同行の引き下げと他行借り換えを同じ軸で並べる

条件は残債2,500万円・残り25年・現在の金利0.9%・元利均等・ボーナス返済なしです。 他行の提示金利は現在より0.4pt低い0.5%とし、諸費用は事務手数料を定率型として積み上げた77万円を使います。 同行での引き下げは、手続きにかかる費用を条件変更手数料5,500円のみとして計算しています。

現状のまま返し続けると、毎月返済は93,090円、残り25年の総返済額は2,792.7万円です。 ここを基準に、同行で0.1ptから0.4ptまで下がった場合と、他行へ移った場合を並べます。

選択肢適用金利毎月返済総返済額費用総支出現状との差
現状維持0.9%93,090円2,792.7万円0円2,792.7万円基準
同行で0.1pt引き下げ 0.8% 91,971円 2,759.1万円 5,500円 2,759.7万円 −330,103円
同行で0.2pt引き下げ 0.7% 90,861円 2,725.8万円 5,500円 2,726.4万円 −663,166円
同行で0.3pt引き下げ 0.6% 89,760円 2,692.8万円 5,500円 2,693.3万円 −993,624円
同行で0.4pt引き下げ 0.5% 88,667円 2,660.0万円 5,500円 2,660.6万円 −1,321,471円
他行へ借り換え 0.5% 88,667円 2,660.0万円 77万円 2,737.0万円 −556,971円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債と残り期間を固定し、金利と費用だけを変えています。

同じ0.4ptの引き下げでも、同行なら総支出2,660.6万円、他行借り換えなら2,737.0万円で、 差は76.5万円です。これは諸費用77万円と条件変更手数料5,500円の差額そのものです。 金利の下げ幅が同じなら、費用が小さい側が残ります。

他行へ移るときにかかる諸費用の内訳

借り換えは、旧ローンを一括返済して新しいローンを組み直す手続きです。 【フラット35】の公式サイトでは、借換融資にあたって旧ローンの抵当権を抹消し、新たに第1順位の抵当権を設定する必要があり、 印紙代、融資手数料、抵当権の設定および抹消のための登録免許税、司法書士報酬、繰上返済手数料などが利用者の負担になると案内されています (借換融資の手続|フラット35)。

このうち登録免許税は、三菱UFJ銀行の借換シミュレーションの注記で、抵当権設定にかかる分を借入金額に0.4%を乗じて算出するとされています (住宅ローン借換シミュレーション|三菱UFJ銀行)。 同じ注記では司法書士報酬を約10万円、電子契約を前提に印紙税を0円として置いています。本ページの内訳もこれに合わせました。

費目金額算出の根拠
事務手数料(定率) 550,000円 借入額の2.2%(仮定)
抵当権設定の登録免許税 100,000円 借入額の0.4%
司法書士報酬 100,000円 約10万円の想定
抵当権抹消費用 20,000円 旧ローンの抹消にかかる想定額
合計770,000円2,500万円を借り換える場合

このサイトの計算エンジンによる算出値です。事務手数料の率と司法書士報酬は仮定で、実際の金額は金融機関と司法書士により異なります。

金額の大半は事務手数料と登記費用です。どちらも借入額に連動するため、残債が大きいほど諸費用も大きくなります。 一方、同行での条件変更はローンを組み直さないため、抵当権の設定も抹消も発生しません。ここが両者の費用差の出どころです。

毎月返済は93,090円から88,667円へ4,423円下がります。 諸費用77万円をこの差額で回収するには14年7ヶ月かかる計算です。残り25年あれば回収できますが、残り期間が短いと回収前に完済します。

残り期間別|同行で必要な引き下げ幅

残り期間が短いほど、金利差で取り戻せる利息が小さくなり、固定的にかかる諸費用の重みが増します。 残債2,500万円を固定したまま、残り期間だけを変えて、他行借り換え(0.5%+諸費用77万円)と、 同行の引き下げがどこで並ぶかを出しました。

