0.2%の引き下げは繰上げ返済いくら分か

残債3,000万円・残り35年・金利0.6%・元利均等で計算します。金利が0.4%に下がると、毎月返済は79,208円から76,557円へ2,651円下がり、完済までの利息は327万円から215万円へ、111万円減ります。

同じ111万円を繰上げ返済だけで減らすには、いま期間短縮型で533万円を入れる必要がありました。引き下げ幅を変えた結果は次の通りです。

引き下げ幅毎月返済の差減る利息同じ削減に要る繰上げ額残債に対する割合
−0.1%1,333円56万円252万円8.4%
−0.2%2,651円111万円533万円17.8%
−0.3%3,955円166万円854万円28.5%
−0.5%6,520円274万円1,744万円58.1%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債3,000万円・残り35年・元利均等で、繰上げ返済は期間短縮型・返済開始時点としています。

引き下げ幅と必要額は比例しません。0.1%分なら252万円ですが、0.5%分では1,744万円で、0.1ポイントあたりに直すと252万円から349万円へ増えます。引き下げ幅が大きいほど、繰上げ返済で追いかけるのは割高になります。

現在の金利が高いほど必要額は小さくなる

同じ0.2%の引き下げでも、いまの金利水準によって換算額は大きく変わります。借入額と期間を3,000万円・35年に固定し、現在の金利だけを変えた結果です。

現在の金利引き下げ後減る利息同じ削減に要る繰上げ額残債に対する割合縮む期間
0.6%0.4%111万円533万円17.8%6年9ヶ月
1%0.8%116万円297万円9.9%4年
1.5%1.3%122万円186万円6.2%2年9ヶ月
2%1.8%128万円132万円4.4%2年2ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも0.2ポイントの引き下げと、同じ利息削減になる期間短縮型の繰上げ返済額を比べています。

減る利息そのものは、金利が高いほうがわずかに大きくなります(0.6%で111万円、2%で128万円)。それでも必要な繰上げ額は533万円から132万円へ下がります。金利が高いほど、繰上げ返済した1円が消す利息も大きいためです。

裏を返すと、低金利で借りている人ほど、わずかな引き下げが繰上げ返済に換算すると大きな金額になります。0.6%なら0.2%の引き下げは残債の17.8%を一度に返すのと同じ利息削減でした。

返済が進んでも「残債に対する割合」はほとんど動かない

すでに返済中の人は、残債も残り期間も減っています。3,000万円・35年・0.6%で借りた人が、経過年数ごとに0.2%の引き下げを受けた場合と、同じ利息削減を繰上げ返済で得る場合を並べます。

経過年数その時点の残債残り期間減る利息同じ削減に要る繰上げ額残債に対する割合
借入時3,000万円35年111万円533万円17.8%
1年後2,923万円34年105万円520万円17.8%
5年後2,609万円30年82万円466万円17.9%
10年後2,206万円25年58万円396万円18%
15年後1,791万円20年37万円323万円18%
20年後1,363万円15年21万円247万円18.1%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。各時点の残債は3,000万円・35年・0.6%のスケジュールから取り、以降の期間について引き下げと繰上げ返済を比べています。

必要額そのものは残債とともに減り、20年後には247万円になります。一方で残債に対する割合は17.8%〜18.1%とほとんど動きません。つまり「0.2%の引き下げ ≒ 残債の約18%を繰上げ返済」という換算は、返済途中のどの時点でも目安として使えます。

期間短縮型か返済額軽減型かで必要額は倍近く違う

繰上げ返済には、完済を早める期間短縮型と、毎月の返済額を下げる返済額軽減型があります。同じ111万円の利息削減に届くまでの金額を、方式別に出します。

方式同じ削減に要る繰上げ額残債に対する割合繰上げ後の毎月返済縮む期間
期間短縮型533万円17.8%79,208円6年9ヶ月
返済額軽減型1,022万円34.1%52,224円変わらない

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債3,000万円・残り35年・0.6%で、返済開始時点に繰上げ返済した場合を比べています。

返済額軽減型は期間が変わらないため、同じ利息削減に届くには1,022万円と、期間短縮型より489万円多く要りました。利息を減らす効率だけで見れば期間短縮型のほうが少ない額で済みますが、その場合の毎月返済は79,208円のまま動きません。返済額軽減型では毎月返済が52,224円まで下がります。手元の資金繰りを軽くしたい場合は、効率の低いほうを選ぶ理由があります。

