未払利息が発生するのはいつか

未払利息は、その月の利息が返済額を超えたときに、超えた分の支払いが繰り延べられて生まれます。 返済額が5年間据え置かれる契約では、金利が上がっても支払う金額は変わらないため、 利息が返済額を追い越した瞬間から繰り延べが始まります。

ここでは残債3,000万円・残り35年・現在金利0.6%・元利均等で、 金利が3年かけて4.6%まで上がったと仮定して計算します。 毎月返済額は79,208円から始まります。 この条件では、未払利息が初めて出るのは2028年8月(24回目)、 返済開始から1年11ヶ月後です。

年月適用金利返済額利息元金未払利息の残高残債
1 2026年9月 0.6% 79,208円 15,000円 64,208円 0円 2,994万円
12 2027年8月 1.93% 79,208円 47,343円 31,865円 0円 2,936万円
24 2028年8月 3.27% 79,208円 79,231円 0円 23円 2,910万円
48 2030年8月 4.6% 79,208円 111,559円 0円 517,751円 2,910万円
60 2031年8月 4.6% 99,010円 111,559円 0円 886,161円 2,910万円
120 2036年8月 4.6% 123,762円 111,559円 0円 1,614,349円 2,910万円
180 2041年8月 4.6% 154,702円 111,559円 0円 851,229円 2,910万円
199 2043年3月 4.6% 154,702円 111,559円 0円 31,512円 2,910万円
200 2043年4月 4.6% 154,702円 111,559円 11,631円 0円 2,909万円
420 2061年8月 4.6% 220,326円 841円 219,485円 0円 0万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルール・125%ルールがある前提で、金利は半年ごとに見直す想定にしています。

発生した月の繰り延べ額は23円にすぎません。 金額としては小さく、返済額も79,208円のまま変わらないため、 通帳や引き落とし額を見ても気づく材料がありません。 変化が出ているのは内訳のほうで、この月の元金充当は0円になっています。

いくらまで積み上がり、いつ解消するか

繰り延べは1回では終わりません。返済額が据え置かれている間、利息が返済額を超え続けるかぎり毎月加算されます。 この条件での累計は1,626,552円で、繰り延べ残高が頭打ちになるのは2036年7月、 そこから減り始めて解消するのは2043年4月(200回目)です。 発生から解消まで、繰り延べ残高が残っている期間は14年8ヶ月続きます。

解消までに時間がかかるのは、返済額の改定に上限があるためです。 2031年8月の改定では、計算上必要な返済額が149,000円なのに対し、 実際に上がるのは1.25倍の99,010円までです。 その差の49,990円分は改定に反映されないため、返済額は利息に届かないままで、繰り延べが続きます。

この期間、元金充当が0円になる月が176回あり、 残債は2,910万円から14年8ヶ月動きません。 「返済額は変わっていないのに残債が減らない」という状態が、未払利息の実体です。

上昇幅別|発生する時期と累計額

同じ3年で上がるとして、上昇幅を変えると発生時期と金額はこう動きます。 現在金利0.6%からの到達水準で並べています。

到達金利未払利息初めて出る年月返済開始から累計額最終回の返済額
1.6% 発生しない 0円 94,551円
2.6% 発生しない 0円 115,748円
3.6% 発生する 2029年8月 2年11ヶ月 174,552円 149,601円
4.6% 発生する 2028年8月 1年11ヶ月 1,626,552円 220,326円
5.6% 発生する 2028年8月 1年11ヶ月 4,711,326円 8,604,069円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも3,000万円・35年・0.6%から3年かけて上がる想定です。

2.6%までなら、この条件では繰り延べは起きません。 3.6%で初めて発生し、累計は174,552円にとどまります。 ところが4.6%では1,626,552円と一桁増え、 5.6%では4,711,326円になります。 発生するかどうかの境目を少し超えたところから、金額の伸び方が急になります。

同じ上昇幅でも、上がるペースで結果が変わる

未払利息の発生は、到達する金利だけでは決まりません。 据え置き期間のうちにどこまで上がるかで決まるため、同じ4.6%に到達する場合でも、 そこまでにかける年数によって結論が変わります。

