元金均等に未払利息が出ないのは方式の形による

未払利息は「その月の利息が、その月の返済額を超えた」ときに生まれます。元利均等返済では返済額が先に決まっていて、 その枠の中で利息と元金に振り分けるため、金利が上がって利息が枠を食い切ると差額がはみ出します。 一方、元金均等返済の毎月の返済額は一定の元金に、その月の利息を足した額です。 利息が先に全額入っているので、はみ出す余地がありません。

三菱UFJ銀行は元利均等返済を「月々決まった額(元金+利息)を返済」、元金均等返済を「月々決まった元金に利息を加えた額を返済」と説明し、 5年ルール・125%ルールについては「変動金利かつ元利均等返済で借入の場合には、以下のルールがあります」とした上で、 「元金均等返済で借入の場合は、5年ルール・125%ルールはありません」と明記しています (返済方法の選び方|三菱UFJ銀行)。 据え置く仕組みがないので、未払利息が生まれる条件も成立しません。

つまり元金均等を選ぶことは、未払利息というリスクを消す代わりに、金利上昇をそのまま毎月の返済額で受け取る選択です。 どちらが軽いかは上昇幅によって変わります。以下はすべて残債3,000万円・残り35年・現在金利0.6%、 2026年10月を初回として、5年かけて+2.0%まで上がる前提の算出値です。

項目元利均等元金均等
初回返済額79,208円86,428円
ピーク月額113,200円127,606円
ピークの時期2036年9月2031年7月
未払利息の累計0円0円
10年後の残債24,952,114円21,428,640円
総返済額4,469万円4,225万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。条件は両方式で同一にし、返済方式だけを変えています。

この上昇幅では、未払利息はどちらも0円です。+2.0%は未払利息が出る水準に届いていません。 差が出たのは、ピーク月額(元金均等が14,406円高い)、10年後の残債(元金均等が3,523,474円少ない)、 総返済額(元金均等が244万円少ない)の3点です。

未払利息が出るのは上昇幅+2.8%から

同じ条件のまま上昇幅だけを動かして、元利均等側に未払利息が発生する境目を逆算すると +2.8%、適用金利では3.4%でした。 元金均等側は上昇幅+20%まで探しても発生点が見つかりません(該当なし)。 前の節で見た方式の形から、発生する条件そのものがないためです。

上昇幅元利均等のピーク月額元利均等の未払利息元金均等のピーク月額元金均等の未払利息総返済額の差
+1.0% 93,703円 0円 105,999円 0円 80万円
+2.0% 113,200円 0円 127,606円 0円 244万円
+3.0% 143,288円 10,972円 149,213円 0円 577万円
+4.0% 201,316円 930,740円 170,820円 0円 1,194万円
+5.0% 302,151円 3,583,284円 192,428円 0円 2,142万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。未払利息は累計の最大額、ピーク月額は最終回の一括精算を除いた通常返済分です。

表の読みどころは2つあります。1つは未払利息の列で、元金均等はどの上昇幅でも0円のままです。 もう1つはピーク月額の列で、+1.0%と+2.0%では元金均等の方が高いのに、+4.0%以上では元利均等の方が高くなっています。 順序が入れ替わる境目を逆算すると+3.32%で、この水準では元利均等156,277円に対して元金均等156,128円です。

入れ替わるのは、元利均等側が据え置きで先送りした分が後から返ってくるためです。 125%ルールは1回の改定幅を25%以内に抑えますが、抑えた分は次の改定へ回ります。 上昇幅が大きいほど改定が何回も上限に当たり、最終的な到達点は高くなります。 変動金利に上限はないのは、この積み重ねによるものです。

月額はいつ、いくら動くか

元金均等では、適用金利が上がった月の返済額から影響が出ます。この試算で最初に月額が上がるのは 2027年1月(適用金利0.8%)で、91,285円でした。 初回の86,428円と比べて4,857円の増加です (元金均等では利息が減るぶん月額が毎月わずかに下がるため、金利が上がる前の数ヶ月は初回をわずかに下回ります)。 元利均等で最初の改定が来るのは2031年9月で、79,208円から99,010円です。 同じ金利の動きに対して、月額が動き出す時期が4年以上ずれます。

