返済額の改定は2031年8月から5年ごとに来る
変動金利の適用金利は半年ごとに見直されますが、5年ルールのある契約では、毎月の返済額が変わるのは 5年に1回です。金利がいつ動くかは分かりませんが、返済額が見直される「時期」だけは、 借りた月から機械的に決まります。3,000万円・35年・元利均等・ 2026年9月返済開始なら、改定は次の年月に来ます。
下の表は、現在の適用金利0.6%から10年かけて2%ポイント上がる仮定 (到達金利2.6%)で計算したものです。金利の予測ではなく、 「もしこの水準まで上がったら」という条件での試算です。
| 改定 | 時期 | その時の金利 | 改定前 | 改定後 | 増減 | その時の残債 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 2031年8月 | 1.6% | 79,208円 | 93,618円 | 14,410円 | 2,675万円 |
| 2回目 | 2036年8月 | 2.6% | 93,618円 | 107,672円 | 14,054円 | 2,373万円 |
| 3回目 | 2041年8月 | 2.6% | 107,672円 | 107,672円 | 変わらず | 2,013万円 |
| 4回目 | 2046年8月 | 2.6% | 107,672円 | 107,672円 | 変わらず | 1,603万円 |
| 5回目 | 2051年8月 | 2.6% | 107,672円 | 107,671円 | -1円 | 1,137万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルール・125%ルールがある前提で、金利は10年かけて2%ポイント上がると仮定しています。
1回目の2031年8月で毎月79,208円が93,618円へ、14,410円増えます。 2回目の2036年8月ではさらに14,054円増えて107,672円です。 3回目以降は増えていませんが、これは金利が10年で上げ止まる仮定を置いているためで、 改定そのものは5年ごとに来ています。上がり続ける仮定なら、3回目以降も増えます。
進学の年と重なるかは、いま特定できる
改定の年が2031年・2036年・2041年・2046年と決まっているなら、 あとは子が何歳のときにどの年が来るかを並べるだけです。ここでは 小学校入学を6歳、中学校入学を12歳、高校入学を15歳、大学入学を18歳になる年として数えています (誕生月による1年のずれは考慮していません。本ページの数え方であって、制度上の入学年度の定義ではありません)。
| 借入時の子の年齢 | 小学校入学 | 中学校入学 | 高校入学 | 大学入学 | 改定の年と一致するもの |
|---|---|---|---|---|---|
| 0歳 | 2032年 | 2038年 | 2041年 | 2044年 | 高校入学(2041年) |
| 3歳 | 2029年 | 2035年 | 2038年 | 2041年 | 大学入学(2041年) |
| 4歳 | 2028年 | 2034年 | 2037年 | 2040年 | なし |
| 5歳 | 2027年 | 2033年 | 2036年 | 2039年 | 高校入学(2036年) |
| 8歳 | 借入前 | 2030年 | 2033年 | 2036年 | 大学入学(2036年) |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。改定の年は上の表と同じ条件(2026年9月返済開始)で算出しています。
借入時0歳の子なら高校入学が2041年、 借入時3歳の子なら大学入学が2041年で、 どちらも3回目の改定と同じ年です。一方、借入時4歳の子の場合はどの進学年も改定の年に当たりません。 借入時0歳から17歳までの18通りで数えると、 進学の年のどれかが改定の年と一致するのは9通りでした。 全員に起きるわけではなく、半分程度という数字です。
なお、改定が来るのは8月で、入学は4月です。同じ年に重なる場合、 入学して数ヶ月後に返済額が上がる順番になります。入学時点の家計だけを見て「大丈夫だった」と判断すると、 同じ年の後半で条件が変わることになります。
教育費を足した月額はいくらになるか
教育費の実額は進路によって大きく変わります。ここでは平均額としてではなく、 月0円・3万円・5万円・8万円という仮定を置き、 改定後の返済額と足したときの月額を見ます。負担率は年収600万円に対する年間の割合です。
| 教育費(月) | 現在の合計 | 2031年8月以降 | 2036年8月以降 | 現在からの増加 | 年収600万円に対する負担率 |
|---|---|---|---|---|---|
