期間別|毎月返済額と総返済額

前提は、残債2,400万円・残り25年・現在の金利1%のローンを、 金利0.6%へ借り換えるケースです。元利均等・ボーナス返済なしで、 借り換え後の返済期間だけを25年・30年・35年と変えて比較します。 諸費用は事務手数料が借入額の2.2%(定率)の場合として、計算エンジンで積み上げた744,000円を使いました。

プラン毎月返済総利息総返済額諸費用込みの現状比
現状維持(1%・残り25年)90,449円313万円2,713万円基準
借り換え25年(0.6%) 86,169円 185万円 2,585万円 54万円減
借り換え30年(0.6%) 72,863円 223万円 2,623万円 16万円減
借り換え35年(0.6%) 63,366円 261万円 2,661万円 22万円増

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債と金利を固定し、借り換え後の返済期間だけを変えています。諸費用は借入額に上乗せせず、現金で支払う前提で総額に加えています。

期間を25年のまま借り換えると、毎月は4,280円下がり、諸費用を払っても総額は54万円減ります。 30年に延ばすと毎月の下げ幅は17,586円に広がりますが、総額の減りは16万円まで縮みます。 35年まで延ばすと毎月は27,083円下がる一方、諸費用を含めた総額は現状維持より22万円増えます。

「毎月を下げる」費用は月あたりいくらか

25年据え置きと35年を並べると、差は毎月22,803円・総額76万円です。 増える763,095円を、延びる120回の返済で割ると1回あたり6,359円になります。 つまり毎月22,803円の余裕をつくるために、返済が10年延びて総額が76万円増える、という交換です。

この交換が妥当かどうかは、金額だけでは決まりません。教育費のピークが数年先に来る、収入の回復が見込める、 あるいは毎月の赤字を止める必要があるといった事情があれば、総額が増えても期間を延ばす判断はあり得ます。 逆に、いまの返済額を無理なく払えているなら、期間を延ばす理由は薄くなります。 判断の材料として、増える金額をこの記事の表で確認しておくという順序です。

残債別|25年を35年に延ばした場合

残債が違えば、下がる毎月返済額も増える総額も変わります。金利0.6%・元利均等で、 返済期間25年と35年を残債別に比べた結果です。

残債25年の毎月35年の毎月毎月の下げ幅総返済額の増加
1,800万円 64,627円 47,525円 17,102円 57万円
2,400万円 86,169円 63,366円 22,803円 76万円
3,000万円 107,712円 79,208円 28,504円 95万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用は含めず、返済期間だけを25年と35年で比べています。

下げ幅も増加額も、残債にほぼ比例します。自分の残債が表にない場合は、近い行から比例で見当をつけるか、 このページ末尾のツールに残債と期間を入れて計算してください。 すでに返済が進んでいる人は、当初借入額ではなく返済予定表の残債で計算するのが前提です。

借り換え後の金利別|期間を決める前に見る数字

期間の効き方は、借り換え後の金利によっても変わります。残債2,400万円で、金利と期間を組み合わせた結果です。

借り換え後の金利25年(毎月/総返済額)30年(毎月/総返済額)35年(毎月/総返済額)
0.6% 86,169円/2,585万円72,863円/2,623万円63,366円/2,661万円
1% 90,449円/2,713万円77,193円/2,779万円67,748円/2,845万円
1.5% 95,984円/2,880万円82,828円/2,982万円73,484円/3,086万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用は含めていません。金利と期間の組み合わせだけを変えています。

金利0.6%では25年と35年の総返済額の差は76万円ですが、 金利1.5%では207万円に広がります。 金利が高いほど、期間を延ばすコストは大きくなります。 提示された金利が思ったより高かった場合は、期間を延ばす前に金利差そのものの効き方を確認しておくと判断しやすくなります。

期間を延ばすと金利上昇に晒される時間も延びる

借り換え先が変動金利なら、期間を延ばすことは「金利が動く可能性のある期間を延ばす」ことでもあります。 ここでは予測ではなく仮定として、0.6%から10年かけて一定ペースで +1.5ポイント上がった場合を計算しました。5年ルール・125%ルールがある契約という前提です。

返済期間2031年8月の改定額125%上限完済までの総返済額金利据え置きとの差未払利息が出る金利
25年 94,419円 当たらない 2,914万円 329万円増 4.31%
35年 71,832円 当たらない 3,208万円 547万円増 3.17%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利の予測ではなく、上昇幅と到達年数を仮定として置いた試算です。

同じ上昇シナリオでも、25年なら総返済額の増加は329万円、35年では547万円です。 差は218万円あります。期間を延ばして毎月を下げると、上昇局面での増え幅はむしろ大きくなります。 なお、このシナリオでは1回目の改定額はどちらも125%の上限には達しませんでした。 未払利息もどちらのケースでも発生していません。 未払利息が出る水準は、当初返済額が小さい35年の方が低く3.17%、25年では4.31%です。 毎月の返済額が小さいほど、利息が返済額を超える金利も低くなるという関係です。