利息削減額が同じでも、同じ結果ではない

この記事で揃えているのは「完済までに減る利息」だけです。家計への当たり方は3点で違います。

1つ目は手元資金です。繰上げ返済は533万円が今出ていきますが、金利の引き下げを受けられた場合、持ち出しはありません。同じ利息削減でも、支出のタイミングがまったく違います。

2つ目は毎月の返済額です。引き下げなら毎月79,208円が76,557円になり、期間は35年のままです。期間短縮型の繰上げ返済では毎月は79,208円のまま変わらず、完済が6年9ヶ月早まります。毎月の負担を軽くしたいのか、完済を早めたいのかで、同じ金額の意味が変わります。

3つ目は住宅ローン控除です。控除は年末残高をもとに計算されるため、繰上げ返済で残高を減らすと控除額も減ります。金利の引き下げでは残高は減りません。控除期間が残っている間は、繰上げ返済の実質的な効果はこの表の数字より小さくなります。

どちらを先に検討するかの考え方

引き下げを受けられるかどうかは契約先の判断によるため、このページでは扱いません。ここで言えるのは、引き下げが実現した場合の価値は、繰上げ返済に換算すると残債の18%前後にあたるということだけです。

手元資金が533万円ない場合でも、換算表は使えます。たとえば252万円なら0.1%の引き下げに相当し、これは533万円のちょうど半分(267万円)より少ない額です。繰上げ返済は額が小さいほど1円あたりの利息削減が大きいため、全額を用意できなくても換算の目安は立てられます。

一方で、繰上げ返済には最低金額や手続きのタイミングという制約があります。金額を決める前に、契約先でいくらから繰上げ返済できるのか、手数料がかかるのかを確認しておくと、計算と実行のずれが小さくなります。

判断の材料をもう少し広げたい場合は、金利0.1%の差は総額いくら違うかで引き下げ幅そのものの価値を、100万円の繰上げ返済で何ヶ月縮むかで繰上げ返済の効き方を確認できます。

自分の条件で確認する手順

最初に返済予定表から、現在の残債、適用金利、残り返済回数の3つを控えます。この記事の表は残債3,000万円・残り35年の例なので、自分の残債に置き換えないと必要額が合いません。

次に、現在の金利から0.2%引いた金利で総利息を計算し、現在の条件との差を出します。その差額と同じだけ利息を減らす繰上げ返済額を、期間短縮型で探します。残債の17.8%〜18.1%あたりが出発点になります。

最後に、その金額を実際に入れられるかを確認します。繰上げ返済の取り扱いは金融機関ごとに異なります。たとえば住宅金融支援機構の【フラット35】繰上返済の案内では、繰り上げて返済できる額は金融機関の窓口で100万円以上、インターネットサービス「住・My Note」で10万円以上とされ、いずれの手続にも手数料はかからないと記載されています。窓口の場合は繰上返済の1か月前までに申し出る必要があるとされています。民間の住宅ローンの条件は契約先の商品説明書で確認してください。

金利引き下げと繰上げ返済の換算でよくある質問

繰上げ返済額を半分にすると、相当する引き下げ幅も半分になりますか

半分より大きくなります。0.2%分に要るのは533万円ですが、0.1%分に要るのは252万円で、533万円の半分(267万円)より少ない額です。繰上げ返済は額が小さいほど1円あたりの利息削減が大きくなります。

金利が上がったら、この換算額は変わりますか

変わります。現在の金利が高いほど必要額は小さくなり、0.6%で533万円、2%では132万円でした。変動金利で金利が上がった後は、同じ0.2%の引き下げを繰上げ返済で代替するコストは下がります。

返済額軽減型でも同じ換算でよいですか

別の数字になります。返済額軽減型は期間が変わらないため、同じ利息削減に届くには1,022万円(残債の34.1%)が必要でした。期間短縮型の533万円と比べると489万円の差です。

まとめ

  • 0.2%の引き下げで減る利息は111万円。同じ削減には期間短縮型で533万円の繰上げ返済が要る
  • 必要額は残債の17.8%。経過年数を変えても17.8%〜18.1%に収まった
  • 現在の金利が2%なら必要額は132万円まで下がる
  • 返済額軽減型では1,022万円。利息削減が同じでも、手元資金と毎月返済への効き方は違う