何にいくらかかるか

借り換えでかかる費用は、おおむね次の項目に分かれます。

項目目安誰に払うか
事務手数料(定率) 借入額 × 2.2% 前後 借入先の金融機関
事務手数料(定額) 数万円〜 借入先の金融機関
抵当権設定の登録免許税 借入額 × 0.4% 国(登記時)
司法書士報酬 数万円〜10万円程度 司法書士
抵当権抹消費用 1〜2万円程度 国・司法書士
印紙税 借入額に応じて数千円〜数万円 国(契約書に貼付)
全額繰上返済手数料 0〜数万円 いまの借入先
保証料(新規・一括前払いの場合) 借入額・期間による 保証会社
保証料の戻り(いまのローン) 費用を減らす方向

金額は金融機関・物件・借入額によって変わります。

残債3,000万円で実際に積み上げると、こうなります。

項目定率2.2%の場合定額5.5万円の場合
事務手数料 660,000円 55,000円
抵当権設定の登録免許税 120,000円 120,000円
司法書士報酬 80,000円 80,000円
抵当権抹消費用 20,000円 20,000円
印紙税 20,000円 20,000円
合計 900,000円 295,000円

このサイトの計算エンジンによる算出値です(保証料の戻り・繰上返済手数料は0円として計算)。

手数料の方式が違うだけで、合計は605,000円変わります。

定率と定額、どちらが得か

事務手数料には「借入額の2.2%」のような定率型と、 「一律5.5万円」のような定額型があります。

残債3,000万円なら、定率2.2%で66万円、定額5.5万円なら5.5万円。差は60万円以上です。 これだけ見ると定額が圧倒的に有利に見えます。

ただし定額型は金利がやや高めに設定されていることが多いのが実情です。 手数料の差60万円を金利差で取り返せるかどうかは、残債と残り期間で変わります。

  • 残債が多い・残り期間が長い → 金利差が効くので、定率でも回収しやすい
  • 残債が少ない・残り期間が短い → 金利差が効きにくいので、定額型が有利になりやすい

実際に計算します。定額型の金利を定率型より0.2%高い前提(定率0.6% / 定額0.8%)として、 諸費用まで含めた総額で比べたものです。

残債 / 残り期間定率の総額定額の総額有利なのは
1,500万円 / 10年 15,968,193円 15,847,940円 定額 120,253円
2,000万円 / 20年 21,868,850円 21,904,185円 定率 35,335円
3,000万円 / 25年 33,213,567円 33,404,733円 定率 191,166円
4,000万円 / 30年 44,877,750円 45,339,882円 定率 462,132円

計算エンジンによる算出値。金利差0.2%はあくまで例で、実際の条件は金融機関により異なります。

残債が少なく期間が短いと定額、多く長いと定率が有利になる、という関係が出ています。 金利差をどう置くかで分岐点は動くので、実際の条件で確かめてください。

保証料の戻りを忘れない

いまのローンで保証料を一括前払いしている場合、繰上完済すると 未経過期間分が戻ってくることがあります。これは諸費用を直接減らします。

戻り額の算定方法は金融機関によって異なり、経過年数が長いほど戻りは小さくなります。 金額は借入先に問い合わせれば教えてもらえます。 試算の前に一度確認しておく価値があります。数十万円変わることがあります。

なお、保証料を金利上乗せ型(0.2%程度上乗せ)で払っている場合は、前払いしていないので戻りはありません。

諸費用を借入額に上乗せすると何が起きるか

多くの金融機関は、諸費用を新しい借入額に上乗せできます。手出しの現金がなくても借り換えられるので便利ですが、 2つの副作用があります。

  1. 上乗せ分にも金利がかかる。 70万円を上乗せして30年払えば、その分の利息も乗ります。
  2. 上乗せ分は住宅ローン控除の対象外。 控除の対象は「住宅の取得のための借入」だけなので、諸費用の上乗せ分は按分して除かれます。

控除対象の割合 = 借り換え直前の残高 ÷ 借り換え後の借入額

残債2,500万円に諸費用80万円を上乗せして2,580万円で借り換えると、控除対象は年末残高の約96.9%になります。 控除が残っている方は、この目減りも計算に入れてください。詳しくは 借り換えで住宅ローン控除はどう変わるかで扱っています。

何年で回収できるか

もっとも単純な考え方は、毎月の返済額の差で諸費用を割ることです。

回収にかかる月数 = 諸費用の合計 ÷ 毎月の返済額の減少額

残債3,000万円・残り30年で、0.9%から0.6%へ借り換える場合を計算します。

項目金額
いまの毎月返済額95,120円
借り換え後の毎月返済額91,078円
毎月の差4,042円
諸費用(定率2.2%)900,000円
回収にかかる期間18年7ヶ月

計算エンジンによる算出値です。

残り期間が18年7ヶ月を大きく上回るなら、借り換えに意味があります。 逆に残りがこれと同程度なら、ほとんど旨みがありません。

ただしこの計算は金利が動かない前提の目安にすぎません。変動から変動への借り換えなら、 その後の金利上昇で返済額の差は変わります。控除が残っていれば、その増減も効きます。

試算ツールでは、この単純な損益分岐に加えて、 金利上昇シナリオごとの完済までの実質総支払額(総返済額+諸費用−控除)を並べています。 単純計算では有利に見えても、控除の減少を差し引くと逆転することがあります。

見落としやすい費用

  • 火災保険:借り換えでは通常そのまま継続できますが、 質権設定の変更手続きが必要な場合があります
  • 団体信用生命保険:借り換え先の団信に入り直すことになります。 健康状態によっては加入できず、借り換え自体ができないことがあります
  • 手続きの手間:金額ではありませんが、必要書類の準備と平日の来店が発生することがあります

団信は特に重要です。審査に落ちれば借り換えの話は成立しません。 持病がある方は、金利差を計算する前に加入可否を確認する方が早い場合があります。

まとめ

  • 諸費用は残債3,000万円クラスなら数十万円〜100万円規模になる
  • 定率と定額のどちらが得かは、残債と残り期間で入れ替わる
  • 保証料の戻りは事前に借入先へ確認する。数十万円変わることがある
  • 上乗せは便利だが、金利と控除の両方で目減りする
  • 回収年数の単純計算だけでなく、控除まで含めた実質の総支払額で判断する

ご自身の数字での積み上げは試算ツールで確認できます。 判定が「借り換えない方がいい」となる場合も、はっきりそう表示します。