期間を短くすると総返済額はいくら減るか

前提は残債2,000万円・残り25年・現在の適用金利0.6%・元利均等、 借り換え後の金利を0.4%とし、2026年10月から返済を始めるものとして計算します。 現状のまま返し続けた場合、毎月返済は71,808円、残り25年の総返済額は2,154万円、 完済は2051年9月です。ここから返済期間だけを変えると、次のようになります。

借り換え後の期間完済毎月返済現状との毎月差総返済額総額の減少
現状維持(25年・0.6%)2051年9月71,808円基準2,154万円基準
25年(0.4%) 2051年9月 70,066円 −1,742円 2,102万円 522,484円
20年(0.4%) 2046年9月 86,724円 +14,916円 2,081万円 728,442円
15年(0.4%) 2041年9月 114,496円 +42,688円 2,061万円 933,084円
10年(0.4%) 2036年9月 170,049円 +98,241円 2,041万円 1,136,382円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用はこの表にはまだ含めていません。

期間を据え置いたまま金利だけ下げると、総返済額は522,484円減り、毎月返済も−1,742円になります。 一方、20年へ5年短くすると総返済額の減少は728,442円に広がりますが、毎月返済は+14,916円です。 10年まで詰めると総額は1,136,382円減る代わりに、毎月は+98,241円になります。 短縮で減る総額は、毎月の支出を前倒しした結果であって、家計の余裕が増えるわけではありません。

諸費用を引くと結論が変わる

借り換えには事務手数料、抵当権設定の登録免許税、司法書士報酬、抵当権抹消費用、印紙税がかかります。 このサイトの既定値で積み上げると、借入額2,000万円に対して定率2.2%型は640,000円、定額型は255,000円です。 先ほどの総額の減少からこの費用を引くと、実際に手元に残る差額はこうなります。

借り換え後の期間総額の減少定率2.2%(640,000円)を引いた実質定額型(255,000円)を引いた実質
25年 522,484円 −117,516円 +267,484円
20年 728,442円 +88,442円 +473,442円
15年 933,084円 +293,084円 +678,084円
10年 1,136,382円 +496,382円 +881,382円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用は借入に上乗せせず、現金で払う前提で差し引いています。

定率2.2%型では、期間を据え置いた借り換えは−117,516円になります。金利は下がっているのに、 諸費用640,000円を総額の減少522,484円が上回れないためです。この条件では 「借り換えない方が支出が少ない」という結果になります。同じ金利差でも20年へ短縮すれば+88,442円、 15年なら+293,084円となり、符号が入れ替わります。

定額型なら諸費用が255,000円で済むため、期間を据え置いても+267,484円残ります。 手数料の方式は借入額に対する影響が大きいので、金利だけを並べた比較では判断できません。 諸費用の内訳は借り換えの諸費用は総額いくらで項目ごとに確認できます。

金利差がどれだけあれば短縮が見合うか

期間を20年へ短くすることを固定し、借り換え後の金利だけを変えて計算します。 現在の適用金利0.6%と同じ金利で借り換えた場合も含めています。

借り換え後の金利金利差毎月返済(20年)総返済額定率2.2%を引いた実質定額型を引いた実質
0.6% 差なし 88,454円 2,123万円 −326,530円 +58,470円
0.5% −0.1ポイント 87,586円 2,102万円 −118,386円 +266,614円
0.4% −0.2ポイント 86,724円 2,081万円 +88,442円 +473,442円
0.3% −0.3ポイント 85,868円 2,061万円 +293,937円 +678,937円
0.2% −0.4ポイント 85,018円 2,040万円 +498,118円 +883,118円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。期間は20年に固定し、借り換え後の金利だけを変えています。

金利が0.6%のまま期間だけ20年へ短くすると、定率2.2%型では−326,530円です。 期間短縮そのものは利息を減らしますが、この条件ではその減少幅が諸費用に届きません。 つまり「期間を短くすれば必ず費用を回収できる」わけではなく、金利差と諸費用の組み合わせで結果が変わります。 この条件で定率2.2%型の実質差額がプラスに転じるのは0.4%、 つまり0.2ポイントの金利差からで、0.5%では−118,386円のままです。 金利差だけで見る分岐点は借り換えの金利差は何%から得かで扱っています。

残債が小さいと短縮しても届かないことがある

諸費用のうち事務手数料と登録免許税は借入額に比例し、司法書士報酬などは定額です。 残債が小さいほど、比例しない費用の重みが増します。同じ「25年→20年・0.6%→0.4%」を残債別に当てた結果です。

残債毎月返済の増加定率2.2%の諸費用定率型の実質差額定額型の実質差額
1,000万円 +7,458円 380,000円 −15,798円 +149,202円
1,500万円 +11,187円 510,000円 +36,324円 +311,324円
2,000万円 +14,916円 640,000円 +88,442円 +473,442円
2,500万円 +18,646円 770,000円 +140,561円 +635,561円
3,000万円 +22,375円 900,000円 +192,689円 +797,689円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債ごとに諸費用を計算し直しています。

残債1,000万円では、5年短縮しても定率2.2%型の実質差額は−15,798円にとどまります。 同じ条件でも定額型なら+149,202円です。残債が小さい局面では、 期間短縮より手数料方式の選択の方が結果を左右します。

短縮すると未払利息の危険水位はどう動くか

借り換え後も変動金利を選ぶ場合、返済額を利息が上回ると未払利息が発生します。 その分かれ目の金利は、残債と返済額から逆算できます。期間を短くすると返済額が上がるため水位は上がりますが、 期間を据え置いて金利だけ下げた場合は返済額が減るので、逆に下がります。