到達までの年数初めて出る年月返済開始から累計額総返済額
1年 2027年8月 11ヶ月 2,507,100円 6,828万円
3年 2028年8月 1年11ヶ月 1,626,552円 6,558万円
5年 2030年2月 3年5ヶ月 829,932円 6,275万円
7年 2033年2月 6年5ヶ月 273,978円 5,994万円
10年 発生しない 0円 5,574万円
15年 発生しない 0円 5,084万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。到達金利はいずれも4.6%で、そこまでにかける年数だけを変えています。

1年で到達する場合は11ヶ月後に発生し、累計は2,507,100円です。 一方、10年かけて同じ4.6%に達する場合、この条件では未払利息は出ません。 最初の改定が来る前に上がりきるか、改定をはさみながら上がるかで、繰り延べの有無が入れ替わります。

ただし総返済額は別の話です。10年かけて上がる場合でも総返済額は5,574万円で、 据え置きのままなら発生しないはずの利息を負担している点は変わりません。 未払利息が出ないことと、負担が軽いことは同じではありません。

残債と残り期間で発生条件はどう変わるか

利息は残債に比例し、返済額は残り期間で決まります。 そのため、返済が進んでいる人ほど「返済額に対する利息の比率」が低く、繰り延べは起きにくくなります。 同じ4.6%への上昇を、残債と残り期間の組み合わせを変えて当てた結果です。

残債残り期間現在の返済額現時点の閾値初めて出る年月累計額
3,000万円 35年 79,208円 3.17% 2028年8月 1,626,552円
2,500万円 30年 75,899円 3.64% 2029年2月 398,154円
2,000万円 25年 71,808円 4.31% 2029年8月 3,720円
1,500万円 20年 66,340円 5.31% 発生しない 0円
1,000万円 15年 58,106円 6.97% 発生しない 0円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。閾値は、現在の返済額のままで利息が返済額に並ぶ金利水準です。

残債3,000万円・残り35年では閾値が3.17%ですが、 残債1,500万円・残り20年では5.31%まで上がり、 4.6%への上昇では繰り延べが起きません。 自分が今どちらに近いかは、返済予定表の残債と残り回数を入れて計算すると判断できます。

繰り延べを生んでいるのは据え置きのルールそのもの

同じ金利上昇を、ルールの有無だけ変えて計算すると、未払利息がどこから来ているかがはっきりします。

契約の条件初めて出る年月未払利息の累計5年後(60回目)の返済額総返済額
5年ルールあり・125%ルールあり 2028年8月 1,626,552円 99,010円 6,558万円
5年ルールあり・125%ルールなし 2028年8月 873,612円 149,000円 6,023万円
5年ルールなし 発生しない 0円 140,728円 5,783万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利の上がり方(3年で4.6%)は3通りとも同じで、返済額の見直しルールだけを変えています。

5年ルールがない場合、この試算では未払利息は発生しません。 返済額が金利の見直しに合わせて改定されるため、利息が返済額を超える状態が生まれないからです。 そのかわり、60回目の返済額は140,728円となり、据え置きがある場合の99,010円より重くなります。

125%ルールだけを外した場合は、未払利息は同じ2028年8月に発生しますが、累計は873,612円にとどまります。 つまり、繰り延べを始めるのは据え置き(5年ルール)で、繰り延べを長引かせるのが1.25倍の上限です。 どちらのルールも「毎月の支払いを急に増やさない」ためのもので、負担を消すものではありません。 住宅金融支援機構【フラット35】も、変動金利型について 借入金利の上昇が続いた場合に元金が減らず未払利息が積み上がる可能性がある と説明しています。