| なし | 79,208円 | 93,618円 | 107,672円 | 28,464円 | 21.5% |
| 30,000円 | 109,208円 | 123,618円 | 137,672円 | 28,464円 | 27.5% |
| 50,000円 | 129,208円 | 143,618円 | 157,672円 | 28,464円 | 31.5% |
| 80,000円 | 159,208円 | 173,618円 | 187,672円 | 28,464円 | 37.5% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。返済額は上の表と同じ試算値、教育費の金額は本ページの仮定です。
教育費がない状態では、2036年8月以降の返済額107,672円は年収600万円に対して 21.5%です。ここに月50,000円の教育費が乗ると 157,672円、負担率は31.5%になります。 返済額の増加28,464円は、教育費が乗っていない時期に見れば吸収できる幅に見えても、 重なる年には合計で判断することになります。
上昇幅を変えると改定額はどう変わるか
上の試算は2%ポイント上がる仮定でした。上昇幅を変えると、同じ2031年8月の改定でも金額が変わります。 いずれも10年かけて一定ペースで上がる仮定です。
| 上昇幅 | 到達金利 | 2031年8月 | 2036年8月 | 2041年8月 | 125%上限 | 未払利息 | 総返済額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 据え置き | 0.6% | 79,208円 | 79,208円 | 79,208円 | 当たらない | 発生せず | 3,327万円 |
| +1%ポイント | 1.6% | 86,195円 | 92,616円 | 92,616円 | 当たらない | 発生せず | 3,772万円 |
| +2%ポイント | 2.6% | 93,618円 | 107,672円 | 107,672円 | 当たらない | 発生せず | 4,270万円 |
| +3%ポイント | 3.6% | 99,010円 | 123,762円 | 125,856円 | 当たる | 発生せず | 4,837万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。125%上限は、最初の3回の改定のいずれかで上限に当たったかを示しています。
2%ポイント上がる仮定では、1回目の改定額93,618円は いまの返済額の1.25倍にあたる99,010円を下回るため、125%上限には当たりません。 上限に当たるのは3%ポイント上がるケースだけで、このとき1回目の改定額は 99,010円で頭打ちになります。上限は返済額の上がり方を緩めますが、 払わずに済む仕組みではなく、繰り延べられた分は後の返済に回ります。
未払利息はこの4ケースのいずれでも発生していません。借入直後の閾値は 3.17%で、到達金利がいちばん高い3.6%のケースでも この水準には届かないためです。加えて、2036年8月の改定で返済額が上がると閾値自体も切り上がり、 2%ポイントのケースでは5.43%になります。
重なった年に増加分を打ち消すには
進学と改定が同じ年に来ることが分かっている場合、選べる手のひとつが繰上げ返済です。 2031年8月の改定時点(2%ポイント上がる仮定、残債2,681万円、 適用金利1.6%、残り30年1ヶ月)で、 返済額軽減型の繰上げ返済をした場合の毎月返済額です。
| 繰上げ返済額 | 改定後の毎月返済 | 下がる額 | 現在の79,208円との差 |
|---|---|---|---|
| なし | 93,618円 | — | 14,410円 |
| 100万円 | 90,126円 | 3,492円 | 10,918円 |
| 200万円 | 86,634円 | 6,984円 | 7,426円 |
| 300万円 | 83,143円 | 10,475円 | 3,935円 |
| 500万円 | 76,159円 | 17,459円 | 3,049円少ない |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。繰上げ返済手数料は0円として計算しています。実際の手数料と最低金額は金融機関により異なります。
改定後の93,618円を現在の79,208円まで戻すには、413万円が必要という結果でした。 増える額は毎月14,410円でも、それを金利1.6%・残り30年1ヶ月に対して 打ち消すとなると、必要な元金はこの規模になります。教育費が重なる時期に用意する金額としては小さくありません。
