基準ケース|2031年8月の改定で上がった分を戻す
残債3,000万円・残り35年・適用金利0.6%・2026年9月返済開始で、 毎月返済は79,208円です。ここから10年かけて一定ペースで金利が2.0ポイント上がる仮定を当てると、 最初の返済額改定は2031年8月で、返済額は93,618円(14,410円増)になります。
この時点の残債は2,675万円、残り期間は30年です。 返済額軽減型の繰上げ返済で返済額を元の79,208円まで戻すには、 412万円が必要という結果になりました。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 改定前の返済額 | 79,208円 |
| 改定の時期 | 2031年8月(返済開始から60回目) |
| 改定時の適用金利 | 1.6% |
| 改定後の返済額 | 93,618円(14,410円増) |
| 改定時点の残債 | 2,675万円 |
| 改定時点の残り期間 | 30年 |
| 元の額へ戻すのに必要な繰上げ返済 | 412万円(返済額軽減型) |
| 増加額の何ヶ月分か | 286ヶ月分(23年10ヶ月) |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルール・125%ルールがある契約として計算し、繰上げ返済の手数料は0円としています。
上昇幅別|+0.5ポイントでも110万円要る
同じ条件で、金利の上昇幅だけを変えた場合の必要額です。上昇幅が小さくても、 必要な元金は100万円単位になります。
| 上昇幅 | 改定時の金利 | 改定後の返済額 | 増加額 | 改定時の残債 | 元へ戻す必要額 | 増加額の何ヶ月分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| +0.5pt | 0.85% | 82,647円 | 3,439円 | 2,625万円 | 110万円 | 320ヶ月分 |
| +1.0pt | 1.1% | 86,195円 | 6,987円 | 2,642万円 | 215万円 | 308ヶ月分 |
| +1.5pt | 1.35% | 89,851円 | 10,643円 | 2,659万円 | 315万円 | 296ヶ月分 |
| +2.0pt | 1.6% | 93,618円 | 14,410円 | 2,675万円 | 412万円 | 286ヶ月分 |
| +3.0pt | 2.1% | 99,010円(上限) | 19,802円 | 2,709万円 | 595万円 | 300ヶ月分 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも2031年8月の1回目改定時点で、返済額軽減型により元の79,208円へ戻す前提で計算しています。
必要額は上昇幅が0.5ポイントでも110万円、 2.0ポイントで412万円、3.0ポイントで595万円です。 どの行でも、増加額のおよそ286〜320ヶ月分にあたる元金が要ります。
+3.0ポイントの行だけ「上限」と付いているのは、 本来の改定額101,488円に対して125%ルールの上限99,010円が適用されているためです。 表に出ている増加額19,802円は上限で抑えられた後の数字で、抑えられた2,478円は後ろの回へ回ります。 この行の「何ヶ月分」が他の行より大きく出るのは、分母である増加額が上限で削られているからで、必要額そのものが割高になっているわけではありません。 上限の仕組みは変動金利に上限はないで詳しく扱っています。
なぜ月14,410円のために412万円要るのか
毎月14,410円の増加は、残り30年のあいだ続きます。 単純に足すと519万円です。繰上げ返済で返済額を戻すという行為は、 この先ずっと払う増加分を、いま一括で前払いするのとほぼ同じ意味になります。
必要額412万円が519万円より少ないのは、 先に元金を減らすとその後の利息が付かなくなる分だけ得をするためです。 基準ケースでは、払い続けた場合の合計に対して79.4%の額で済んでいます。 つまり総額としては前払いの方が小さいものの、その差は2割ほどで、 引き換えに412万円の現金を改定の時点で用意することになります。
毎月の増加額だけを見て「これくらいなら」と感じる金額と、それを消すのに要る元金が桁で違うのは、 住宅ローンの残り期間が長いためです。増加額が小さくても、掛ける月数が大きければ元金は大きくなります。
残り期間別|期間が短いほど必要額は小さい
同じ+2.0ポイントの上昇でも、改定時点の残り期間が短ければ必要額は下がります。 借入時の返済期間だけを変えて比べた結果です。
| 当初期間 | 改定前 | 改定後 | 増加額 | 改定時の残り期間 | 元へ戻す必要額 | 増加額の何ヶ月分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 35年 | 79,208円 | 93,618円 | 14,410円 | 30年 | 412万円 | 286ヶ月分 |
| 30年 | 91,078円 | 105,284円 | 14,206円 | 25年 | 352万円 | 248ヶ月分 |
| 25年 | 107,712円 | 121,737円 | 14,025円 | 20年 | 288万円 | 205ヶ月分 |
| 20年 | 132,681円 | 146,585円 | 13,904円 | 15年 | 223万円 | 160ヶ月分 |
