同じ返済枠で借りられる額は330万円違う
返済方式を先に決めるのではなく、毎月払える額を先に決めて借入額を逆算すると、 元利均等と元金均等では答えが変わります。元利均等は毎月の返済額が一定なので、その額がそのまま枠になります。 元金均等は初回がいちばん高く、そこから毎月下がっていくため、枠に収まるかどうかは初回返済額で決まります。
ここでは年収500万円、返済負担率25%(毎月104,166円)、金利0.6%、 35年で試算します。返済負担率25%は本ページの試算上の前提であり、審査基準ではありません。
| 項目 | 元利均等 | 元金均等 |
|---|---|---|
| 借入可能額 | 3,945万円 | 3,615万円 |
| 初回返済額 | 104,159円 | 104,146円 |
| 10年目(120回目)の返済額 | 104,159円 | 99,024円 |
| 最終回の返済額 | 104,112円 | 86,294円 |
| 総利息 | 430万円 | 380万円 |
| 総返済額 | 4,375万円 | 3,995万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。毎月の返済枠104,166円に初回返済額が収まる最大の借入額を、1万円単位で逆算しています。
借入可能額の差は330万円、元利均等に対して8.4%です。 総利息だけを見ると元金均等が少なく見えますが、これは借入額そのものが330万円少ないためで、 方式の違いだけを表した数字ではありません。方式だけを比べるには、次のように借入額を揃える必要があります。
同じ額を借りるなら初回は9,487円上振れする
元利均等の上限だった3,945万円を、そのまま元金均等で借りたとします。 このとき初回返済額は113,653円になり、104,166円の枠を9,487円超えます。 同じ負担率25%でこの初回返済額を収めようとすると、年収は546万円相当が必要になる計算です。
借入額を揃えた場合、35年間の総利息は元金均等の方が144,803円少なくなります。 また、元金均等の返済額が元利均等の104,159円を下回るのは204回目、 返済開始から17年経ってからです。 つまり前半は毎月の負担が重く、後半に軽くなるという形になります。
元金均等と元利均等の違いでは同じ借入額での利息差を扱いました。 本ページはその手前、そもそも借りられる額が変わるという点を扱っています。
年収別|借入可能額の差
返済負担率25%を固定し、年収だけを変えた場合の借入可能額です。 毎月枠は年収に比例するため、差額も年収にほぼ比例して大きくなります。
| 年収 | 毎月の枠 | 元利均等 | 元金均等 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 83,333円 | 3,156万円 | 2,892万円 | 264万円 |
| 500万円 | 104,166円 | 3,945万円 | 3,615万円 | 330万円 |
| 600万円 | 125,000円 | 4,734万円 | 4,338万円 | 396万円 |
| 700万円 | 145,833円 | 5,523万円 | 5,062万円 | 461万円 |
| 800万円 | 166,666円 | 6,312万円 | 5,785万円 | 527万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利0.6%・35年・ボーナス返済なしで、年収だけを変えています。
差の割合はどの年収でもほぼ同じで、8.4%前後です。 年収が上がれば枠は増えますが、元金均等を選んだときの目減りの比率は変わりません。 金額としての差は年収800万円で527万円まで広がります。
返済負担率別|枠の置き方で答えが動く
毎月の枠をいくらに置くかで借入可能額は大きく動きます。 住宅金融支援機構の【フラット35】では、総返済負担率の基準として 年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下 が公表されています。これは融資の要件であって、家計として無理のない水準を示したものではありません。 下の表は、区切りにあたる年収400万円(基準では「400万円以上」の区分)で負担率だけを変えた試算です。
| 返済負担率 | 毎月の枠 | 元利均等 | 元金均等 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 20% | 66,666円 | 2,524万円 | 2,314万円 | 210万円 |
| 25% | 83,333円 | 3,156万円 | 2,892万円 | 264万円 |
| 30% | 100,000円 | 3,787万円 | 3,471万円 | 316万円 |
| 35% | 116,666円 | 4,418万円 | 4,049万円 | 369万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。年収400万円・金利0.6%・35年で、負担率だけを変えています。
負担率を20%から35%まで動かすと、 元利均等の借入可能額は2,524万円から4,418万円まで変わります。 元金均等でも同じ方向に動きますが、どの負担率でも元利均等より小さいままです。 枠を広げて借入額を確保する前に、初回返済額が家計の毎月の黒字に収まるかを確認してください。
金利別|高いほど差は開く
金利が上がると、元利均等の返済額も元金均等の初回返済額も増えます。 ただし増え方が同じではないため、借入可能額の差は金利が高いほど大きくなります。
| 金利 | 元利均等 | 元金均等 | 差 | 差の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 0.6% | 3,945万円 | 3,615万円 | 330万円 | 8.4% |
| 1% | 3,690万円 | 3,240万円 | 450万円 | 12.2% |
| 1.5% | 3,402万円 | 2,868万円 | 534万円 | 15.7% |
