上乗せ0.3%は35年で総額いくらになるか
条件は借入3,000万円・35年・元利均等・ボーナス返済なし、基準の金利を0.6%とします。 ここに0.1/0.2/0.3ポイントを上乗せしたときの毎月返済額と総返済額です。上乗せ幅は本ページの仮定で、特定の商品の条件ではありません。
| 上乗せ幅 | 適用金利 | 毎月返済 | 総返済額 | 上乗せなしとの差 | 年あたり | 月あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| なし | 0.6% | 79,208円 | 3,327万円 | 基準 | — | — |
| +0.1pt | 0.7% | 80,556円 | 3,383万円 | 57万円 | 16,171円 | 1,348円 |
| +0.2pt | 0.8% | 81,918円 | 3,441万円 | 114万円 | 32,515円 | 2,710円 |
| +0.3pt | 0.9% | 83,294円 | 3,498万円 | 172万円 | 49,034円 | 4,086円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額・期間・返済方式を固定し、金利だけを上乗せ幅の分だけ動かしています。
0.3ポイントの上乗せは、毎月4,086円、年49,034円、35年の合計で172万円です。 借入額3,000万円に対して5.72%にあたります。上乗せ幅が0.1ポイントずつ増えるごとに、 総額の差は57万円、114万円、172万円と、 ほぼ一定の幅で積み上がります。
「0.3%」という表示だけを見ると小さく感じられますが、住宅ローンでは残高が大きい期間が長いため、 金利の小さな差でも総額では数十万円から百万円台になります。この構造は 金利0.1%の差は総額いくら違うかで扱った引き下げ幅の話と同じで、符号が逆になっただけです。
負担は毎年同じではなく、前半に偏る
毎月返済額の差は4,086円で35年間変わりません。しかし上乗せはそのときの残高にかかる料率なので、 実際にその期間で発生している上乗せ分は、残高が大きい前半ほど大きくなります。 5年ごとに区切り、上乗せがある場合とない場合で、その期間に発生した利息の差を出しました。
| 期間 | 期間開始時の残債 | その5年に発生した上乗せ分 | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 1〜5年目 | 3,000万円 | 425,490円 | 7,092円 |
| 6〜10年目 | 2,609万円 | 372,943円 | 6,216円 |
| 11〜15年目 | 2,206万円 | 316,107円 | 5,268円 |
| 16〜20年目 | 1,791万円 | 254,769円 | 4,246円 |
| 21〜25年目 | 1,363万円 | 188,630円 | 3,144円 |
| 26〜30年目 | 922万円 | 117,417円 | 1,957円 |
| 31〜35年目 | 468万円 | 40,844円 | 681円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せありとなしの返済スケジュールを別々に作り、各5年間の利息の合計を差し引いています。7区間の合計は172万円で、表1の総額差と一致します。
最初の5年に発生する上乗せ分は425,490円、月あたりにすると7,092円です。 毎月の返済額の差4,086円より大きくなっています。逆に最後の5年は40,844円、 月あたり681円まで下がります。毎月の支払額の差が一定なのは、35年分をならして返済額に組み込んでいるためで、 その時点で発生している負担が一定という意味ではありません。
この形は、保障の対価を「残高に対する料率」で払っていることの結果です。残債が減れば発生する上乗せ分も減り、 同時に保障の対象になる残債も減ります。繰上げ返済で残債を減らすと、上乗せの実額も減ることになります。
借入額別|同じ0.3%でも実額は借入額に比例する
上乗せ幅を0.3ポイントに固定し、借入額だけを変えた場合です。期間は35年で共通です。
| 借入額 | 毎月返済の差 | 35年の総額差 | 年あたり | 借入額に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 2,724円 | 114万円 | 32,689円 | 5.72% |
| 3,000万円 | 4,086円 | 172万円 | 49,034円 | 5.72% |
| 4,000万円 | 5,448円 | 229万円 | 65,378円 | 5.72% |
| 5,000万円 | 6,810円 | 286万円 | 81,723円 | 5.72% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。返済期間35年・元利均等で、借入額と上乗せ幅以外の条件は同じにしています。
借入額に対する割合は4件とも5.72%で、小数第2位まで一致します。 上乗せは残高への料率なので、金額は借入額にほぼ比例し、割合は動きません。 自分の借入額での金額を知りたいときは、3,000万円の172万円を借入額の比で読み替えると近い値になります。
返済期間別|期間を短くしても年あたりは下がらない
借入額3,000万円・上乗せ0.3ポイントで、返済期間だけを変えた場合です。
| 返済期間 | 上乗せなしの毎月 | +0.3ptの毎月 | 毎月の差 | 総額の差 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 20年 | 132,681円 | 136,634円 | 3,953円 | 95万円 | 47,434円 |
