通知が届く時期
見直しの時期は、契約している金利の種類で決まっています。 三菱UFJ銀行の案内では、変動金利に毎月見直し型と年2回見直し型があり、 年2回見直し型は10月1日と4月1日、毎月見直し型は毎月1日が基準日とされています (案内(2026年6月17日現在)/同(2026年9月18日現在)、2026年11月3日に確認)。
年2回見直し型なら、確認の機会は年に最大2回です。 ただし基準日の金利が、その月の返済からすぐ適用されるわけではありません。 通知が届く時期と、返済額や内訳が実際に動く月は離れています。次の節で見ます。
金利の種類・基準日・反映の時期は金融機関によって異なります。上は公式の案内で確認できた一例です。 ご自身の契約の扱いは、借入先の案内でご確認ください。
基準日と、返済に反映される月はずれる
基準日の金利は、その月の返済からではなく、数ヶ月あとの返済分から適用されます。 確認できた案内では、次のようになっています。
| 金利の種類 | 基準日 | 「ご返済のお知らせ」の発行 | 反映される約定返済分 |
|---|---|---|---|
| 毎月見直し型 | 2026年9月1日 | 2026年10月上旬頃 | 2026年11月(2ヶ月後) |
| 年2回見直し型 | 2026年10月1日 | 2026年11月上旬頃 | 2027年1月(3ヶ月後) |
この表は算出値ではなく、三菱UFJ銀行の案内(2026年6月17日現在)に書かれている日付を並べたものです。2026年11月3日に確認しました。 同じ案内では、新しい利率の適用開始は「返済日の翌日」からで、約定返済額に出るのは上の月からとされています。 続く見直しの時期も案内されており、発表日からの一覧は基準金利0.25%で返済はいくら増えるかに置いています。 他の金融機関の時期がこれと同じとは限りません。
つまり、通知が手元に届いた時点では、まだ返済の内訳が動いていないことがあります。 動くのは反映の月からです。前回の通知や返済予定表と見比べるときは、 どの返済分から新しい金利になっているかを合わせて確認してください。
では、このずれは金額としてどれだけ効くのでしょうか。 残債3,000万円・残り28年・現在0.6%で金利が0.25%分上がり、 返済額は据え置かれる場合を、反映までのずれの長さだけ変えて計算しました。
| 反映までのずれ | 最初の1年の利息 | 最初の1年で減る元金 | 完済までの総利息 | 即時反映との差 |
|---|---|---|---|---|
| 0ヶ月(仮に即時反映) | 251,444円 | 912,760円 | 3,746,483円 | — |
| 2ヶ月(毎月見直し型の例) | 238,867円 | 925,337円 | 3,732,150円 | −14,333円 |
| 3ヶ月(年2回見直し型の例) | 232,613円 | 931,591円 | 3,725,037円 | −21,446円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルールで返済額が据え置かれ、上昇後の金利が完済まで続く仮定で計算しています。
ずれが3ヶ月あると、完済までの総利息は即時反映より21,446円少なくなります。 一方で0.25%の上昇そのものは、総利息を1,148,640円増やします (金利が0.6%のままなら総利息2,597,843円、即時に0.85%になれば3,746,483円)。 ずれが打ち消すのは、上昇の影響のうち1.9%ほどです。
ずれは猶予ではなく、動き出す時期の後ろ倒しです。反映の月が来れば内訳は変わり、 据え置きの間に減らなかった元金は、次の返済額の改定に乗ります。 改定の時期は借入年月から読めるので、次の返済額改定はいつか、借入年月の早見表で 自分の年月を確認しておくと、通知と改定のどちらが先に来るかが分かります。
見るべき3つの箇所
1. 新しい適用金利
「基準金利」ではなく「適用金利」を見てください。 通知には「基準金利2.675%、引き下げ幅▲1.9%、適用金利0.775%」のように書かれています。 あなたに実際にかかるのは0.775%の方です。
引き下げ幅は原則として完済まで変わりません。 基準金利が上がれば適用金利も同じだけ上がります。
2. 返済額が変わるかどうか
通知には「返済額に変更はありません」または新しい返済額が書かれています。
「変更はありません」は「影響がない」という意味ではありません。 5年ルールがある契約では、金利が上がっても次の改定時期まで返済額は据え置かれます。 据え置かれている間、増えた利息は元金の減りを遅らせる形で吸収されています。
3. 返済額の内訳
ここが本題です。通知や最新の返済予定表には、毎回の返済額が 元金と利息に分けて書かれています。
前回の通知と見比べてください。返済額が同じなのに元金の欄が小さくなっていれば、 それが金利上昇の実際の影響です。払っている額は変わらないのに、借金の減りは遅くなっています。