閾値(危険水位)は固定ではない

「何%で未払利息が出るか」という閾値は、残債と返済額から決まるため、時間とともに動きます。 基準ケースの推移は次の通りです。

年月そのときの返済額残債未払利息が出る金利
1 2026年9月 79,208円 2,994万円 3.17%
24 2028年8月 79,208円 2,910万円 3.27%
60 2031年8月 99,010円 2,910万円 4.08%
120 2036年8月 123,762円 2,910万円 5.1%
180 2041年8月 154,702円 2,910万円 6.38%
240 2046年8月 193,377円 2,719万円 8.51%
300 2051年8月 220,327円 2,116万円 12.41%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。閾値は各時点の返済額と残債から逆算しています。

返済開始時の閾値は3.17%ですが、2031年8月の改定で返済額が99,010円へ上がると、 閾値も4.08%へ動きます。 改定のたびに閾値が上がるので、未払利息が出る期間は「上昇が始まってから、返済額の改定が追いつくまで」の区間に集中します。

逆に言えば、閾値を一度計算して安心できるのは次の改定までです。 金利が上がる局面では、改定の通知が来たタイミングで残債と返済額を入れ直すと、現在地を見失いにくくなります。

解消されなかった分は最終回に回る

基準ケースでは、繰り延べ分は2043年4月に解消し、最終回の返済額は220,326円で収まります。 一方、上昇幅が大きい場合はそうなりません。 5.6%まで上がるケースでは、最終回の返済額が8,604,069円になります。

この金額の中身は、未払利息そのものというより、期限までに返し切れなかった元金です。 返済額の上限に当たり続けた結果、元金の減りが遅れ、最終回にまとめて残るという形になります。 本ページではこの残りを最終回に計上していますが、実際にどう精算するか(一括請求、期間延長、条件変更など)は契約と金融機関の取り扱いによって異なります。

重要なのは、返済額の上限があっても支払総額に上限がつくわけではない、という点です。 この関係は変動金利に上限はないでも扱っています。 いくらまで耐えられるかを先に決めておきたい場合は、金利は何%まで耐えられるかも合わせて確認できます。

自分の契約で確認する手順

最初に契約書か商品説明書で、返済額の見直しが5年ごとかどうか、改定幅に1.25倍の上限があるかどうかを確認します。 この2点がない契約では、金利の見直しに合わせて返済額が変わるため、繰り延べは起きにくくなります。

次に、直近の返済予定表から残債・残り回数・適用金利・毎月返済額の4つを書き出します。 このうち残債と返済額が分かれば、現時点の閾値は計算できます。 そのうえで、上昇幅と上昇ペースを変えた複数の条件を当て、発生する年月がいつ来るかを確認します。

返済額の改定時期も控えておきます。 改定の月が分かっていれば、繰り延べが続く期間の上限が見えます。 改定後の金額が家計で吸収できない水準になりそうなら、その前に固定への変更、借り換え、繰上げ返済のどれが自分の条件に合うかを比較する時間が取れます。

未払利息の発生時期についてよくある質問

未払利息が発生したら通知は来ますか

通知の有無や記載方法は金融機関によって異なるため、ここでは断定できません。 確認しやすいのは返済予定表や残高のお知らせで、返済額が変わっていないのに残債の減り方が鈍っていないか、 利息と元金の内訳がどうなっているかを見ると、状態を把握しやすくなります。

未払利息が出るのは金利が何%を超えたときですか

一律の水準はありません。残債と返済額の関係で決まるため、同じ金利でも人によって結果が変わります。 基準ケースでは開始時点で3.17%ですが、残債1,500万円・残り20年なら5.31%です。

発生してしまった未払利息は後から減りますか

返済額の改定で利息を上回る返済ができるようになれば、繰り延べ分から順に解消されていきます。 基準ケースでは2028年8月に発生した分が2043年4月に解消しています。 繰上げ返済で残債を減らせば利息そのものが下がるため、解消を早める方向には働きます。

まとめ

  • 3年で4.6%まで上がる想定なら、未払利息は2028年8月(返済開始から1年11ヶ月後)に始まる
  • 累計は1,626,552円、解消は2043年4月で、その間の残債は2,910万円から14年8ヶ月動かない
  • 同じ4.6%でも、10年かけて上がる場合はこの条件では発生しない
  • 閾値は開始時3.17%から改定のたびに動くので、改定の通知が来たら計算し直す