固定1.8%を続けるか、変動0.6%へ移るか

条件は残債2,500万円・残り25年・元利均等・ボーナス返済なしで固定します。 いま全期間固定1.8%で借りていて、変動0.6%へ借り換えた場合を比べます。 まず、変動金利がこの先まったく動かなかった場合の数字です。

選択毎月返済総利息総返済額完済月
固定1.8%を継続103,546円606万円3,106万円2051年10月
変動0.6%へ移る89,760円193万円2,693万円2051年10月
-13,786円-414万円-414万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。変動金利が完済まで0.6%で動かないという仮定での比較で、諸費用は含みません。

金利が動かない前提なら、毎月13,786円、総額で414万円の差です。 ただしこれは変動金利が25年間動かない場合の数字であり、この仮定が外れたときにどうなるかが本題になります。

何ポイント上がったら移らない方が良かったことになるか

変動0.6%から出発し、半年ごとの見直しで5年かけて上がりきるという上げ方で、 上昇幅を変えて総返済額を出しました。5年ルール・125%ルールはある前提です。

上昇幅到達金利1回目改定後の返済額返済額の最大総返済額固定継続との差
横ばい 0.6% 89,759円 89,760円 2,693万円 -414万円(変動が少ない)
+0.5 1.1% 95,421円 95,422円 2,829万円 -277万円(変動が少ない)
+1.0 1.6% 101,352円 101,378円 2,972万円 -134万円(変動が少ない)
+1.5 2.1% 107,559円 107,579円 3,122万円 15万円(固定が少ない)
+2.0 2.6% 112,200円 114,838円 3,281万円 175万円(固定が少ない)
+2.5 3.1% 112,200円 124,694円 3,460万円 353万円(固定が少ない)
+3.0 3.6% 112,200円 135,287円 3,651万円 545万円(固定が少ない)

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上昇幅は5年かけて到達する想定で、5年ルール・125%ルールがある前提で計算しています。

符号が入れ替わるのは+1.5ポイントの手前です。二分探索で詰めると、逆転点は +1.45ポイント(変動が2.05%に到達する水準)でした。 出発点の1.8%より高い金利まで耐えられるのは、上がりきるまでの5年間に低い金利で払えた分が先に効いているためです。

残り期間が短いほど逆転点は高くなる

同じ残債2,500万円で、残り期間だけを変えて逆転点を計算しました。 金利差が効く期間が短くなるほど、変動側の有利は小さくなりますが、逆転点そのものは上がります。

残り期間固定1.8%の毎月変動0.6%の毎月総返済額の差逆転する上昇幅未払利息の危険水位(変動へ移った後)
30年 89,924円 75,899円 505万円 +1.40ポイント 3.64%
25年 103,546円 89,760円 414万円 +1.45ポイント 4.31%
20年 124,116円 110,567円 325万円 +1.53ポイント 5.31%
15年 158,585円 145,267円 240万円 +1.69ポイント 6.97%
10年 227,801円 214,697円 157万円 +2.06ポイント 10.31%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。危険水位は、移った直後の返済額と残債から未払利息が出始める金利を逆算した値です。

残り30年なら+1.40ポイントで逆転しますが、残り10年では+2.06ポイントまで離れます。 残りが短いと、変動で削れる総額も157万円にとどまります。 「上がっても耐えられる幅は広いが、うまくいっても得られる額は小さい」という形になります。

上がるペースで逆転点は動く

同じ+1.5ポイントでも、いつ上がるかで結果が変わります。残り25年で、到達までの年数を変えました。

上がりきるまで総返済額固定継続との差この上げ方での逆転点
すぐに上がる 3,246万円 140万円(固定が少ない) +1.15ポイント
1年 3,212万円 106万円(固定が少ない) +1.22ポイント
3年 3,165万円 59万円(固定が少ない) +1.33ポイント
5年 3,122万円 15万円(固定が少ない) +1.45ポイント
10年 3,035万円 -71万円(変動が少ない) +1.79ポイント
15年 2,963万円 -143万円(変動が少ない) +2.23ポイント

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上昇幅を+1.5ポイントに固定し、到達までの年数だけを変えています。

すぐに上がるなら逆転点は+1.15ポイント、15年かけてなら+2.23ポイントです。 同じ上昇幅でも、早ければ固定継続の方が総額は少なく、遅ければ変動の方が少なくなります。 金利がどう動くかは分からないので、幅とペースの両方を振って、どのあたりから不利になるかを見ておく形になります。

移った先で引き受ける5年ルールと125%ルール

固定から変動へ移ると、返済額が動かないという前提そのものを手放します。 変動では半年ごとに適用金利を見直し、毎月返済額の見直しは5年ごと、 見直し後の返済額は変更前の1.25倍が限度とされているケースが一般的だと 住宅金融支援機構【フラット35】の解説は説明しています。

上の計算では、1回目の改定は2031年10月に来ます。 上昇幅が+2.0ポイント以上になると、1回目の改定で125%の上限に当たり、 本来の114,047円が112,200円に抑えられます。 差額の1,847円は消えるのではなく、元金の減りが遅れる形で後ろに回ります。