| 25年 | 107,712円 | 111,708円 | 3,996円 | 120万円 | 47,958円 |
| 30年 | 91,078円 | 95,120円 | 4,042円 | 145万円 | 48,491円 |
| 35年 | 79,208円 | 83,294円 | 4,086円 | 172万円 | 49,034円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・元利均等で、返済期間だけを変えています。
総額の差は20年の95万円から35年の172万円まで広がります。 一方で年あたりに直すと47,434円と49,034円で、差は1,600円しかありません。 期間を短くしても1年あたりの負担はほとんど変わらず、変わるのは払う年数のほうです。
つまり総額を小さくしたい場合、上乗せ幅を下げるか、返済期間そのものを短くするかの二つが効きます。 期間の長短が総額にどう効くかは35年と30年、総返済額はいくら違うかで扱っています。
変動金利で基準金利が上がると、上乗せの実額も増える
上乗せは金利に足す形なので、基準の金利が上がると上乗せ分の実額も一緒に増えます。 2026年9月を起点に、基準金利0.6%が10年かけて一定のペースで上がる仮定で、 上乗せなしと+0.3ptの総返済額を比べました。上昇幅は仮定であり、金利の予測ではありません。
| 基準金利の上昇幅 | 上乗せなしの総返済額 | +0.3ptの総返済額 | 差額 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|
| 据え置き | 3,327万円 | 3,498万円 | 172万円 | 49,034円 |
| +1.0pt | 3,769万円 | 3,958万円 | 188万円 | 53,819円 |
| +2.0pt | 4,264万円 | 4,470万円 | 206万円 | 58,854円 |
| +3.0pt | 4,824万円 | 5,046万円 | 222万円 | 63,445円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルール・125%ルールがある前提で、半年ごとの金利見直しと5年ごとの返済額改定を反映しています。
金利が据え置きなら差額は172万円ですが、基準金利が3.0ポイント上がる仮定では222万円まで増えます。 増加率は29.4%です。金利が上がると元金の減りが遅くなり、 上乗せがかかる残高が長く大きいまま残るため、同じ0.3ポイントでも実額が増えます。
上乗せの金額を見積もるときに金利据え置きだけで考えると、変動金利では小さめの値になります。 上がった場合の値も並べておくと、幅として把握できます。
上乗せがあると125%上限と未払利息の水準も変わる
上乗せがあると当初の返済額が4,086円高くなります。5年ごとの返済額改定では 直前の返済額の1.25倍が上限とされるケースがあるため、上限の金額も上乗せの分だけ高くなります。 同じ仮定で、1回目の改定(2031年8月)の結果を並べました。
| 基準金利の上昇幅 | 上乗せなしの改定後 | +0.3ptの改定後 | 125%上限に当たるか | 未払利息 |
|---|---|---|---|---|
| 据え置き | 79,208円 | 83,294円 | 当たらない | 発生しない |
| +1.0pt | 86,156円 | 90,499円 | 当たらない | 発生しない |
| +2.0pt | 93,534円 | 98,141円 | 当たらない | 発生しない |
| +3.0pt | 99,010円 | 104,117円 | 当たる | 発生しない |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。1回目の返済額改定は2031年8月で、上限は直前の返済額の1.25倍としています。
据え置きのケースでは、改定の時期は来ても金額は79,208円のまま変わりません。 125%上限に当たるのは基準金利が3.0ポイント上がるケースだけで、上乗せなしは99,010円、 +0.3ptは104,117円で頭打ちになります。上限がなければ 101,351円と106,227円になるはずで、 差の2,341円と2,110円は後ろの回へ回ります。未払利息はこの表の4ケースとも発生しません。
未払利息が出る金利の水準は、上乗せなしが3.17%、+0.3ptが3.33%です。 数字だけ見ると上乗せがある方が高く見えますが、これは適用金利で見た水準です。 +0.3ptの適用金利には上乗せ分が含まれているので、基準金利に直すと3.03%となり、 上乗せなしの3.17%より低くなります。上乗せがある方が、基準金利で見たときの危険水位は手前に来ます。
自分の返済額でこの水準を確認する方法は金利は何%まで耐えられるかで扱っています。 返済予定表の見方で、適用金利が上乗せ後の数字かどうかも合わせて確認できます。
上乗せ分を積み立てて繰上げ返済に回した場合
上乗せを選ばなかった場合、毎月4,086円が手元に残ります。この金額をそのまま積み立て、 期間短縮型の繰上げ返済に回すとどうなるかを計算しました。保障の価値を金額に置き換えるためではなく、 同じ金額が別の使い方をしたときにどれだけ動くかを見るための比較です。手数料は0円としています。
| 積み立てた年数 | 繰上げ返済額 | 実行時点の残債 | 短縮できる期間 | 減る利息 |
|---|---|---|---|---|
| 5年 | 240,000円 | 2,609万円 | 3ヶ月 | 42,866円 |
| 10年 | 490,000円 | 2,206万円 | 7ヶ月 | 77,397円 |