残り期間現状の総返済額他行借り換えの総支出現状との差諸費用の回収月数同行で並ぶ引き下げ幅
10年 2,615.1万円 2,640.5万円 +254,181円 15年(完済が先) 引き下げなしで同行が上
15年 2,673.5万円 2,672.4万円 −10,393円 14年10ヶ月 0.01%
20年 2,732.7万円 2,704.6万円 −280,789円 14年8ヶ月 0.11%
25年 2,792.7万円 2,737.0万円 −556,971円 14年7ヶ月 0.17%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。他行の金利は常に現在より0.4pt低いものとし、諸費用は定率型の77万円で固定しています。

残り25年では0.17%、残り20年では0.11%の引き下げで並びます。 残り15年では0.01%とほぼゼロで、同行が引き下げに応じない場合でも、他行借り換えの方が総支出が少ない幅は10,393円にとどまります。 残り10年では諸費用の回収に15年を要し、120ヶ月で完済するため回収が終わりません。 その結果、他行へ移ると総支出は現状より+254,181円となり、同行が引き下げに応じなくても現状維持の方が総支出は少ない計算になります。

つまり「他行が0.4pt低い」という事実だけでは結論が決まりません。残り期間によって、同行に求めるべき引き下げ幅は0%から0.17%まで動きます。

事務手数料の方式で分岐点は動く

諸費用の中でいちばん大きいのは事務手数料です。定率型は借入額に比例するため残債が大きいと膨らみ、定額型は残債に関係なく一定です。 残債2,500万円・残り25年で、方式だけを変えて必要な引き下げ幅を出すと次のようになります。

事務手数料の方式諸費用の合計他行借り換えの総支出同行で並ぶ引き下げ幅
定率(借入額の2.2%と仮定) 770,000円 2,737.0万円 0.17%
定額(55,000円と仮定) 275,000円 2,687.5万円 0.32%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。事務手数料以外の費目は定率型と同じ条件で固定しています。

定額型を選べる場合、諸費用は28万円まで下がり、同行に求める引き下げ幅は0.32%へ上がります。 他行の費用が小さいほど、同行の引き下げに求められる水準は高くなるという関係です。 ただし定額型は金利が高めに設定される商品もあるため、方式だけを見て決めることはできません。 金利と手数料の組み合わせごとの違いは事務手数料は定率と定額どちらが得かで扱っています。

同行の条件変更にかかる費用

同行での手続きは、ローンの組み直しではなく条件変更として扱われます。 三菱UFJ銀行は、返済額の減額・借入期間の延長、返済額の増額・借入期間の短縮、ボーナス返済に関する変更、返済日や返済方法の変更について、 インターネット受付で5,500円、電話または店頭窓口で11,000円(いずれも税込)の手数料を案内しています。 書面契約の場合は別途印紙代がかかるとされています (ご返済について|三菱UFJ銀行)。

同じページに金利種類の変更や金利の引き下げに関する手数料は掲載されていないため、本ページでは手続き費用を条件変更手数料5,500円として計算しました。 金利の引き下げに応じるかどうかは金融機関の判断であり、公表された商品ではありません。応じてもらえるとは限らない点を前提にしてください。

一方で、費用の桁は大きく異なります。他行借り換えの77万円に対し、同行の手続き費用は数千円から1万円台の水準です。 この差があるため、同行の引き下げ幅が他行より小さくても総支出で並ぶ余地が生まれます。

どちらを先に当たるか

判断の順序は、残り期間で変わります。残り期間が10年前後なら、他行へ移っても諸費用を回収しきれない計算になりました。 この場合は、同行の引き下げが通るかどうかに関係なく、現状維持が総支出では少ない側に出ます。無理に動かす理由は数字からは出てきません。