時期適用金利元利均等の月額元金均等の月額差額
2026年10月 0.6% 79,208円 86,428円 7,220円
2028年7月 1.4% 79,208円 104,678円 25,470円
2030年7月 2.2% 79,208円 120,535円 41,327円
2031年7月 2.6% 79,208円 127,606円 48,398円
2032年7月 2.6% 99,010円 125,749円 26,739円
2036年7月 2.6% 99,010円 118,321円 19,311円
2041年7月 2.6% 113,200円 109,035円 -4,165円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。各年7月(初回は2026年10月)の返済予定額を抜き出しています。

元金均等の月額は2031年7月の127,606円を頂点に、そこから下がっていきます。 元金の充当額が一定なので残債は毎月確実に減り、金利が頭打ちになれば利息部分が減るからです。 対して元利均等は、金利が頭打ちになった後も改定のたびに月額が上がり続け、2036年9月に113,200円へ達します。 表の最終行では差額の符号が逆転し、元金均等の方が安くなっています。

元金均等の10年後残債は上昇幅に左右されない

元金均等では、毎月の元金充当額が借入額を回数で割った定額です。金利が上がっても元金の減り方は変わりません。 この試算でも、10年後の残債は上昇幅をどう変えても21,428,640円で一定でした。 元利均等側は据え置きの間に元金充当が削られるため、上昇幅が大きいほど残債が多く残ります。

上昇幅元利均等の10年後残債元金均等の10年後残債差
横ばい 22,061,180円 21,428,640円 632,540円
+1.0% 23,156,523円 21,428,640円 1,727,883円
+2.0% 24,952,114円 21,428,640円 3,523,474円
+3.0% 27,263,272円 21,428,640円 5,834,632円
+4.0% 28,695,257円 21,428,640円 7,266,617円
+5.0% 28,962,606円 21,428,640円 7,533,966円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。10年後=120回目の返済後の残債です。

残債が読めることは、売却、借り換え、繰上げ返済の検討しやすさにつながります。 元利均等で金利が上がっている局面では、返済額が据え置かれている分だけ残債の見通しが後ろにずれます。 全国銀行協会も、未払利息が発生すると「返済額からローンの元金部分に充当される金額はゼロになります」と説明しています (変動金利住宅ローンの未払利息とは?|全国銀行協会)。 元金均等はこの状態に入りません。

残債別|ピーク月額はどれだけ違うか

残債を変えて、+2.0%の上昇が両方式のピーク月額にどう出るかを比べます。残り期間は35年で固定しています。

残債元利均等の初回元利均等のピーク元金均等の初回元金均等のピークピークの差
2,000万円 52,805円 75,467円 57,619円 85,071円 9,604円
3,000万円 79,208円 113,200円 86,428円 127,606円 14,406円
4,000万円 105,611円 150,934円 115,238円 170,142円 19,208円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債に比例して差額も広がります。

差額は残債にほぼ比例します。残債が大きいほど、元金均等を選んだときに受ける月額のピークも高くなります。 借入額を決める段階なら、元金均等だと借入可能額はいくら減るかも合わせて見ると、 初回返済額だけでなくピークまで含めた上限が見えます。

残り期間別|短いほど差は縮む

残債3,000万円のまま、残り期間を変えた場合です。期間が短いほど元金充当額が大きく、金利の影響は相対的に小さくなります。

残り期間元利均等の初回元利均等のピーク元金均等の初回元金均等のピーク総返済額の差
35年 79,208円 113,200円 86,428円 127,606円 244万円
30年 91,078円 123,817円 98,333円 138,041円 173万円
25年 107,712円 138,538円 115,000円 152,650円 113万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。総返済額の差は「元利均等−元金均等」で、プラスなら元金均等の方が少ない額です。