| 15年 | 174,320円 | 188,292円 | 13,972円 | 10年 | 155万円 | 111ヶ月分 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・金利0.6%は共通で、当初の返済期間だけを変えています。
増加額はどの期間でも13,904円〜14,410円とほとんど変わらないのに、 必要額は当初35年の412万円に対し当初15年では155万円と、 2.7分の1になります。 増加額がほぼ同じでも必要額がこれだけ違うのは、消すべき増加分が残る月数が違うためです。
改定の回数別|2回目・3回目の必要額
返済額の改定は5年ごとに続きます。1回目を放置したまま2回目を迎えると、 元の額との差はさらに開きます。+2.0ポイントの仮定での各改定時点は次の通りです。
| 改定 | 時期 | 適用金利 | 改定後の返済額 | 前回からの増加 | 残債 | 当初79,208円へ戻す | 前回の額へ戻す |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 2031年8月 | 1.6% | 93,618円 | 14,410円 | 2,675万円 | 412万円 | 412万円 |
| 2回目 | 2036年8月 | 2.6% | 107,672円 | 14,054円 | 2,373万円 | 628万円 | 310万円 |
| 3回目 | 2041年8月 | 2.6% | 107,672円 | 増加なし | 2,013万円 | 533万円 | — |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利は10年かけて+2.0ポイント上がったあとは動かない仮定で、3回目の改定では返済額が変わりません。
2回目の2036年8月に当初の79,208円まで戻そうとすると628万円、 1回目の改定額93,618円まで戻すだけなら310万円です。 戻す目標をどこに置くかで必要額は倍近く変わります。
3回目の2041年8月は、金利が上げ止まる仮定のため返済額が変わりません。 それでも当初の額との差は残ったままで、そこへ戻すには533万円が必要です。 2回目より少ないのは、残債と残り期間が減っているためです。 改定の時期が先に決まっている点は教育費と返済額改定が重なる年でも扱っています。
一部だけ入れた場合|100万円で下がるのは3,499円
全額を用意できない場合、入れた分だけ返済額は下がります。 1回目の改定時点(残債2,675万円・金利1.6%・残り30年)での金額別の結果です。
| 繰上げ返済額 | 返済額 | 改定後からの下げ幅 | 当初79,208円との差 | 100万円あたりの下げ幅 |
|---|---|---|---|---|
| 50万円 | 91,868円 | 1,750円 | +12,660円 | 3,500円 |
| 100万円 | 90,119円 | 3,499円 | +10,911円 | 3,499円 |
| 200万円 | 86,619円 | 6,999円 | +7,411円 | 3,500円 |
| 300万円 | 83,120円 | 10,498円 | +3,912円 | 3,499円 |
| 500万円 | 76,121円 | 17,497円 | −3,087円 | 3,499円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。返済額軽減型・手数料0円で、残り期間は30年のまま計算しています。
100万円あたりの下げ幅は3,499円前後でほぼ一定です。 残り期間が同じなら、返済額の下がり方は投入額に比例します。 500万円を入れると76,121円となり、 改定前の79,208円より3,087円低くなります。
同じ額を期間短縮型に回した場合
返済額を戻す目的なら返済額軽減型ですが、同じ金額を期間短縮型に入れると効き方が変わります。 毎月の返済額は93,618円のままで、完済が早まり利息の削減額は大きくなります。
| 繰上げ返済額 | 軽減型の返済額 | 軽減型の利息削減 | 短縮型の短縮期間 | 短縮型の利息削減 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 90,119円 | 26万円 | 1年5ヶ月 | 60万円 |
| 300万円 | 83,120円 | 78万円 | 4年2ヶ月 | 169万円 |
| 412万円 | 79,201円 | 107万円 | 5年7ヶ月 | 223万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。改定後は金利が動かない仮定で、改定時点から完済までの利息を比較しています。手数料は0円です。
元へ戻すのに要る412万円を期間短縮型に回すと、利息の削減は223万円で、 軽減型の107万円より116万円多くなります。 ただし毎月の負担は93,618円のままです。 毎月の資金繰りを戻したいのか、総額を減らしたいのかで選ぶ型が変わります。 2つの型の違いは期間短縮型と返済額軽減型どっちで詳しく比較しています。
改定時の金利水準別|必要額の目安
改定時点の残債2,675万円・残り30年を固定して、 改定時の適用金利だけを変えた場合の必要額です。自分の改定通知の金利に近い行を見ると目安が取れます。
| 改定時の金利 | 改定後の返済額 | 当初との差 | 元へ戻す必要額 | 増加額の何ヶ月分 |
|---|---|---|---|---|
| 1% | 86,047円 | 6,839円 | 213万円 | 311ヶ月分 |
