毎月返済を据え置くと、頭金300万円は期間4年1ヶ月の短縮にあたる
借入3,000万円・35年・金利1%・元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は84,685円です。 この返済額を変えずに、頭金を300万円増やして借入を2,700万円にすると、 完済は371回目、つまり30年11ヶ月で終わります。35年に対して4年1ヶ月早い計算です。
つまり「頭金300万円」と「期間4年1ヶ月の短縮」は、完済時期という一点では同じ結果になります。 ただし、そこに至る払い方が違うため、総利息と毎月の負担は一致しません。3通りを並べます。
| 方式 | 借入額 | 毎月返済 | 完済まで | 総利息 | 頭金として出す現金 | 総支出 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| そのまま(頭金を増やさない) | 3,000万円 | 84,685円 | 35年 | 557万円 | 0円 | 3,557万円 |
| 頭金を300万円追加(毎月据え置き) | 2,700万円 | 84,685円 | 30年11ヶ月 | 440万円 | 300万円 | 3,440万円 |
| 頭金は増やさず期間を短縮 | 3,000万円 | 94,039円 | 30年11ヶ月 | 489万円 | 0円 | 3,489万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。総支出は頭金として出す現金と総返済額の合計で、物件価格や諸費用は含みません。「そのまま」は300万円を頭金に回さず手元に残した場合の数字です。
頭金を追加した場合の総利息は440万円で、そのままの場合より117万円少ない結果です。 一方、頭金を増やさずに完済月だけを30年11ヶ月にそろえると、総利息は489万円。 同じ完済月でも49.2万円の差が残ります。残高が大きいまま返す期間が長い分、利息が積み上がるためです。
差49.2万円の中身は「いつ払うか」
期間短縮方式は、頭金方式より毎月9,354円多く払います。完済までの返済総額では 349.2万円多い計算です(最終回の精算額が違うため、毎月の差額に371を掛けた額とは一致しません)。 これに対して頭金方式が先に出す現金は300万円。 差額の49.2万円が、借入額を先に削らなかったことへの利息にあたります。
言い換えると、同じ完済月に着地させるなら、資金を先に入れる方が支出は少なく済みます。 ただしそれは「300万円を今、手放せる」場合の話です。頭金に回した現金は、返済が終わるまで戻ってきません。 期間短縮方式は現金を残したまま同じ完済月を作れる代わりに、毎月9,354円の固定費を30年11ヶ月背負います。
頭金額別|何年何ヶ月の短縮に相当するか
毎月返済を84,685円に固定したまま、追加する頭金の額だけを変えた結果です。 右の2列は、同じ完済月を頭金なしの期間短縮で作った場合との差です。
| 追加する頭金 | 借入額 | 完済まで | 短縮幅 | 総利息 | 期間短縮なら毎月 | 毎月の差 | 総利息の差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1,000,000円 | 2,900万円 | 33年8ヶ月 | 1年4ヶ月 | 516万円 | 87,488円 | 2,803円 | 18.7万円 |
| 3,000,000円 | 2,700万円 | 30年11ヶ月 | 4年1ヶ月 | 440万円 | 94,039円 | 9,354円 | 49.2万円 |
| 5,000,000円 | 2,500万円 | 28年3ヶ月 | 6年9ヶ月 | 371万円 | 101,619円 | 16,934円 | 74.2万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入3,000万円・35年・金利1%・元利均等を基準に、頭金の追加額だけを変えています。
頭金100万円で1年4ヶ月、300万円で4年1ヶ月、500万円で6年9ヶ月の短縮です。 頭金100万円あたりの短縮幅に直すと16.0ヶ月、16.3ヶ月、16.2ヶ月で、ほぼ横ばいです。 この条件では「頭金を2倍にすれば短縮幅もおおよそ2倍」という読み方で足ります。 一方で毎月の差の列は2,803円から16,934円へ、総利息の差は18.7万円から74.2万円へ広がります。
自分の条件で見るときは、追加できる頭金の額と、その額を手元に残した場合に毎月いくら上乗せできるかを並べてください。 毎月の上乗せ余力が「期間短縮なら毎月」の列に届かないなら、期間短縮方式は選択肢から外れます。
金利が高いほど、頭金と期間短縮の差は開く
頭金300万円の追加に固定し、金利だけを変えた結果です。金利はユーザーが入れる前提で、予測はしていません。
| 金利 | 基準の毎月返済 | 短縮幅 | 頭金方式の総利息 | 期間短縮の総利息 | 総利息の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.6% | 79,208円 | 3年10ヶ月 | 261万円 | 290万円 | 29.1万円 |
| 1% | 84,685円 | 4年1ヶ月 | 440万円 | 489万円 | 49.2万円 |
| 1.5% | 91,855円 | 4年5ヶ月 | 667万円 | 742万円 | 75.0万円 |
| 2% | 99,378円 | 4年9ヶ月 | 898万円 | 1,001万円 | 102.6万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。頭金の追加額を300万円に固定し、金利だけを変えています。
金利0.6%では総利息の差は29.1万円、金利2%では102.6万円。 金利が高い局面では、同じ300万円を先に入れるかどうかで残る差が大きくなります。短縮幅も3年10ヶ月から4年9ヶ月へ広がります。 これから借りる人にとっては、金利の提示が高いほど頭金の優先度が上がる、という読み方になります。
