元金均等と元利均等|同じ条件で並べた基準ケース

借入額3,000万円、返済期間35年(420回)、金利0.6%、ボーナス返済なしで、返済方式だけを変えて比較します。元利均等は毎月の返済額が一定、元金均等は返済額のうち元金の額が一定になる方式です。

項目元利均等元金均等
初回返済額79,208円86,428円+7,220円
17年目(204回目)の返済額79,208円79,178円−30円
最終回の返済額79,277円71,703円−7,574円
総利息3,267,429円3,157,320円−110,109円
総返済額33,267,429円33,157,320円−110,109円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額・期間・金利を固定し、返済方式だけを変えています。

元金均等の返済額は毎月わずかに下がっていくため、204回目(17年目)に79,178円となり、元利均等の79,208円を下回ります。35年通した総利息の差は110,109円で、元金均等の方が少ないという結果になりました。

年ごとの残債は何円ずれるか

方式の差がいちばん見えるのは残債の減り方です。同じ時点で比べると次のようになります。

経過元利均等の返済額元金均等の返済額元利均等の残債元金均等の残債残債の差
5年後 79,208円 84,320円 26,090,114円 25,714,320円 375,794円
10年後 79,208円 82,178円 22,061,180円 21,428,640円 632,540円
15年後 79,208円 80,035円 17,909,582円 17,142,960円 766,622円
20年後 79,208円 77,892円 13,631,577円 12,857,280円 774,297円
25年後 79,208円 75,749円 9,223,319円 8,571,600円 651,719円
30年後 79,208円 73,606円 4,680,848円 4,285,920円 394,928円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。各年末(60・120・180・240・300・360回目)返済後の残債で比較しています。

残債の差は20年後の774,297円が最大で、そこから完済に向けて縮んでいきます。差が一定ではなく途中で最大になるのは、元金均等の元金充当額が一定で、元利均等の元金充当額が後半に増えていくためです。

元利均等のまま並ぶには毎月いくら上乗せするか

ここが本題です。元利均等の毎月返済額に定額を上乗せし、上乗せ分をすべて元金に充てた場合に、元金均等と同じ残債になる金額を1円単位で逆算しました。どの時点で揃えたいかによって必要額は変わります。

揃えたい時点元金均等の残債必要な上乗せ(毎月)その場合の完済その場合の総利息
5年後 25,714,320円 6,172円 32年3ヶ月 2,999,334円
10年後 21,428,640円 5,116円 32年8ヶ月 3,042,039円
20年後 12,857,280円 3,038円 33年7ヶ月 3,129,717円
30年後 4,285,920円 1,002円 34年7ヶ月 3,220,677円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せ額は、目標時点の残債が元金均等以下になる最小額を二分探索で求めています。

10年後で揃える場合は毎月5,116円です。元金均等の初回返済額は元利均等より7,220円高いので、差額をそのまま払う必要はないという結果になります。上乗せ分は最初から全額が元金に充てられる一方、元金均等の高い返済額には利息も含まれているためです。

揃えたい時点が遠いほど必要な上乗せは小さくなります。30年後で揃えるなら毎月1,002円です。長く続けるほど、少額でも元金の減りに効いてくる形です。

上乗せ額別|完済時期と総利息

上乗せ額を変えると、完済時期と総利息はこう動きます。上乗せ分は元金に充当し、返済額は完済まで一定とした場合です。

毎月の上乗せ毎月返済額10年後の残債完済までの期間短縮総利息元金均等との差
3,000円 82,208円 21,690,253円 33年8ヶ月 1年4ヶ月 3,131,350円 25,970円少ない
5,000円 84,208円 21,442,974円 32年9ヶ月 2年3ヶ月 3,046,801円 110,519円少ない
5,116円 84,324円 21,428,633円 32年8ヶ月 2年4ヶ月 3,042,039円 115,281円少ない
7,220円 86,428円 21,168,496円 31年10ヶ月 3年2ヶ月 2,958,152円 199,168円少ない
10,000円 89,208円 20,824,767円 30年9ヶ月 4年3ヶ月 2,854,170円 303,150円少ない

このサイトの計算エンジンによる算出値です。「元金均等との差」は元金均等の総利息3,157,320円から引いた額です。

元金均等の初回返済額と同じ86,428円を完済まで払い続けると、完済は3年2ヶ月早まり、総利息は元金均等より199,168円少なくなります。元金均等は返済額が下がっていく方式なので、初回額を維持し続ける方が元金の減りは速くなる、という関係です。

金利が高いほど必要な上乗せ額は増える

金利水準によって、方式の差も必要な上乗せ額も変わります。10年後の残債で揃える条件で比較しました。

金利元利均等の返済額元金均等の初回初回の差必要な上乗せ初回差に対する割合方式の総利息差
0.6% 79,208円 86,428円 7,220円 5,116円 70.9% 110,109円
1% 84,685円 96,428円 11,743円 8,261円 70.3% 305,472円
1.5% 91,855円 108,928円 17,073円 11,894円 69.7% 685,402円
2% 99,378円 121,428円 22,050円 15,204円 69% 1,214,095円
2.5% 107,248円 133,928円 26,680円 18,197円 68.2% 1,888,052円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・35年で固定し、金利だけを変えています。

必要な上乗せ額は、初回の差額の68.2%〜70.9%に収まりました。金利が高いほど方式の総利息差も広がり、0.6%では110,109円、2.5%では1,888,052円です。変動金利で将来の水準が読めない場合、いま必要な上乗せ額は金利が上がれば増える、という点も見ておく必要があります。