抑えられるのは1回の改定幅だけです。今回の試算では2回目の改定で上限に当たらず追いつき、 +3.0ポイントのケースでは返済額は最大135,287円まで上がりました。 移った先の不確実性は「返済額が上がるかどうか」ではなく「いつ、どこまで上がるか」です。

未払利息の危険水位は、移ると下がる

未払利息は、その月の利息が返済額を超えたときに出ます。境目は「返済額×12÷残債」で決まるため、 返済額が小さいほど境目も低くなります。変動へ移ると返済額が13,786円下がるので、 危険水位も固定継続の4.97%から4.31%へ下がります。

毎月の負担が軽くなることと、未払利息までの距離が縮まることは同時に起きます。 ただし今回試算した範囲(最大+3.0ポイント、到達金利3.6%)では、 到達金利が危険水位に届かないため、未払利息は発生していません。 危険水位は残債が減るほど上がっていくので、返済が進むほど遠ざかります。 未払利息がいつ発生していくらになるかも合わせて確認できます。

諸費用を入れると逆転点はさらに下がる

借り換えには諸費用がかかります。事務手数料の方式で金額が大きく変わるため、2通りで積み上げました。 諸費用を現金で払い、その分だけ変動側の支出が増えるものとして逆転点を計算し直しています。

事務手数料の方式諸費用の合計金利が動かない場合の実質削減諸費用込みの逆転点
定率2.2% 77万円 337万円 +1.19ポイント
定額55,000円 28万円 386万円 +1.36ポイント

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用の内訳(登録免許税0.4%、司法書士報酬8万円、抵当権抹消2万円、印紙税2万円)は本ページの仮定で、実際の金額は金融機関により異なります。

定率2.2%なら77万円、定額なら28万円です。 逆転点は諸費用なしの+1.45ポイントから、定率で+1.19、定額で+1.36ポイントへ下がります。 手数料の方式の違いだけで、耐えられる上昇幅が0.17ポイント変わります。 借り換えの諸費用の内訳も参考にしてください。

どの数字を見て決めるか

見るべき数字は3つです。1つ目は逆転点で、今回の条件では諸費用込みで+1.19〜+1.36ポイントでした。 自分が「この水準までは来るかもしれない」と思う幅がこれを超えるなら、固定を続ける方が総額では少なくなります。

2つ目は返済額の最大値です。+3.0ポイントのケースでは135,287円まで上がりました。 総額で有利でも、その途中に家計が耐えられない月があるなら選べません。教育費や修繕費と重なる時期も合わせて見ます。

3つ目は残り期間です。残り10年なら削れる総額は157万円で、諸費用が定率2.2%の77万円だと、金利が動かない場合の実質の削減は80万円になります。 残りが短いほど、金利差より手数料の方式で結論が動きます。

確認する順番

最初に返済予定表で、現在残債・残り回数・現在金利・毎月返済額を確認します。 当初借入額ではなく現在残債で計算しないと、削減額を大きく見積もることになります。

次に、移る先の変動金利について、金利の見直し周期、返済額の改定周期、125%の上限の有無を契約書や商品説明書で確認します。 このルールは金融機関や契約により異なり、上限がない商品では改定時に一度で上がりきります。 5年ルールがない場合との違いも併せて見ておくと比較しやすくなります。

最後に、諸費用の実額を見積もってもらい、逆転点を計算し直します。 住宅ローン控除が残っている場合は、借り換え後の返済期間が10年未満になると対象外になる点も確認が必要です。 借り換えと住宅ローン控除で条件別に確認できます。

固定から変動への借り換えでよくある質問

変動が何%になったら固定に戻せばよいですか

本ページの条件では、総返済額が並ぶのは変動が2.05%に到達する水準でした。 ただしこれは5年かけて上がりきる想定での値で、上がるペースが速ければ逆転点は+1.15ポイントまで下がります。 戻す判断には、その時点の固定金利と、もう一度かかる諸費用も必要になります。

毎月13,786円下がるなら、その分を繰上げ返済に回すのはどうですか

下がった分を手元に残さず返済に回せば、金利が上がったときの残債が小さくなり、危険水位も上がります。 一方で手元資金は減ります。金利上昇への備えに繰上げ返済は効くかで、 同じ考え方を金額別に計算しています。

いまの金利が上がるかどうかは、どう見込めばよいですか

このサイトでは金利の予測はしません。代わりに「もしこの水準まで上がったら」という仮定で計算し、 どこから不利になるかを出します。上の表の上昇幅とペースを自分の想定に置き換えて、 逆転点の手前か奥かを見る使い方になります。

まとめ

  • 残債2,500万円・残り25年で、固定1.8%から変動0.6%へ移ると毎月13,786円、総額414万円減る(金利が動かない場合)
  • 総返済額が並ぶのは+1.45ポイント、変動が2.05%に到達する水準
  • 諸費用を入れると逆転点は+1.19〜+1.36ポイントへ下がる
  • 移ると返済額が下がるため、未払利息の危険水位も4.97%から4.31%へ下がる