未払利息の起点は、どちらを選んでもほとんど動かない
変動金利で借りる場合に気になるのは、金利が上がったときに利息が返済額を超えて未払利息が出る水準です。 毎月返済額を金利に換算した目安(年間返済額 ÷ 残高)で比べます。
| 方式 | 開始時の残高 | 毎月返済 | 未払利息が出始める金利の目安 | そのままとの差 |
|---|---|---|---|---|
| そのまま(頭金を増やさない) | 3,000万円 | 84,685円 | 3.387% | 基準 |
| 頭金を300万円追加(毎月据え置き) | 2,700万円 | 84,685円 | 3.764% | +0.38ポイント |
| 頭金は増やさず期間を短縮 | 3,000万円 | 94,039円 | 3.762% | +0.37ポイント |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。開始時点の残高と返済額から逆算した目安で、返済が進むと水準は変わります。
頭金方式は残高を2,700万円に下げ、期間短縮方式は返済額を94,039円に上げます。 どちらも比率を同じ方向に動かすため、2つの目安の差は0.002ポイントしかありません。 金利上昇への耐性という観点では、この2つはほぼ同じ位置にあると読めます。 そのままの場合の3.387%と比べた上がり幅は、頭金方式が0.38ポイント、期間短縮方式が0.37ポイントです。
住宅ローン控除の扱いは先に確認する
住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高を基礎に計算されます。また、控除の対象となる借入金は 「10年以上にわたり分割して返済する方法になっている」ものに限られます (国税庁 No.1211-1)。
この2点は、どちらの方式を選ぶかで効き方が違います。頭金を増やせば借入額そのものが下がるため、 控除の基礎になる年末残高も最初から低くなります。期間短縮方式は借入額は変わりませんが、元金の減りが速いため、 年末残高の下がり方が早まります。利息の削減額だけで比べると、控除の差を取りこぼします。
控除率や借入限度額は入居年によって変わり、年収によっては納税額で頭打ちになります。 自分の年収と入居年での受取額は住宅ローン控除はいくら戻るのかで確認してください。 なお本ページの試算では返済期間は30年11ヶ月で、10年以上という要件は満たしています。 期間を大きく縮める場合は、この要件に触れないかを先に見ておく必要があります。
どちらを選ぶかの判断軸
完済月をそろえた比較では、総支出が少ないのは頭金方式です。差は49.2万円。 ただしこの差は、300万円を今出せることと引き換えに得るものです。判断は次の順で分かれます。
第一に、頭金に回したあとで手元にいくら残るか。入居後は家具や家電、引越し、固定資産税の初回納付などの支出が続きます。 生活防衛資金を削って頭金に回すと、収入が途切れたときの耐久月数が短くなります。必要な残し方は 生活防衛資金はいくら残すかで金額に直せます。
第二に、毎月9,354円の上乗せを30年11ヶ月続けられるか。期間短縮方式は契約で返済額が決まるため、 あとから下げるには条件変更の手続きが必要です。昇給を前提に組むと、収入が想定どおりに伸びなかったときに動かしにくくなります。
第三に、現金を残して繰上げ返済に備えるという選び方もあります。借入後に同じ額を入れる場合の差は 頭金と繰上げ返済はどちらが得かで計算しています。 期間を何年で組むかそのものを比べたい場合は35年と30年、総返済額はいくら違うか、 頭金の額そのものを決めたい場合は頭金はいくら入れるべきかが対応します。
確認手順
まず、借入予定額、返済期間、提示された金利を手元に用意します。次に、毎月返済額を基準ケースとして固定し、 頭金を追加した場合の完済月を計算します。これが「頭金が何年分の期間短縮にあたるか」の答えです。
続いて、その完済月を期間短縮だけで作った場合の毎月返済額を出します。この額が家計の上限を超えるなら、 期間短縮方式は実行できません。超えないなら、総利息の差と、手元に残る現金の額を並べて比べます。
最後に、金融機関へ確認する点を整理します。返済期間の上限(完済年齢の条件を含む)、頭金の下限、 期間短縮での審査結果、繰上げ返済の手数料です。このうち一つでも条件が変わると、机上の比較は入れ替わります。
頭金と期間短縮についてよくある質問
頭金を増やすと毎月返済額は下がりますか
返済期間を35年のままにすれば下がります。本ページでは比較のため、毎月返済額を84,685円に据え置いて 完済が早まる形で計算しています。頭金300万円を入れて期間を35年にそろえると、毎月返済額は 76,217円になります。 どちらに振るかは、毎月の余裕を増やしたいのか、完済を早めたいのかで決まります。
頭金を入れずに期間を短く組んで、あとで延ばせますか
返済期間の延長は条件変更の手続きにあたり、取り扱いや必要書類、手数料は金融機関によって異なります。 申込時に確認できる内容なので、短く組む前に窓口で聞いておくと、見通しが立てやすくなります。
金利が上がった場合はどちらが有利ですか
本ページの試算では、未払利息が出始める金利の目安は両方式でほぼ同じ(差0.002ポイント)でした。 ただし期間短縮方式は残高が3,000万円のままなので、同じ金利上昇に対して増える利息の額は頭金方式(2,700万円)より大きくなります。 変動金利を選ぶ場合は、改定後の返済額まで含めて家計に当ててみてください。
まとめ
- 毎月84,685円を据え置くと、頭金300万円の追加で完済は4年1ヶ月早まる
- 同じ完済月を期間短縮で作ると毎月9,354円高く、総利息は49.2万円多い
- 金利2%ではその差が102.6万円まで広がる
- 未払利息が出始める金利の目安は両方式でほぼ同じ(差0.002ポイント)