金額別|5年目に入れて減る利息

借入3,000万円・35年・金利0.6%・元利均等で2026年10月から返済を始めた場合、 返済5年が過ぎた2031年10月時点の残債は26,090,114円、残り期間は30年です。 この時点で期間短縮型の繰上げ返済を実行したとき、減る利息は次のようになります。

繰上げ返済額減る利息短縮される期間投じた額に対する比率
10万円 16,157円 1ヶ月 16.2%
30万円 55,200円 4ヶ月 18.4%
50万円 93,890円 7ヶ月 18.8%
100万円 192,530円 1年3ヶ月 19.3%
300万円 547,081円 3年8ヶ月 18.2%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。期間短縮型・ボーナス返済なしで、5年目の残債26,090,114円・残り30年に対して計算しています。

減る利息の額は、そのまま「この繰上げ返済に払ってよい手数料の上限」です。 10万円なら16,157円、100万円なら192,530円。 手数料がこの額を超えると、利息の削減より手続きの費用の方が大きくなります。

許容上限という見方をする理由

繰上げ返済の損得は「手数料が高いか安いか」だけでは決まりません。同じ手数料でも、投じる金額が大きければ 誤差の範囲になり、少額なら削減額を丸ごと食います。比べるべきは手数料と削減額の関係です。

たとえば手数料が22,000円だとすると、上の表で10万円を入れた場合の削減額16,157円は、 それを下回ります。手続きをした結果として支出が増える形です。一方で100万円なら削減額は192,530円なので、 同じ22,000円を払っても大部分が残ります。

つまり「繰上げ返済は早いほど得」という一般論の前に、その回の手数料を回収できる金額かどうかという関門があります。 なお、ここで挙げている手数料の額は本ページの試算上の仮定です。実際の額は契約先の条件を確認してください。

実行時期別|許容上限はどこまで下がるか

同じ100万円でも、残り期間が短いほど削減できる利息は小さくなります。返済開始からの経過年ごとに、 100万円を期間短縮型で入れた場合を並べます。

実行時期その時点の残債残り期間減る利息(許容上限)短縮される期間
1年目(2027年10月) 29,227,375円 34年 218,633円 1年3ヶ月
5年目(2031年10月) 26,090,114円 30年 192,530円 1年3ヶ月
10年目(2036年10月) 22,061,180円 25年 154,423円 1年2ヶ月
15年目(2041年10月) 17,909,582円 20年 122,912円 1年2ヶ月
20年目(2046年10月) 13,631,577円 15年 88,151円 1年1ヶ月
25年目(2051年10月) 9,223,319円 10年 57,773円 1年1ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも100万円・期間短縮型で、その時点の残債と残り期間に対して計算しています。

1年目の218,633円に対し、25年目は57,773円です。 許容できる手数料の上限は返済が進むほど下がっていきます。返済後半に少額を入れる場合ほど、 手数料の有無が結果を左右しやすくなります。時期そのものの効果は 繰上げ返済は早いほど得かで詳しく扱っています。

適用金利別|金利が高いほど上限は上がる

繰上げ返済で減るのは利息なので、適用金利が高いほど同じ金額でも削減額は大きくなります。 借入時からその金利で返済してきたと仮定し、5年目に100万円を入れた場合です。

適用金利毎月返済額5年目の残債減る利息(許容上限)短縮される期間
0.6% 79,208円 26,090,114円 192,530円 1年3ヶ月
1% 84,685円 26,329,393円 331,649円 1年3ヶ月
1.5% 91,855円 26,615,451円 535,832円 1年4ヶ月
2% 99,378円 26,886,816円 793,783円 1年6ヶ月
2.5% 107,248円 27,143,227円 1,063,549円 1年7ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入3,000万円・35年・元利均等で、借入時から表の金利が続いた場合の5年目の残債に対して計算しています。

0.6%での192,530円に対し、2.5%では1,063,549円と 5.5倍です。金利が上がった局面では、同じ手数料でも見合う金額の下限が下がります。 変動金利で返済中に金利が上がった場合は、上がった後の適用金利で計算し直す必要があります。

手数料額別|見合う最低金額はいくらか

逆から見ます。手数料の額を決めたうえで、「減る利息がその手数料以上になる繰上げ返済額」を 1,000円刻みで下から探しました。おおむねこれを下回る額で実行すると、その回は持ち出しになります。

1回あたりの手数料5年目10年目15年目20年目25年目
5,500円 60,000円69,000円71,000円73,000円105,000円
11,000円 67,000円69,000円104,000円145,000円210,000円
22,000円 133,000円137,000円209,000円255,000円374,000円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。手数料の額は本ページの仮定で、実際の額は金融機関により異なります。期間短縮型で、各時期の残債と残り期間に対し1,000円刻みで走査しています。

手数料22,000円の行を見ると、5年目なら133,000円以上、25年目なら374,000円以上でないと 手数料を回収できません。手数料が5,500円の行では下限がぐっと下がります。 手数料が無料の商品であれば、この関門そのものがなくなります。

表の中に、手数料が倍でも下限がほとんど変わらない箇所があります。 期間短縮型は完済が何ヶ月早まるかで効果が決まるため、削減額が段差をつけて増えるからです。 次の節でその動きを見ます。

削減額は金額に比例せず階段状に増える

期間短縮型は、繰上げ返済によって完済が何ヶ月早まるかで効果が決まります。 月単位でしか短縮されないため、削減額は投じた金額に比例せず、段差をつけて増えます。

繰上げ返済額減る利息短縮される期間
50,000円4,630円0ヶ月
60,000円5,562円0ヶ月
66,000円6,138円0ヶ月
67,000円13,128円1ヶ月
70,000円13,407円1ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年目の残債26,090,114円・残り30年に対し、期間短縮型で計算しています。