| 15年 | 730,000円 | 1,791万円 | 10ヶ月 | 89,470円 |
| 20年 | 980,000円 | 1,363万円 | 1年1ヶ月 | 87,297円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せなしの返済スケジュールの残債に対し、積立額を1万円単位に切り下げて期間短縮型で充当しています。
10年積み立てた490,000円を入れると7ヶ月短縮でき、 減る利息は77,397円です。減る利息がいちばん大きいのは15年目の89,470円で、 それより後は積立額が増えても残り期間が短くなるため、削減額は伸びません。
35年で払う上乗せ分は172万円ですが、表7のどのケースでも、積み立てた分を繰上げ返済に回して減る利息は10万円に届きません。 上乗せの大部分は利息の削減として戻ってくるものではなく、保障そのものの対価です。 金額の大小ではなく、保障の中身と自分がすでに入っている保険との重なりで見る必要があります。 繰上げ返済の型による違いは期間短縮型と返済額軽減型どっちで扱っています。
一次情報で確認できること
住宅金融支援機構【フラット35】は、加入する団体信用生命保険に応じて【フラット35】の借入金利は異なるとしています。 金利のタイプだけでなく、団信の選び方でも適用される金利が変わるということです。
同機構の新3大疾病付機構団信の加入要件・保障内容のページでは、 加入できるのは満15歳以上満51歳未満、保障は死亡したとき、身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級、 3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当したとき、公的介護保険制度に定める要介護2以上の状態、 保障期間は満75歳の誕生日の属する月の末日までとされています。
上乗せ幅そのものは商品ごとに異なるため、本ページでは0.1〜0.3ポイントを仮定として置いています。 契約先の上乗せ幅、保障の開始と終了の条件、免責の範囲は、商品説明書や重要事項説明書で確認してください。
何を見て決めるか
判断に使えるのは、まず金額です。0.3ポイントの上乗せは3,000万円・35年なら年49,034円、 月4,086円にあたります。この金額を、いま入っている生命保険や医療保険の保険料と並べると、 保障が重なっていないかを確かめられます。重なっていれば、どちらかを減らす検討の材料になります。
次に、保障が効く条件です。表に出せるのは金額だけで、どの状態になったときに残債が消えるかは商品ごとに違います。 「3大疾病」と書かれていても、支払いの要件は商品によって異なります。金額が同じでも保障の範囲が違えば比較になりません。
三つめは、途中で外せるかどうかです。上乗せは金利に組み込まれるため、返済期間の途中で保障だけをやめられるかは 商品と契約によります。外せない前提なら、35年分の172万円を最初に決めることになります。
なお、上乗せの有無は固定金利の安心料はいくらかで扱った金利タイプの選択とは別の軸です。 金利タイプの比較をするときは、両方の商品で団信の条件をそろえないと、金利差だけを比べたことになりません。
確認の手順
1つめに、契約先の商品説明で上乗せ幅を確認します。0.1ポイントか0.3ポイントかで、35年の総額は 57万円と172万円の違いになります。
2つめに、上乗せなしの金利で毎月返済額を出し、上乗せありとの差を月額で確認します。この差が、 毎月払っている保障の対価にあたります。表1と同じ計算は、下のツールで自分の借入額と期間に置き換えられます。
3つめに、いま加入している保険の保障内容と保険料を並べます。死亡保障が重なっている場合、 住宅ローンの残債分は団信で賄われるため、別の保険で同じ範囲を持つ必要があるかを見直す材料になります。
4つめに、変動金利で借りる場合は、基準金利が上がったときの上乗せ額も見ておきます。 表5のとおり、上昇幅によって同じ0.3ポイントの実額が変わります。
団信の金利上乗せについてよくある質問
0.3%の上乗せは保険料としては高いのですか
高いか安いかは保障の範囲との比較になるため、金額だけでは決まりません。本ページで出せるのは金額で、 3,000万円・35年・元利均等なら月4,086円、年49,034円、総額172万円です。 この金額といま払っている保険料を並べて、保障が重なっていないかを見る使い方ができます。
繰上げ返済をすると上乗せの負担も減りますか
上乗せは残高にかかる料率なので、残債が減れば発生する上乗せ分も減ります。表2のとおり、 最初の5年は月7,092円相当だったものが、最後の5年では月681円相当まで下がります。 ただし同時に、保障の対象になる残債も減ります。
変動金利だと上乗せの金額は変わりますか
上乗せ幅そのものは金利に足す形なので、基準金利が上がると上乗せ分の実額も増えます。 表5では、金利据え置きの172万円に対し、基準金利が3.0ポイント上がる仮定では222万円になりました。 これは仮定に基づく試算で、金利の予測ではありません。
まとめ
- 借入3,000万円・35年・金利0.6%に0.3ポイント上乗せすると、毎月4,086円・年49,034円・総額172万円
- 負担は前半に偏る。最初の5年は月7,092円相当、最後の5年は月681円相当
- 期間を短くしても年あたりは47,434円と49,034円でほとんど変わらない。変わるのは払う年数
- 基準金利が3.0ポイント上がる仮定では、同じ0.3ポイントの上乗せが222万円まで増える
- 基準金利で見た未払利息の水準は、上乗せなし3.17%に対し+0.3ptは3.03%と手前に来る