期間が短くなるほど、方式による総返済額の差は縮みます。残り期間が短い人にとっては、 方式の選択よりも何%まで耐えられるかの確認が先に来ることが多くなります。

どちらのリスクを取るかの判断基準

この試算で見ると、判断は上昇幅の見立てで分かれます。+3.32%までの範囲なら、元金均等のピーク月額の方が高くなります。 毎月の支出の天井を低く保ちたい場合は元利均等が合いますが、その代わりに残債の減りが遅れ、 +2.8%を超えた場合は未払利息という形で後ろに回ります。

反対に、+3.32%を超える上昇まで視野に入れるなら、元金均等のピーク月額の方が低く、未払利息も出ません。 ただし元金均等は初回返済額が86,428円と元利均等より7,220円高く、 金利が上がった月から月額が動くため、家計の余白が薄いと最初の数年で苦しくなる場合があります。

見るべき数字は3つです。1つ目は、元金均等のピーク月額(この試算では127,606円)を払い続けられるか。 2つ目は、元利均等で未払利息が出る適用金利(3.4%)を自分の残債と返済額で計算し直したときの水準。 3つ目は、10年後の残債の差(3,523,474円)が売却や借り換えの選択肢にどう効くか。 この3つが揃うと、方式の違いを好みではなく金額で比べられます。

契約内容の確認手順

まず返済予定表を開き、毎月の返済額が一定か、少しずつ変わっているかを見ます。一定なら元利均等、 毎月わずかに減っていれば元金均等です。元金均等なら元金欄の数字が毎月同じ額で並びます。

次に、金銭消費貸借契約書か商品説明書で、返済額見直しの周期と増加幅の上限の記載を探します。 元利均等であっても、5年ルールや125%ルールを設けていない金融機関があります。 記載が見つからない場合は、借入先に「返済額の見直し周期」と「増加幅の上限」の2点を直接確認してください。

返済中の方式変更に応じるかどうかは金融機関によって異なり、審査や手数料の扱いも一律ではありません。 変更を検討する場合は、変更後の初回返済額と、金利が上がったときのピーク月額の両方を出してから相談すると、 話が具体的になります。残債と残り期間が分かれば、このサイトのツールで両方式を並べて試算できます。

元金均等と未払利息についてよくある質問

元金均等なら金利上昇の影響を受けないのですか

影響は受けます。受け取り方が違うだけです。未払利息という形で後ろに回らない代わりに、 金利が上がった月の返済額がそのまま上がります。この試算では2027年1月の月額が初回より4,857円高くなり、 ピークの2031年7月には初回より41,178円高くなりました。

元金均等には125%ルールのような上限がありますか

三菱UFJ銀行は、元金均等返済で借入の場合は5年ルール・125%ルールはないと案内しています。 上限がないため、増加幅は適用金利と残債から決まります。この試算のように半年ごとに0.2%ずつ上がる前提なら、 1回の増加は4,857円から始まる段階的なものになります。 金利が一度に大きく動く場合は、その月の返済額もその分だけ上がります。 取り扱いは金融機関によって異なるため、契約先の記載をご確認ください。

元利均等で借りていますが、未払利息を避けるには何%が目安ですか

目安は残債と現在の返済額で決まります。この条件では適用金利3.4%が境目でした。 残債が減っていれば境目は上がり、返済額が小さければ下がります。 未払利息はいつ発生していくらかでは発生後の推移も算出しています。

まとめ

  • 元金均等では未払利息が発生しない。上昇幅+20%まで試算しても0円
  • 元利均等に未払利息が出るのは上昇幅+2.8%(適用金利3.4%)から
  • +2.0%の上昇では、元金均等のピーク月額127,606円が元利均等より14,406円高い
  • 上昇幅が+3.32%を超えると、ピーク月額の高さは元利均等の方が上になる
  • 元金均等の10年後残債21,428,640円は上昇幅によらず一定