同じ300万円でも、期間短縮型を選べば毎月の返済額は93,618円のままで、 返済期間が4年2ヶ月短くなります。毎月の負担を下げたいのか、総額を減らしたいのかで 選ぶ型が変わります。2つの型の違いは期間短縮型と返済額軽減型どっちで扱っています。
どの数字を見て判断するか
判断に使う数字は3つです。1つ目は改定の年月。これは金利と関係なく決まっているので、 返済予定表と契約内容から先に確定させられます。2つ目は重なる年の月額合計。 改定後の返済額に、その年に見込む教育費を足した金額です。 3つ目はその月額が続く期間。改定後の返済額は次の改定まで5年続き、 教育費は進学した学校に在籍する間続きます。
優先順位は、重なる時期に手元資金が足りるかで変わります。重なる年が5年以上先なら、 それまでの期間で積み立てる余地があります。重なる年が2〜3年先で、かつ手元資金が薄い場合は、 繰上げ返済に資金を回すより現金を残す方向が選択肢に入ります。 手元資金の考え方は生活防衛資金はいくら残すかで計算しています。
金利がどこまで上がるかは分かりません。ただ、上の表のとおり、改定の時期と、 上昇幅ごとの改定額の範囲は先に出せます。「いくらになるか」を一点で当てるのではなく、 「どの幅なら耐えられるか」を確認する使い方が現実的です。 耐えられる水準の逆算は金利は何%まで耐えられるかで扱っています。
返済予定表で確認する手順
1つ目に、返済予定表または契約書で初回返済月を確認します。改定の起点はここです。 本ページでは2026年9月を初回として計算しているため、 初回月が違えば改定の年月もずれます。
2つ目に、5年ルールと125%ルールの有無を確認します。住宅金融支援機構【フラット35】は 変動金利型について「毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ」「見直し後の返済額は、変更前の返済額の1.25倍が限度とされているケースが一般的です」と説明していますが (【フラット35】住宅ローンの基礎知識)、 一般的なケースとしての説明であり、取り扱いは金融機関や契約により異なります。ルールがない契約では、 返済額は金利が動いた時点で見直されるため、5年周期の前提が当てはまりません。
3つ目に、すでに改定を経験しているかを確認します。返済開始から5年以上経っている場合、 次の改定は直近の改定から5年後です。返済予定表の返済額が途中で変わっている行があれば、そこが起点になります。 見方は返済予定表の見方にまとめています。
4つ目に、進学の年を並べて重なる年を特定し、その年の月額合計を出します。 ここまで出せば、あとは積立額や繰上げ返済の判断に進めます。
返済額が変わらない年に起きていること
上の表で3回目以降の改定額が変わらないケースがあったように、返済額が動かない年もあります。 ただし、返済額が据え置かれている間に金利が上がっていれば、返済額の内訳は変わります。 利息に回る分が増え、元金に回る分が減るためです。
2%ポイント上がる仮定では、完済までの総返済額は4,270万円で、 金利が動かない場合の3,327万円より943万円多くなります。 毎月の増加14,410円という数字だけを見ると小さく見えても、 据え置き期間中の元金の減り方の差が積み上がった結果がこの総額差です。
この構造は返済額は同じでも元金充当は減るで詳しく扱っています。 金利変更のお知らせが届いたときに見るべき箇所は金利変更のお知らせが届いたらにあります。
教育費と返済額改定についてよくある質問
改定の時期をずらすことはできますか
改定の周期は契約で決まっており、家計の都合で動かせる性質のものではありません。 動かせるのは返済額の側です。繰上げ返済や、借り換えによる期間・金利の変更が手段になります。 いずれも条件変更の可否と手数料は金融機関により異なるため、契約先への確認が必要です。
教育費が重なる年に返済を一時的に減らせますか
返済期間の延長や一時的な減額に応じる制度を設けている金融機関があります。 ただし総返済額は増える方向に働きます。返済が厳しくなりそうな場合の選択肢は 返済がきつい時の選択肢で金額に直しています。 延滞してから相談するより、その前に相談する方が選べる手は多くなります。
子が複数いる場合はどう見ればよいですか
子ごとに進学の年を並べ、同じ年に複数のイベントが重なるかを先に確認します。 本ページの表は子1人分の並べ方ですが、2人目以降も同じ手順で年を出せます。 改定の年は変わらないので、重なり方だけが増える形になります。
まとめ
- 返済額の改定は2031年8月から5年ごと。時期は金利と関係なく決まっている
- 2%ポイント上がる仮定なら、1回目の改定で毎月14,410円増える
- 借入時の子の年齢18通りのうち9通りで、進学の年が改定の年と一致した
- 重なった年に増加分を打ち消すには、繰上げ返済で413万円が必要という試算