| 2% | 3,144万円 | 2,573万円 | 571万円 | 18.2% |
| 2.5% | 2,913万円 | 2,333万円 | 580万円 | 19.9% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。年収500万円・負担率25%・35年で、金利だけを変えています。
金利0.6%では差が8.4%ですが、 金利2.5%では19.9%まで開きます。 元金均等の初回返済額は「元金の均等割り+初月の利息」で、金利が上がると後ろの利息部分だけがまともに増えます。 一方、元利均等は利息の増加を期間全体でならすため、初回時点の返済額は元金均等ほど跳ねません。 金利が高い局面ほど、元金均等は枠を食う方式になります。
期間別|長く借りるほど差は開く
返済期間を延ばすと、元利均等の返済額は下がり続けます。 元金均等の初回返済額も下がりますが、初月の利息部分は期間を延ばしても変わらないため、下げ幅が頭打ちになります。
| 返済期間 | 元利均等 | 元金均等 | 差 | 差の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 25年 | 2,901万円 | 2,717万円 | 184万円 | 6.3% |
| 30年 | 3,431万円 | 3,177万円 | 254万円 | 7.4% |
| 35年 | 3,945万円 | 3,615万円 | 330万円 | 8.4% |
| 40年 | 4,444万円 | 4,032万円 | 412万円 | 9.3% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。年収500万円・負担率25%・金利0.6%で、期間だけを変えています。
25年では差が6.3%、40年では9.3%です。 期間を延ばして借入額を伸ばす作戦は、元金均等では効きが鈍くなります。 40年返済のような長期を検討している場合は、この点を先に確認しておくと比較が早くなります。
差が生まれる理由は初回返済額の構造にある
元金均等の毎回の返済額は、元金を回数で割った一定額に、その月の残高に応じた利息を足したものです。 残高がいちばん多いのは1回目なので、利息もいちばん多く、返済額も1回目が最大になります。 返済が進むと残高が減り、利息が減り、返済額も毎月下がっていきます。
元利均等は逆で、毎回の返済額を先に一定額として決め、そのうち利息に回る分を残りの元金に応じて変えます。 序盤は利息の割合が高く元金の減りが遅い代わりに、毎月の支出は最初から最後まで同じです。
毎月の返済枠という制約を先に置くと、この違いがそのまま借入可能額の差になります。 元利均等は「一定額=枠」で済むのに対し、元金均等は「最大額=枠」に合わせるしかないためです。 330万円という差は、この構造から出てくる数字です。
どちらを選ぶかの判断基準
購入したい物件が決まっていて、そこに必要な借入額が先にある場合は、借入可能額が大きい元利均等の方が条件に合いやすくなります。 元金均等で同じ額を借りるには、初回113,653円という当初の負担を受け入れるか、頭金を増やして借入額そのものを下げる必要があります。
逆に、借入額に余裕があり、当初の返済額を払える見通しがある場合は、元金均等で総利息を抑える選択に意味があります。 借入額を揃えた比較では総利息の差は144,803円で、これは元利均等の総利息430万円に対する差です。 金額の大きさより、当初17年のあいだ返済額が重い期間を耐えられるかで判断が分かれます。
当初の負担が重い時期に、教育費のピークや車の買い替えが重なると余白が消えます。 借入可能額と5年後の負担率で扱ったとおり、変動金利なら将来の金利改定も重なります。 元金均等では当初の返済額がもっとも重く、そこに改定が乗る形になる点も見ておいてください。
確認手順
まず、毎月いくらまで返済に回せるかを家計から決めます。年収から負担率で出した枠は目安にすぎないため、 管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料を差し引いた後の数字で置き直してください。
次に、その枠で元利均等と元金均等の借入可能額を両方出します。 元金均等では初回返済額が枠に収まるかを見ます。10年後、20年後の返済額も合わせて確認すると、負担が軽くなる時期が分かります。
最後に、希望する借入額との差を埋める方法を検討します。頭金を増やす、期間を延ばす、 方式を元利均等にする、のいずれかです。毎月10万円でいくら借りられるかも 同じ逆算の考え方で計算しています。返済方式の選択可否と、契約後に変更できるかは金融機関により異なるため、申込前に確認してください。
元金均等と借入可能額についてよくある質問
元金均等は借入可能額が小さくなると決まっているのですか
毎月の返済枠を同じに置いて逆算した場合は、初回返済額が最大になる元金均等の方が小さくなります。 ただし金融機関が審査でどの回の返済額を使うか、返済方式をどう扱うかは商品や金融機関により異なります。 ここで示したのは、家計側で枠を決めて逆算したときの数字です。
元金均等はどの金融機関でも選べますか
取り扱いは金融機関や商品によって異なります。 【フラット35】では返済方法を元利均等返済と元金均等返済の2つから選択できる と案内されています。民間の住宅ローンでは元利均等のみの商品もあるため、検討先に確認してください。
借入可能額の差を埋めるには頭金をいくら増やせばよいですか
本ページの基準ケースでは差が330万円なので、同じ物件価格を前提にすると、 その分だけ頭金を増やせば元金均等でも枠に収まる計算になります。 頭金を増やすと手元資金が減るため、頭金はいくら入れるべきかで扱った 手元資金とのバランスも合わせて見てください。
まとめ
- 毎月枠104,166円で借りられるのは元利均等3,945万円、元金均等3,615万円
- 差は330万円で、元利均等の8.4%にあたる
- 金利2.5%では差が19.9%、期間40年では9.3%まで開く
- 同じ額を元金均等で借りると初回は113,653円。総利息は144,803円少ない