通知が届く時期
多くの金融機関では、基準金利の見直しは4月1日と10月1日です。 新しい金利が返済に反映されるのは、4月1日の見直しが7月の返済分から、 10月1日の見直しが翌年1月の返済分からです。
通知はこの前後に届きます。つまり、年に最大2回、確認の機会があります。
見るべき3つの箇所
1. 新しい適用金利
「基準金利」ではなく「適用金利」を見てください。 通知には「基準金利2.675%、引き下げ幅▲1.9%、適用金利0.775%」のように書かれています。 あなたに実際にかかるのは0.775%の方です。
引き下げ幅は原則として完済まで変わりません。 基準金利が上がれば適用金利も同じだけ上がります。
2. 返済額が変わるかどうか
通知には「返済額に変更はありません」または新しい返済額が書かれています。
「変更はありません」は「影響がない」という意味ではありません。 5年ルールがある契約では、金利が上がっても次の改定時期まで返済額は据え置かれます。 据え置かれている間、増えた利息は元金の減りを遅らせる形で吸収されています。
3. 返済額の内訳
ここが本題です。通知や最新の返済予定表には、毎回の返済額が 元金と利息に分けて書かれています。
前回の通知と見比べてください。返済額が同じなのに元金の欄が小さくなっていれば、 それが金利上昇の実際の影響です。払っている額は変わらないのに、借金の減りは遅くなっています。
読み方の詳細は返済予定表の読み方にまとめています。
次に確認したい2つの数字
通知そのものには書かれていませんが、この機会に押さえておきたい数字が2つあります。
次に返済額が改定される時期と金額
5年ルールがある契約なら、改定は5年ごとです。据え置き期間が長いほど、 そのとき想定より元金が減っておらず、改定後の返済額は大きく上がります。 125%ルールで上限はありますが、それは先送りであって免除ではありません。
未払利息が発生する金利までの距離
利息が毎月の返済額を超えると、足りない分が未払利息として積み上がります。その水準は計算できます。
未払利息が発生する金利 = 毎月の返済額 × 12 ÷ 残債
いまの適用金利からこの水準まで、どれだけ余裕があるか。 それが今回の金利上昇でどれだけ縮んだか。これが把握できていれば、 次に通知が来たときに慌てずに済みます。
試算ツールに残債・適用金利・残り期間を入れると、 この2つがそのまま出ます。通知が届いたタイミングで数字を更新して見るのが、いちばん実用的な使い方です。
慌てて借り換えないこと
金利上昇の通知が届くと、借り換えの広告が急に目につくようになります。 ただ、金利が上がったこと自体は借り換えの理由になりません。
理由は3つあります。
- 借り換え先の変動金利も同じように上がっています。 基準金利は各行おおむね連動するので、上昇局面では相手も上がっています
- 諸費用がかかります。 残債3,000万円クラスなら数十万円〜100万円規模です
- 控除が残っていると目減りします。 返済期間が10年未満になれば対象外、諸費用を上乗せすれば按分で減ります
借り換えに意味があるのは「金利が上がったから」ではなく、 「いまの適用金利と、借り換え先の金利に差があるから」です。 引き下げ幅の大きい条件で借りている方は、上昇局面でも借り換えが不利なままということがあります。
費用の内訳は借り換えの諸費用は結局いくらか、 控除への影響は借り換えで住宅ローン控除はどう変わるかで扱っています。
それでも動く価値があるケース
次のどれかに当てはまるなら、試算する価値があります。
- 借入から年数が経っていて、いまの新規向け金利より適用金利が明らかに高い
- 返済額が1.25倍になったとき、家計が回らない自信がない
- 未払利息が発生する水準まで、余裕が1%程度しかない
- 変動のままでいることに、そもそも落ち着かなさを感じている
最後のものは数字ではありませんが、正当な理由です。 固定への変更は「これ以上上がらないことを買う」取引なので、 安心を買う対価として金利差を払うという判断は成り立ちます。 考え方は変動から固定へ変えるタイミングにまとめました。
まとめ
- 通知は年に最大2回。4月・10月の見直しが7月・翌1月の返済に反映される
- 見るのは基準金利ではなく適用金利
- 「返済額に変更なし」は「影響なし」ではない。内訳が変わっている
- 次の改定時期・改定額と、未払利息が出る水準までの距離を把握しておく
- 金利が上がったこと自体は借り換えの理由にならない。相手も上がっている