返済期間毎月返済未払利息が発生する金利
現状維持(25年・0.6%)71,808円4.31%
25年(0.4%)70,066円4.2%
20年(0.4%)86,724円5.2%
15年(0.4%)114,496円6.87%
10年(0.4%)170,049円10.2%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債2,000万円と各ケースの毎月返済額から逆算しています。

注意したいのは、期間を据え置いた借り換えでは水位が下がる点です。 金利が下がって返済額が71,808円から70,066円へ減るため、 未払利息が出る金利は4.31%から4.2%へ下がります。 毎月が軽くなるかわりに、金利上昇に対する余白は薄くなる方向です。 20年へ短縮すれば5.2%、10年なら10.2%まで上がります。 この水位は借り換え直後の残債と返済額に対する値で、返済が進めば変わります。 変動金利の返済額改定と125%ルールの扱いは金融機関により異なるため、契約書と返済予定表で確認してください。

期間を10年未満にすると控除の対象から外れる

期間を詰めるほど総額は減りますが、住宅ローン控除には期間の下限があります。 国税庁は借換えについて、控除を引き続き受けるための要件として 「新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること」と 「新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること」を挙げています (国税庁 No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき)。

上の表で10年のケースを最短にしているのはこのためです。返済期間を9年に設定すると、 総返済額はさらに減る一方で、この要件を満たさなくなります。同じ国税庁のページは、 控除を受けられる年数について「住宅借入金等特別控除を受けることができる年数は、居住の用に供した年から一定期間であり、 住宅ローン等の借換えによって延長されることはありません」としています。期間を長くしても控除期間は伸びません。

年末残高の扱いにも決まりがあります。同ページは、借換え直前の残高より新しい借入額が大きい場合、 新ローンの年末残高に「借換え直前の残高 ÷ 新しい借入額」を掛けた額が対象になるとしています。 諸費用を借入に上乗せすると、この按分で控除対象額が減ります。本ページの計算は諸費用を現金で払う前提のため、 新しい借入額は残債と同額の2,000万円で、按分は生じません。控除がまだ残っている場合の損得は 借り換えで住宅ローン控除は減るのかも合わせて確認してください。

どこを見て決めるか

最初に見るのは、総額の減少ではなく諸費用を引いたあとの実質差額です。 この試算では、同じ0.2ポイントの金利差でも、期間据え置きで−117,516円、 5年短縮で+88,442円と符号が変わりました。金利差だけを比べても結論は出ません。

次に見るのは毎月返済です。5年短縮では+14,916円、10年に詰めると+98,241円です。 実質差額が大きいのは短くした側ですが、その差額は毎月の支出を増やして買っています。 収入が下がったときや金利が上がったときに払い続けられるかを、短縮後の返済額で確かめる必要があります。 毎月を下げたい場合の逆向きの計算は借り換えで返済期間を延ばすとにあります。

三つ目は、短縮のかわりに繰上げ返済を使う選択肢です。契約で期間を短くすると、上がった毎月返済額を後から下げるには 改めて条件変更や再度の借り換えの手続きが要ります。期間を据え置いて任意に繰上げ返済すれば、 元金を減らす時期と金額を自分の裁量で選べます。 手元資金の余裕がどれだけあるかで、どちらが現実的かが変わります。

確認する順番

まず返済予定表で、現在の残債・適用金利・残り回数の3つを確認します。 本ページの前提(残債2,000万円・残り25年・0.6%)と離れているほど、結果は変わります。

次に、借り換え候補の金利と事務手数料の方式を確認します。定率か定額かで、 この試算では385,000円の差が出ました。保証料の有無と旧ローンの保証料の戻り、 全額繰上返済手数料も金融機関によって異なるため、実額を確認して積み直します。

そのうえで、短縮後の毎月返済額を家計に置きます。年間の増加額は5年短縮で178,992円です。 固定資産税や修繕費など年単位の支出と重ねても続けられるかを見てから、期間を決めます。 控除が残っている場合は、残りの控除年数と借り換え後の償還期間を照らして、要件を満たすかを先に確かめます。

借り換えと期間短縮についてよくある質問

期間を短くすると審査は厳しくなりますか

期間を短くすると毎月返済額が上がるため、返済負担率の計算上は不利に働きます。 この試算でも20年へ短縮すると毎月+14,916円、10年なら+98,241円です。 審査の基準は金融機関により異なるので、本ページでは金額の計算にとどめています。

期間は据え置いて、繰上げ返済で短くするのとどちらがよいですか

総額だけで見れば、同じ時期に同じ金額を返せば結果は近づきます。違いは柔軟性で、 契約で短くした毎月返済額を下げるには手続きが要りますが、繰上げ返済なら実行の時期と金額を選べます。 一方で、期間を据え置くと本ページの試算では実質差額が−117,516円となり、 繰上げ返済に回す資金がないまま据え置くと、定率型では諸費用を回収できません。

諸費用を借入に上乗せすれば、短縮しても毎月の負担は抑えられますか

上乗せすると当座の現金支出は減りますが、借入額が増えるため利息も増えます。 さらに国税庁の示す按分により、借換え直前の残高を超えた部分は控除の対象外になります。 本ページは現金で払う前提で計算しているため、上乗せする場合は借入額を増やして計算し直してください。

まとめ

  • 残り25年を20年へ短縮すると、定率2.2%の諸費用640,000円を引いても88,442円残る
  • 期間を据え置くと同じ金利差でも−117,516円で、この条件では借り換えない方が支出が少ない
  • 短縮で総額が減るのは毎月を増やした結果。20年で+14,916円、10年で+98,241円
  • 借り換え後の償還期間が10年以上であることが控除の要件で、控除期間は借換えでは延長されない