2つの方式の違い

繰上げ返済で入れたお金は、どちらの方式でも全額が元金に充当されます。違うのは、その後の扱いです。

  • 期間短縮型:毎月の返済額はそのまま。返済期間が短くなる
  • 返済額軽減型:返済期間はそのまま。毎月の返済額が下がる

入れた元金が同じでも、その後に残る残高の推移が変わるため、削減できる利息の額が違ってきます。

実額で比べる

残債2,500万円・残り25年・金利0.6%のローンに、 300万円を繰上げ返済した場合です。

選択毎月返済額返済期間総利息投じた現金
何もしない 89,760円 25年 1,927,940円
期間短縮型 89,760円 21年10ヶ月 1,477,213円 3,000,000円
返済額軽減型 78,989円 25年 1,696,566円 3,000,000円

このサイトの計算エンジンによる算出値です(金利は横ばいの前提)。

期間短縮型は返済期間が3年2ヶ月縮み、 返済額軽減型は毎月の返済額が10,771円下がります

総利息を比べると、期間短縮型の方が219,353円少なく済みます。 これが「利息を減らしたいなら期間短縮型」と言われる根拠です。

ただし差は219,353円です。この額をどう見るかは人によります。 金利が低い局面では、言われているほど大きな差にならないことも多いのが実情です。

変動金利では、返済額軽減型に別の効果がある ★

ここが一般的な比較記事で触れられない部分です。

125%ルールは、改定後の返済額を「直前の返済額の1.25倍」までに制限する仕組みです。 つまり上限は、そのときの返済額を基準に決まります。

返済額軽減型を選ぶと、いまの返済額そのものが下がります。ということは、 その後の改定における上限の基準も下がるということです。

先ほどと同じ条件で、金利が5年かけて3.1%まで上がった場合の初回改定を比べます。

項目繰上げ返済なし返済額軽減型で繰上げ後
改定前の返済額 89,760円 78,989円
改定後の返済額 112,200円 98,736円
改定による増加額 22,440円 19,747円

計算エンジンによる算出値です。

返済額軽減型を選んでおくと、金利が上がったときの改定後の返済額も 13,464円低く抑えられます。 毎月の負担の上限そのものが下がる、ということです。

ただし、これはいいことばかりではありません。 返済額が低いということは、それだけ元金の返済も遅いということです。 据え置き期間中に元金が減らない度合いは強まり、 金利が大きく上がれば未払利息が発生しやすくなります。 「毎月の負担を抑える」ことと「元金を減らす」ことは、ここでも裏表です。

住宅ローン控除への影響

期間短縮型で返済期間が10年を切ると、住宅ローン控除は打ち切りです。 残り11年のローンを2年縮めれば9年になり、その時点で対象外になります。

控除が残っている方で、期間短縮型によって10年を割りそうな場合は、 返済額軽減型を選ぶことで要件に触れずに済みます。

そもそも繰上げ返済をいまするべきかどうかは、控除率と適用金利の関係で変わります。 詳しくは住宅ローン控除中の繰上げ返済は損かをご覧ください。

選び方の整理

期間短縮型が向いている人

  • いまの返済額を払い続けられる余裕がある
  • 総利息をできるだけ減らしたい
  • 定年までに完済したいなど、期間そのものに目標がある
  • 控除期間が終わっている、または短縮しても10年を切らない

返済額軽減型が向いている人

  • 毎月の負担を下げて家計に余裕を作りたい
  • 金利上昇時の返済額の上振れを抑えておきたい
  • 期間短縮すると控除の10年要件を割ってしまう
  • 収入が減る見込みがある、または教育費の山が近い

「利息削減額」だけで選ばないことが要点です。 差が219,353円なら、毎月10,771円の余裕を作る方が 家計にとって価値が高い、という判断も十分に成り立ちます。

手数料と最低金額

繰上げ返済の手数料は金融機関によって異なります。ネットバンキング経由なら無料という金融機関が多く、 窓口だと数千円〜数万円かかることがあります。

最低金額の設定にも差があります。1万円から可能なところもあれば、100万円以上というところもあります。 手数料が無料で最低金額も低いなら、こまめに繰上げ返済する方が効率的です。