| 1.6% | 93,618円 | 14,410円 | 412万円 | 286ヶ月分 |
| 2% | 98,883円 | 19,675円 | 533万円 | 271ヶ月分 |
| 2.6% | 107,102円 | 27,894円 | 697万円 | 250ヶ月分 |
| 3% | 112,790円 | 33,582円 | 797万円 | 237ヶ月分 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債と残り期間は基準ケースの改定時点に固定し、適用金利だけを変えています。
金利が1%なら213万円、3%なら797万円で、 必要額そのものは金利が高いほど大きくなります。一方で「増加額の何ヶ月分か」は 237〜311ヶ月分の範囲に収まります。 金利は増加額の大きさを決め、その増加額に対して何ヶ月分の元金が要るかは残り期間で決まる、という関係です。
返済額を戻しても危険水位は動かない
未払利息が発生する金利(危険水位)は、残債に対する年間返済額の比率で決まります。 基準ケースの改定時点では4.19%です。 412万円を入れて返済額を79,208円へ戻すと残債は2,263万円になり、 危険水位は4.20%とほとんど変わりません。
返済額と残債が同じ割合で小さくなるため、比率が動かないからです。 返済額軽減型で毎月の負担を戻すことと、金利上昇に対する余裕を作ることは別の話になります。 期間短縮型を選べば返済額は93,618円のまま残債だけが減るので、危険水位はその分だけ上がります。 自分の水準は金利は何%まで耐えられるかで確認できます。
判断基準|どの数字を見て決めるか
第一に、戻す目標をどこに置くかです。当初の額まで戻すのか、前回の改定額まででよいのかで必要額は変わります。 改定の回数別の表のとおり、2回目の改定では目標の置き方で318万円の差が出ました。
第二に、手元に残す現金です。412万円を投じれば毎月は14,410円軽くなりますが、 その現金は戻ってきません。生活防衛資金を割ってまで投入すると、次の改定や収入の変動に対応できなくなります。 必要額の考え方は生活防衛資金はいくら残すかと合わせて見てください。
第三に、住宅ローン控除が残っているかです。繰上げ返済で残高が減ると、年末残高をもとに計算される控除額も減ります。 また期間短縮型を選ぶ場合、国税庁は控除の対象となる借入金の要件を 「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの」とし、この期間は 「最初の返済等の時から返済等が終了する時までの期間をいいます」としています( 国税庁 No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等)。 返済額軽減型は期間が変わらないため、この点では影響しません。控除との兼ね合いは 控除中の繰上げ返済は損かで扱っています。
確認手順
まず返済予定表と改定の通知から、改定後の返済額・改定時点の残債・残り期間・新しい適用金利の4つを控えます。 この4つが揃えば、必要額はこのページと同じ手順で計算できます。
次に、契約先で返済額軽減型の繰上げ返済を選べるか、手数料と最低金額がいくらかを確認します。 取り扱いは金融機関により異なり、窓口とインターネットで手数料が違う場合もあります。 本ページは手数料0円として計算しているため、実額はその分だけ増えます。
最後に、投入後に手元へ残る現金と、次の改定(5年後)で想定される増加額を並べて見ます。 1回目を全額戻しても、金利が上がり続ける仮定では2回目でまた上がります。 1回で全部戻すのか、上がった分の一部だけ吸収して現金を残すのかを、そこで決めることになります。
返済額を元に戻す繰上げ返済についてよくある質問
繰上げ返済すれば返済額はすぐ下がりますか
返済額軽減型を選んだ場合、その時点の残債と残り期間で返済額が計算し直されます。 いつの返済分から反映されるかは金融機関の取り扱いによります。 期間短縮型を選ぶと返済額は変わらず、完済時期が早まります。
返済額を元に戻せば、5年ルールの基準額も元に戻りますか
125%ルールの上限は、直前の返済額の1.25倍として計算されます。 返済額を79,208円まで戻せば、次の改定での上限もその1.25倍が基準になります。 住宅金融支援機構【フラット35】は変動金利型について「毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ、見直し後の返済額は、変更前の返済額の1.25倍が限度とされているケースが一般的です」としています( フラット35 民間ローンや財形住宅融資との違いは?)。 ルールの有無と内容は契約により異なるため、契約書と返済予定表での確認が必要です。
金利が下がれば返済額は自動的に元へ戻りますか
5年ルールがある契約では、金利が下がっても返済額が変わるのは次の改定時です。 下がる方向でも時間差が生じる点は金利が下がったら返済額はいつ下がるかで計算しています。 本ページは金利の予測をしておらず、「もしこの水準まで上がったら」という仮定で計算しています。
まとめ
- 返済額が79,208円から93,618円へ上がった場合、元へ戻すのに必要な繰上げ返済は412万円
- 必要額は増加額14,410円の286ヶ月分にあたり、残り期間が長いほど大きくなる
- 100万円あたりで下がるのは3,499円前後。一部だけ入れる選択もできる
- 同じ412万円を期間短縮型に回すと5年7ヶ月短縮でき、利息削減は223万円と大きい