66,000円では6,138円にとどまりますが、67,000円では13,128円まで跳ねます。 差額1,000円の追加で削減額が6,990円増える計算です。 完済月が1ヶ月動く境目をまたぐかどうかで結果が変わるため、少額を刻んで入れるより、 段差を越える額をまとめて入れる方が同じ金額あたりの効果は出やすくなります。

まとめて入れるか、少額を毎年入れるか

手数料が1回ごとにかかる場合、回数を増やすほど固定費が積み上がります。 5年目から1年に1回ずつ投入する形で、1回あたりの額と回数を変えて比べました。 上の4行は投入合計が300万円で揃いますが、いちばん下の行だけは 繰上げ返済で完済が早まる分だけ投入できる回数が減り、合計が300万円に届きません。

入れ方実行回数投入合計短縮される期間減る利息手数料5,500円なら手数料22,000円なら
300万円×1回 1回 300万円 3年8ヶ月 547,081円 541,581円 525,081円
100万円×3回 3回 300万円 3年7ヶ月 522,158円 505,658円 456,158円
50万円×6回 6回 300万円 3年6ヶ月 487,841円 454,841円 355,841円
25万円×12回 12回 300万円 3年 402,483円 336,483円 138,483円
10万円×28回 28回 280万円 2年4ヶ月 230,414円 76,414円 −385,586円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年目から1年ごとに投入し、残り期間が尽きた時点で打ち切っています(そのため最下行は投入合計が280万円です)。手数料の額は本ページの仮定です。手数料欄は「減る利息 − 手数料の合計」です。

300万円を1回で入れた場合の削減額547,081円に対し、 同じ300万円でも25万円ずつ12回に分けると402,483円まで落ちます。 1回あたりが小さくなるだけでなく、投入時期が後ろにずれるぶん削減額そのものが減るためです。 最下行は10万円ずつで28回、投入合計280万円に対して削減額は230,414円。 そこへ手数料22,000円が28回分かかると合計616,000円となり、 差し引き385,586円の持ち出しになります。

ただし、まとめて入れるには手元にその額を貯めておく必要があり、その間は利息が減りません。 手数料が無料なら、貯めずに都度入れる方が早く効き始めます。 手数料の有無で、貯めてから入れるか都度入れるかの判断そのものが変わります。

手数料の条件を確認する手順

まず契約先の商品説明書やインターネットバンキングの画面で、繰上げ返済の手数料と最低金額を確認します。 窓口・電話・インターネットで額が違う商品があり、同じ金融機関でも受付方法によって条件が分かれることがあります。

住宅金融支援機構の【フラット35】は、繰上返済について 「なお、この手続に手数料はかかりません。」と案内しており、繰り上げて返済できる額は窓口では100万円以上、 インターネットサービス「住・My Note」では10万円以上としています (住宅金融支援機構【フラット35】繰上返済)。 このように、手数料も最低金額も商品によって扱いが異なります。

次に、返済予定表から残債・残り期間・適用金利を読み取り、このページの表と同じ形で自分の許容上限を出します。 最後に、手元資金をどこまで使うかを決めます。繰上げ返済に回した資金は原則として戻ってこないため、 生活防衛資金を残したうえで余った分を充てる順番になります。

手数料以外に確認しておくこと

住宅ローン控除を受けている期間中は、繰上げ返済で年末残高が減ると控除額も減ります。 手数料を回収できる金額であっても、控除の減少分まで含めると結論が変わる場合があります。 この論点は控除中の繰上げ返済は損かで扱っています。

期間短縮型では、繰上げ返済によって返済期間そのものが短くなります。国税庁は、繰上げ返済後の償還期間が 当初の初回返済月から短縮後の最終返済月まで10年未満になると、住宅ローン控除の対象外になると案内しています (国税庁 繰上返済をした場合の住宅借入金等特別控除)。 控除期間が残っている段階で大きく短縮する場合は、この境目に触れないかを先に確認してください。

返済額軽減型を選ぶ場合は、減るのは毎月の負担で、利息の削減額は期間短縮型より小さくなるのが一般的です。 許容上限の考え方は同じですが、金額は変わります。方式ごとの差は 期間短縮型と返済額軽減型どっちで比較しています。

繰上げ返済の手数料についてよくある質問

手数料が無料なら、いくらからでも入れてよいですか

手数料がかからないなら、金額の下限として考えるべきは商品ごとの最低金額だけになります。 ただし手元資金が減ることは変わらないため、生活費や当面の支出に必要な現金を残せているかは別に確認します。

返済額軽減型でも同じ計算で判断できますか

考え方は同じで、「その回で減る利息」を手数料と比べます。ただし返済額軽減型は期間が変わらないため、 同じ金額でも減る利息は期間短縮型と異なります。方式を決めてから、その方式での削減額で比較してください。

手数料が高い場合、まとめてから入れる方がよいですか

本ページの試算では、10万円ずつ毎年入れると削減額は230,414円にとどまり、 手数料22,000円が28回分かかると持ち出しになりました。 一方で、貯めている間は残債が減らないという逆向きの効果もあります。 手数料の額と、貯めるのにかかる期間の両方を自分の条件で計算して比べる形になります。

まとめ

  • 減る利息の額が、そのまま手数料の許容上限になる
  • 5年目に10万円なら16,157円、100万円なら192,530円
  • 手数料22,000円が見合う最低金額は5年目で133,000円、25年目で374,000円
  • 10万円ずつ毎年入れると手数料が28回分かかり、22,000円なら385,586円の持ち出しになる