実際にどれだけ動くのかを計算しました。 残債3,000万円・残り28年・現在0.6%で、 返済額が据え置かれたまま金利だけが上がった場合です。
| 上げ幅 | 適用金利 | 毎月返済額 | うち利息 | うち元金 | 1年で減る元金 |
|---|---|---|---|---|---|
| — | 0.6% | 97,017円 | 15,000円 | 82,017円 | 986,923円 |
| +0.15% | 0.75% | 97,017円 | 18,750円 | 78,267円 | 942,443円 |
| +0.25% | 0.85% | 97,017円 | 21,250円 | 75,767円 | 912,760円 |
| +0.40% | 1% | 97,017円 | 25,000円 | 72,017円 | 868,182円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。
毎月返済額の列は、どの行も97,017円のまま動きません。 変わっているのは利息と元金の内訳だけです。 通知に「返済額に変更はありません」と書かれるのは、この列を指しています。
0.25%上がっただけで、1年で減る元金は986,923円から912,760円へ 74,163円(約8%)落ちます。 毎年これだけ元金の減りが遅れる、ということです。通知の文面には出てこない変化です。
読み方の詳細は住宅ローン返済予定表の見方にまとめています。
次に確認したい2つの数字
通知そのものには書かれていませんが、この機会に押さえておきたい数字が2つあります。
次に返済額が改定される時期と金額
5年ルールがある契約なら、改定は5年ごとです。据え置き期間が長いほど、 そのとき想定より元金が減っておらず、改定後の返済額は大きく上がります。 125%ルールで上限はありますが、それは先送りであって免除ではありません。
未払利息が発生する金利までの距離
利息が毎月の返済額を超えると、足りない分が未払利息として積み上がります。その水準は計算できます。
未払利息が発生する金利 = 毎月の返済額 × 12 ÷ 残債
上の条件(残債3,000万円・返済額97,017円)なら 3.88%です。現在0.6%なので、 まだ3.28%分の余裕があります。
いまの適用金利からこの水準まで、どれだけ余裕があるか。 それが今回の金利上昇でどれだけ縮んだか。これが把握できていれば、 次に通知が来たときに慌てずに済みます。
試算ツールに残債・適用金利・残り期間を入れると、 この2つがそのまま出ます。通知が届いたタイミングで数字を更新して見るのが、いちばん実用的な使い方です。
慌てて借り換えないこと
金利上昇の通知が届くと、借り換えの広告が急に目につくようになります。 ただ、金利が上がったこと自体は借り換えの理由になりません。
理由は3つあります。
- 借り換え先の変動金利も同じように上がっています。 基準金利は各行おおむね連動するので、上昇局面では相手も上がっています
- 諸費用がかかります。 残債3,000万円クラスなら数十万円〜100万円規模です
- 控除が残っていると目減りします。 返済期間が10年未満になれば対象外、諸費用を上乗せすれば按分で減ります
借り換えに意味があるのは「金利が上がったから」ではなく、 「いまの適用金利と、借り換え先の金利に差があるから」です。 引き下げ幅の大きい条件で借りている方は、上昇局面でも借り換えが不利なままということがあります。
費用の内訳は借り換えの諸費用は総額いくら、 控除への影響は借り換えで住宅ローン控除は減るのかで扱っています。
それでも動く価値があるケース
次のどれかに当てはまるなら、試算する価値があります。
- 借入から年数が経っていて、いまの新規向け金利より適用金利が明らかに高い
- 返済額が1.25倍になったとき、家計が回らない自信がない
- 未払利息が発生する水準まで、余裕が1%程度しかない
- 変動のままでいることに、そもそも落ち着かなさを感じている
最後のものは数字ではありませんが、正当な理由です。 固定への変更は「これ以上上がらないことを買う」取引なので、 安心を買う対価として金利差を払うという判断は成り立ちます。 考え方は変動から固定に変えるタイミングにまとめました。
まとめ
- 確認できた案内では、年2回見直し型は10月1日・4月1日が基準日で、反映は翌1月・7月の返済分から(3ヶ月あと)
- 反映までのずれが打ち消すのは、0.25%の上昇が総利息に与える影響の1.9%ほど。猶予ではなく後ろ倒し
- 見るのは基準金利ではなく適用金利
- 「返済額に変更なし」は「影響なし」ではない。内訳が変わっている
- 次の改定時期・改定額と、未払利息が出る水準までの距離を把握しておく
- 金利が上がったこと自体は借り換えの理由にならない。相手も上がっている