定額の上乗せでは「同じ減り方」にはならない

ここは誤解しやすいところです。毎月5,116円を上乗せしても、元金均等と残債が並ぶのは目標にした10年後の時点だけです。その前後では差が残ります。

経過上乗せ5,116円の残債元金均等の残債
5年後 25,778,581円 25,714,320円 +64,261円
10年後 21,428,633円 21,428,640円 −7円
15年後 16,946,245円 17,142,960円 −196,715円
20年後 12,327,382円 12,857,280円 −529,898円
25年後 7,567,888円 8,571,600円 −1,003,712円
30年後 2,663,484円 4,285,920円 −1,622,436円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せ額は10年後で揃うように求めた5,116円を、完済まで一定としています。

10年後より前は元金均等の残債の方が少なく、5年後の時点では64,261円の差があります。逆に15年後には上乗せした側が196,715円少なくなり、順序が入れ替わります。定額の上乗せは元金充当額が毎月増えていくのに対し、元金均等の元金充当額は一定だからです。「上乗せで方式を再現する」ではなく、「どの時点の残債を目標にするか」を決めて金額を決める形になります。

方式変更と上乗せの違いは、やめられるかどうか

元金均等への変更と毎月の上乗せは、家計への効果が近くても性質が違います。上乗せは家計が苦しい月にやめても、翌月から元の返済額に戻るだけです。方式の変更は契約の変更にあたるため、いつでも自由に戻せるとは限りません。

取り扱いは金融機関・商品により異なります。一次情報として確認できる例では、住宅金融支援機構の【フラット35】は元利均等返済を「毎月お支払いいただく返済額が一定となる返済方法」、元金均等返済を「毎月お支払いいただく返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法」と説明しています。また、返済中の方式変更については、「お客さまの収入等の変化により返済方法の変更を希望し、機構がお認めした場合」に元利均等返済から元金均等返済への変更ができ、「これらの手続きには手数料はかかりません」と案内されています。同ページには「ご利用にあたっては審査の結果、お客さまのご希望に添えない場合もあります」とも書かれており、申し出れば必ず通るものではありません。

民間金融機関の場合、そもそも元金均等返済を扱っているか、方式変更に応じるか、手数料がかかるかは各社の商品説明書やFAQで確認する必要があります。毎月の上乗せを繰上げ返済として行う場合も、最低金額や手数料の有無、インターネット手続きが使えるかは金融機関により異なります。

上乗せ額を決めるときに見る数字

判断材料は3つに整理できます。1つ目は毎月の余白です。上乗せは元金に直接効きますが、生活費や教育費を削って続ける前提だと途中で止まります。止まっても損にはなりませんが、当初想定した残債には届きません。

2つ目は住宅ローン控除の残存年数です。上乗せを繰上げ返済として実行すると残高が下がり、年末残高に対する控除額も下がります。国税庁は、繰上げ返済によって当初の初回返済月から短縮後の最終返済月までの期間が10年未満になると控除の対象外になると案内しています。控除期間中は上乗せの手を止めて、終了後に再開するという順序も選択肢になります。

3つ目は変動金利かどうかです。変動金利で5年ルールがある場合、金利が上がっても返済額は据え置かれ、元金の減りが遅くなります。上乗せはこの遅れを打ち消す方向に働きますが、上乗せ額を一定にしていると、金利上昇時には元金充当額が減ります。5年ルールで実際に起きていることも合わせて確認してください。

確認手順

まず返済予定表で、現在の残債・適用金利・残り回数・返済方式を確認します。方式は「元利均等」「元金均等」と明記されているのが通常です。次に、この記事と同じ手順で自分の条件に置き換えます。揃えたい時点(10年後など)を先に決めると、上乗せ額が1つに決まります。

そのうえで、契約先に3点を確認します。毎月の繰上げ返済ができるか、最低金額と手数料はいくらか、方式変更の取り扱いはどうなっているか。ここまで揃うと、上乗せで進めるか方式を変えるかを同じ土俵で比べられます。

金額の比較は毎月1万円多く返済すると何年短縮か、方式そのものの比較は元金均等と元利均等の違いで確認できます。

よくある質問

元金均等に変更するのと、毎月上乗せするのはどちらが有利ですか

この試算の条件では、初回差額と同額の7,220円を上乗せし続けた場合の総利息は2,958,152円で、元金均等の3,157,320円より199,168円少なくなりました。ただし上乗せは繰上げ返済の手数料や最低金額の制約を受け、方式変更は審査を伴います。金額だけでなく、続けられるか・戻せるかも含めて比べる形になります。

上乗せを途中でやめたらどうなりますか

やめた月以降は元の返済額に戻り、それまでに減らした元金の分だけ利息が軽くなった状態が残ります。ペナルティが発生する仕組みではありません。逆に、方式を元金均等に変更している場合は、返済額を下げるには再度の手続きが必要になります。取り扱いは金融機関により異なるため、契約先で確認してください。

ボーナス時にまとめて繰上げ返済する方法とどう違いますか

同じ年間額なら、早く入れた分だけ利息が減るため、毎月に分けた方がわずかに有利になります。一方で繰上げ返済に手数料がかかる場合は、回数が多いほど手数料の合計が増えます。手数料の有無と金額を確認したうえで、回数を決める形になります。

まとめ

  • 元金均等の初回返済額は元利均等より7,220円高い(3,000万円・35年・0.6%)
  • 10年後の残債を揃える上乗せは毎月5,116円で、初回差額より少ない
  • 初回差額7,220円を上乗せし続けると、完済は3年2ヶ月早まり総利息は元金均等より199,168円少ない
  • 定額上乗せで残債が一致するのは目標時点だけ。15年後には上乗せ側が少なくなる
  • 金利が高いほど必要な上乗せは増え、2.5%では毎月18,197円になる