浮いた差額を繰上げ返済に回した場合

「35年に延ばして毎月の余裕をつくり、浮いた分を繰上げ返済すれば同じでは」という考え方があります。 毎月22,803円を全額積み立て、5年・10年・15年後に期間短縮型でまとめて入れた場合を計算しました。 繰上げ返済の手数料は0円としています。

積立期間繰上げ返済額短縮月数完済までの期間総返済額25年据え置きとの差
5年 137万円 2年1ヶ月 32年11ヶ月 2,635万円 50万円増
10年 274万円 4年1ヶ月 30年11ヶ月 2,621万円 36万円増
15年 410万円 5年11ヶ月 29年1ヶ月 2,617万円 32万円増

このサイトの計算エンジンによる算出値です。差額を全額積み立て、途中で取り崩さずに期間短縮型で繰上げ返済した前提です。

3つの中で総返済額がいちばん小さい15年積立のケースでも、総返済額は25年据え置きより32万円多くなります。 35年のまま返し続ける場合と比べれば44万円減りますが、最初から25年で組んだ場合には届きません。 延ばした期間の利息は、積み立てている間も発生し続けるためです。 繰上げ返済は早いほど効くという関係も、この差に効いています。

控除の要件は「延ばす」より「短くする」側で問題になる

国税庁は、住宅借入金等特別控除の対象となる借入金の要件として 「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの」と示しています。 また、この10年以上の期間は「最初の返済等の時から返済等が終了する時までの期間をいいます」とされています (国税庁 タックスアンサー No.1225)。

つまり期間を延ばす方向の変更でこの要件に引っかかることは通常ありません。 注意が必要なのは逆で、借り換えや繰上げ返済で返済期間が10年を切る場合です。 控除が残っている人は、借り換えと控除の関係を先に確認してください。 なお、諸費用を借入に上乗せした分は控除の対象外として扱われるため、上乗せするかどうかでも控除額は変わります。

完済年齢で見るとどうなるか

期間を延ばすと、完済する年齢も後ろにずれます。40歳で借り換えたと仮定すると、 25年なら65歳、30年なら70歳、35年なら75歳で完済です。 定年後に返済が残る場合は、退職金や年金から払う前提になっているかを先に確認します。 毎月の返済額が下がっていても、収入がなくなった後に残る残債は別の問題です。

期間を延ばす代わりに、途中で繰上げ返済して完済年齢を戻す計画もあり得ます。 ただし前の表のとおり、差額を全額積み立てても総額は25年据え置きを下回りません。 完済年齢と定年後の残債も合わせて見て、 いつまでに終える必要があるのかを先に決めてから期間を選ぶ順序が現実的です。

確認手順

最初に返済予定表で、残債・適用金利・残り返済回数の3つを確認します。この3つがないと、 借り換え後の期間を変えた比較はできません。次に、借り換え候補の金利と、 事務手数料が定率か定額かを確認します。定率2.2%なら残債2,400万円で528,000円、 登記や司法書士報酬を含めた合計は744,000円という規模になります。

そのうえで、期間を据え置いた場合と延ばした場合の両方で、毎月返済額と総返済額を出します。 毎月の下げ幅だけを見て決めないことが要点です。 最後に、金利が上がった場合の改定額も確認します。変動で借りるなら、 期間が長いほど上昇に晒される時間も長くなります。 諸費用の内訳借り換えの時期も 同じ条件で並べると、判断の材料がそろいます。

よくある質問

借り換えで返済期間を元の35年に戻すことはできますか

取り扱いは金融機関により異なります。完済時年齢の上限や、当初の借入時期からの通算期間に制限を設けている場合があるため、 期間を前提に試算する前に、候補の金融機関で延長可能な年数を確認してください。本ページは期間が選べる前提での計算です。

毎月の返済が苦しいときも、期間を延ばすのは避けるべきですか

総額が増えることと、毎月の資金繰りが続くことは別の問題です。返済の継続が難しい状況であれば、 総額が76万円増えても期間を延ばす判断はあり得ます。借り換え以外に、 いまの金融機関での返済条件の変更という方法もあります。

期間を延ばした分、繰上げ返済で取り戻せますか

本ページの計算では、浮いた差額を全額積み立てて期間短縮型で繰上げ返済しても、 総返済額は25年据え置きより32万円多く残りました。近づけることはできても、同じにはなりません。 繰上げ返済の効果は方式と時期でも変わります。

まとめ

  • 25年を35年に延ばすと毎月は22,803円下がり、総返済額は76万円増える
  • 諸費用74万円を含めると、35年へ延ばす案は現状維持より総額が22万円増える
  • 同じ+1.5ポイントの上昇でも、増える総額は25年329万円に対し35年は547万円
  • 差額を積み立てて繰上げ返済しても、25年据え置きより32万円多く残る