控除額が決まる3つの段階
受け取れる額は、次の順で絞り込まれます。
- 年末残高 × 控除率で計算上の控除額を出す (2022年以降の入居なら0.7%、2021年以前なら1%)
- 借入限度額で頭打ちにする。 年末残高が限度額を超えていても、超えた分は計算に入らない
- 納めている税額で頭打ちにする。 所得税から引き、引ききれない分は住民税から引くが、住民税側にも上限がある
多くの解説は1で終わっています。実際に手取りが変わるのは3を通した後です。
年収と残高の組み合わせで計算する
控除率0.7%・借入限度額3,000万円として、実際に受け取れる年間の控除額を計算しました。
| 年収 | 控除できる上限 (所得税+住民税) | 年末残高 1,500万円 | 年末残高 2,500万円 | 年末残高 3,500万円 |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 172,263円 | 105,000円 | 172,263円 計算上は 175,000円 | 172,263円 計算上は 210,000円 |
| 500万円 | 235,845円 | 105,000円 | 175,000円 | 210,000円 |
| 600万円 | 302,210円 | 105,000円 | 175,000円 | 210,000円 |
| 800万円 | 563,586円 | 105,000円 | 175,000円 | 210,000円 |
| 1,000万円 | 900,516円 | 105,000円 | 175,000円 | 210,000円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。所得税額は年収からの概算(社会保険料15%・基礎控除のみ)で、 扶養控除や医療費控除などがあれば納税額はさらに小さくなり、頭打ちになりやすくなります。
色が付いているセルが頭打ちです。 計算上の控除額に届かず、差額は受け取れません。
残高が大きいほど頭打ちになりやすいという関係が見て取れます。 「限度額いっぱいまで借りた方が控除で得」という話が必ずしも成り立たないのは、これが理由です。
控除期間を通した総額
控除は毎年同じ額ではありません。残高が減っていくので、年を追うごとに少しずつ小さくなります。
借入3,500万円・35年・金利0.6%、年収700万円の場合で、 期間と控除率のパターン別に総額を計算しました。
| パターン | 控除の総額 |
|---|---|
| 10年(中古・経過措置など) | 2,017,028円 |
| 13年(2022年以降の新築等) | 2,517,162円 |
| 10年・控除率1%(2021年以前の入居) | 2,881,468円 |
計算エンジンによる算出値です。
初年度の控除額は210,000円です。これが13年続くわけではなく、 残高の減少にあわせて毎年小さくなっていきます。
なお2021年以前に入居した方は控除率が1%です。 いまの変動金利より控除率の方が高い状態なので、 繰上げ返済や借り換えの判断が2022年以降の入居者とは変わります。 詳しくは住宅ローン控除中の繰上げ返済は損かをご覧ください。
住民税から引ける額には上限がある
所得税から引ききれなかった分は住民税から引かれますが、無制限ではありません。
住民税からの控除上限 = 課税総所得金額等 × 5%(最大97,500円)
表の「控除できる上限」列は、所得税額とこの住民税上限を足した金額です。 年収が上がっても住民税側は97,500円で頭打ちになるため、 上限の伸びは所得税額の伸びだけになります。
2021年以前に入居した方は、住民税からの控除上限が課税総所得の7%・最大136,500円と、 現在より大きく設定されています。
頭打ちだと分かったら、判断が変わる
自分が頭打ちだと分かると、いくつかの判断が変わります。
- 繰上げ返済:残高を減らしても受け取る控除額が変わらないなら、 繰上げ返済で失うものはありません。「控除期間中は待つべき」という一般論が当てはまりません
- 借り換え:借り換えで残高が減っても控除の目減りが小さいので、 金利差のメリットがそのまま残ります
- 借入額:これから借りる方なら、 控除目当てで借入額を増やす意味が薄いということです
逆に満額受け取れている方は、残高を減らすと控除もそのまま減ります。 まず自分がどちらかを知ることが先です。
確定申告と年末調整
控除を受ける最初の年は確定申告が必要です。 2年目以降は年末調整で手続きできます(給与所得者の場合)。
借り換えをした年も、書類が変わるため手続きの確認が要ります。 必要書類は借入先と税務署でご確認ください。