら、1回あたりの手数料は回数分かかるため、削減額から差し引いて考えます。
3つ目は、実行の時期を決めることです。ここでは12回目の返済直後という前提で計算しましたが、 賞与の時期や年末残高(控除の計算基礎)との関係で、同じ年でも入れる月によって結果は変わります。 年末残高に影響する時期については、契約先と税務署に確認したうえで決めてください。
毎年の繰上げ返済についてよくある質問
毎年100万円を続けるのと、毎月8万円ずつ多く払うのは同じですか
このページで計算しているのは、通常の返済とは別に年1回まとめて元金を減らす方法です。 毎月の返済額を増やす方法は、金融機関によって扱いが異なり、返済額の変更として審査や手続きが必要になる場合があります。 取り扱いは契約先にご確認ください。なお計算上は、元金を減らす時期が早いほど利息の削減額は大きくなります。
途中でやめると、それまでの繰上げ返済は無駄になりますか
無駄にはなりません。続ける年数別の表のとおり、3年でやめた場合でも完済は3年9ヶ月早まり、利息は61.6万円減ります。 繰上げ返済で減った残債は元に戻らないため、やめた後もその分の効果は残ります。
変動金利が上がったら、繰上げ返済は優先度を上げるべきですか
金利が高いほど繰上げ返済で消せる利息は大きくなります(適用金利別の表)。 一方で、返済額が改定されると毎月の支出も増えるため、繰上げ返済に回せる額自体が減ります。 どちらを優先するかは家計の余白によるので、このサイトでは金利上昇後の毎月返済額を先に計算し、 そこから余る額で繰上げ返済の計画を立てる順序を想定しています。
まとめ
- 毎年100万円を完済まで続けると、完済は18年7ヶ月早まり、利息は173.8万円減る
- 100万円あたりの削減額は3年でやめれば205,350円、完済まで続けると108,595円まで落ちる
- 同じ1,000万円を1年目にまとめて入れた場合との差は301,834円にとどまる
- 期間短縮型で償還期間が10年を下回ると住宅ローン控除の対象外になるため、年額の上限は金額の損得だけでは決まらない
- 10年続けた後は、金利が3.0ポイント上がったときの支払総額の増え方が649.9万円から106.6万円へ縮む