金利に上限はない

まず事実として、変動金利の適用金利そのものに上限はありません。 「上限金利特約」のような形で契約上の上限を定めている商品は例外的で、 一般的な変動金利型にはそうした定めがないのが普通です。

「上限がある」と言われるのは125%ルールのことです。これは 1回の改定でどれだけ返済額が上がるかを制限するもので、 金利の水準にも、最終的な返済額にも上限を設けていません。

125%ルールは5年ごとに適用されます。5年ごとに1.25倍が積み重なると、こうなります。

経過年数改定回数返済額の上限
0年(現在)91,078円
5年後 1回 113,847円
10年後 2回 142,309円
15年後 3回 177,886円
20年後 4回 222,358円

残債3,000万円・30年・0.6%で借りた場合。上限まで上がり続けた場合の理論値です。

20年で2.4倍です。「上限があるから大丈夫」と言えるかどうかは、 この数字を見てから判断してください。

金利ごとに、返済額はどこまで増えるか

残債3,000万円・残り30年・現在0.6%のローンで、 5年かけて各水準まで金利が上がった場合を計算しました。

到達する金利次の改定額返済額の最大 現在比未払利息総返済額
1% 96,045円 96,637円 1.06倍 発生しない 34,425,609円
1.5% 102,535円 103,949円 1.14倍 発生しない 36,577,356円
2% 109,346円 111,680円 1.23倍 発生しない 38,849,109円
2.5% 113,847円 120,731円 1.33倍 発生しない 41,300,493円
3% 113,847円 132,061円 1.45倍 発生しない 44,030,938円
4% 113,847円 164,901円 1.81倍 発生しない 50,589,888円

現在の返済額は91,078円。このサイトの計算エンジンによる算出値です。

自分の家計で耐えられるのはどの行までか、という見方をしてください。 金利の予想を当てにいくのではなく、どこまでなら耐えられるかを先に決める方が実用的です。

返済額より先に、元金の減り方が壊れる

表を見て気づくのは、返済額の増え方より総返済額の増え方の方が急だということです。 5年ルールで返済額が据え置かれている間、増えた利息は元金の減りを削る形で吸収されるためです。

毎月の支払いは変わっていないのに、借金は予定どおり減っていない。 この状態は返済予定表の「元金」欄を見ないと気づけません。 仕組みは返済額が変わらないのに元金が減らない理由で詳しく扱っています。

さらに金利が上がると、利息が返済額を超えて未払利息が発生します。 ここで注意したいのが、境目の金利は「上がり方」によって違うことです。

上がり方未払利息が発生する金利
いますぐ一気に上がった場合 3.64%
5年かけて段階的に上がった場合 4.33%

計算エンジンによる算出値です。

いますぐ上がった場合の境目 = 毎月の返済額 × 12 ÷ 残債

ゆっくり上がる方が境目が高いのは、その間に残債が減り、5年ごとの改定で返済額も上がるからです。 上の表で4%でも未払利息が発生していないのは、5年かけて上がる前提で計算しているためです。

逆に言えば、短期間で急激に上がるほど危険だということです。 残債が減る時間も、返済額が改定される機会もないまま利息だけが増えます。

なお残債が減るほどこの水準は上がるので、返済が進んでいる人ほど余裕があります。 借りたばかりの人ほど、この線が近いということです。

「何%まで上がるか」は誰にも分からない

変動金利の基準は、各金融機関が短期プライムレートなどを参照して決めます。 その水準は日本銀行の金融政策に影響されますが、将来の水準を当てられる人はいません

だからこのページでも予測はしていません。代わりに提案したいのは、質問の立て方を変えることです。

  • ❌「変動金利は何%まで上がるだろうか」
  • ⭕「何%まで上がったら、自分の家計は回らなくなるか」

後者はいまの残債・返済額・家計が分かれば計算できます。 予測が要りません。そのうえで、その水準が現実的にありうると思うなら固定への変更を検討する、 という順番になります。考え方は変動から固定に変えるタイミングにまとめています。

まとめ

  • 変動金利そのものに上限はない。上限があるのは1回の改定幅だけ
  • 125%の改定を重ねると、20年で返済額は理論上2.4倍まで到達しうる
  • 返済額が据え置かれている間も、元金の減りは鈍っている
  • 予測を当てるより、「どこまでなら耐えられるか」を先に決める方が実用的