残り20年以上なら、他行借り換えは現状より総支出が少なくなります。ただし同行で0.17%程度の引き下げが通るなら、 そちらの方が総支出は小さくなります。順序としては、まず同行に条件変更の可否と引き下げ幅を確認し、 その回答を持って他行の提示金利と比べるのが、費用を増やさない進め方です。

もうひとつの軸は手間と審査です。借り換えは新規借入と同じ審査になるため、収入や勤続年数、健康状態(団信)の条件を満たす必要があります。 同行の条件変更も審査や書類提出を伴いますが、登記の手続きは発生しません。 金利差が小さい場合は、総支出の差より手続きの負担が大きく見えることもあります。

他行へ移る場合に必要な金利差そのものを知りたいときは借り換えは金利差何%から得になるか、 諸費用の総額を細かく見たいときは借り換えの諸費用はいくらかかるかが対応します。

確認手順

最初に返済予定表を開き、現在の残債、残り回数、適用金利、金利タイプを書き出します。 インターネットバンキングの残高照会ではなく返済予定表を見ると、元金と利息の内訳まで確認できます。

次に、いま借りている金融機関へ条件変更の可否を問い合わせます。確認したいのは、金利の引き下げに応じる余地があるか、 その場合の手数料はいくらか、申込方法で手数料が変わるか、金利タイプの変更も併せて扱えるかの4点です。

そのうえで他行の提示金利と事務手数料の方式を確認し、本ページの表と同じ形で総支出に直します。 比べるのは金利ではなく、諸費用を足した総支出と毎月返済の両方です。 最後に、その数字を残り期間で割って、何年で回収できるかを見ておくと判断が安定します。

変動金利なら改定サイクルも見る

現在の金利が変動の場合、他行へ借り換えると返済額の見直しサイクルが新しいローンの起点から数え直しになることがあります。 5年ルールのある商品では、借り換え直後に据え置き期間が始まり、次の返済額改定までの時間が延びる形になります。

同行での金利引き下げは、ローンを組み直すわけではないため、見直しサイクルがどう扱われるかは契約と手続きの内容によります。 金利が上がる局面を想定している場合は、引き下げ幅だけでなく、次の改定がいつ来るかも併せて確認してください。 この点は借り換えで返済額改定のサイクルはどうなるかで扱っています。

なお本ページでは金利の先行きを想定していません。表の数値は、現在の金利と提示金利がそのまま続いた場合の比較です。 金利が動く前提で比べたい場合は、ツール側で上昇シナリオを入れて計算し直してください。

よくある質問

同じ銀行に金利の引き下げを申し出ることはできますか

申し出ができるかどうか、応じてもらえるかどうかは金融機関の判断です。公表された商品ではないため、一律の条件はありません。 本ページは「引き下げが認められた場合に総支出がどう変わるか」を計算したもので、引き下げが受けられることを示すものではありません。 可否と条件は契約先の金融機関にご確認ください。

引き下げ幅が他行より小さくても同行の方が総支出は少なくなりますか

残り期間と諸費用の大きさで変わります。残債2,500万円・残り25年・諸費用77万円の条件では、 同行で0.17%下がれば、他行へ0.4pt低い金利で移るのと総支出が並びました。 これより大きく下がれば同行、小さければ他行の方が総支出は少ない計算になります。

残り期間が短い場合はどう考えればよいですか

残り10年のケースでは、毎月4,299円下がっても諸費用の回収に15年かかり、 完済が先に来るため総支出は現状より+254,181円になりました。 残り期間が短いほど、金利差より諸費用の方が効きます。繰上げ返済と比べる選択肢も含めて考える場面です。

まとめ

  • 他行へ0.4pt低い金利で移る場合の諸費用は77万円(定率型の仮定)
  • 同じ0.4ptなら同行の方が総支出は76.5万円少ない
  • 残り25年で他行借り換えに並ぶ同行の引き下げ幅は0.17%
  • 残り10年では他行借り換えの総支出は現状より+254,181円