65歳完済に必要な毎月の上乗せ額

借入3,000万円・35年・金利0.6%・元利均等を40歳で借りた場合、毎月返済額は79,208円、 完済は75歳です。65歳までに終わらせるには、同じ元金を300回(25年)で返すことになり、 毎月返済額は107,712円まで上げる必要があります。差額が28,504円です。

上乗せせずに返した場合、65歳を迎えた時点の残債は922万円です。 これを定年後の収入か退職金で返すか、いま毎月28,504円を積み増すかという選択になります。

借入年齢35年のままの完済年齢65歳時点の残債65歳完済に必要な毎月返済上乗せ額
30歳 65歳 0円 79,208円 0円
35歳 70歳 468万円 91,078円 11,870円
40歳 75歳 922万円 107,712円 28,504円
45歳 80歳 1,363万円 132,681円 53,473円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入3,000万円・35年・金利0.6%・元利均等・ボーナス返済なしで、借入年齢だけを変えています。

30歳で借りれば35年返済でも完済は65歳なので、上乗せは要りません。 5歳遅れるごとに必要な上乗せ額は跳ね上がり、45歳では53,473円になります。 同じ借入額・同じ金利でも、借入年齢だけで毎月の必要額が変わるのは、65歳までに使える返済回数が減るからです。

上乗せ額を変えると完済は何歳になるか

28,504円をいきなり積むのが難しい場合、上乗せ額を下げると完済年齢がどう動くかを見ます。 40歳借入・3,000万円・35年・0.6%で、毎月の返済額に一定額を足して返し続けた場合の結果です。

毎月の上乗せ毎月返済額返済回数完済年齢65歳時点の残債総返済額
なし 79,208円 420回 75歳 922万円 3,327万円
5,000円 84,208円 393回 72歳9ヶ月 761万円 3,305万円
10,000円 89,208円 369回 70歳9ヶ月 599万円 3,285万円
20,000円 99,208円 328回 67歳4ヶ月 275万円 3,253万円
28,504円 107,712円 300回 65歳 0円 3,231万円
30,000円 109,208円 296回 64歳8ヶ月 0円 3,228万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せ分はすべて元金に充当される前提で、毎月返済額を固定して完済までを計算しています。

毎月1万円の上乗せでは完済が70歳9ヶ月、65歳時点では599万円が残ります。 2万円でも67歳4ヶ月です。65歳で終わらせる線は28,504円のところにあり、 そこに届かない上乗せは「定年後の残債を小さくする」効果にとどまります。 総返済額の差は、上乗せなしの3,327万円に対して28,504円の上乗せで3,231万円、 利息の削減額は95万円です。

金利が高いと必要な上乗せ額も増えるのか

ここは直感と結果がずれるところです。適用金利だけを変えて、65歳完済に必要な返済額を計算しました。

適用金利35年の毎月返済25年で返す場合の毎月返済上乗せ額65歳時点の残債
0.6% 79,208円 107,712円 28,504円 922万円
1.1% 86,091円 114,424円 28,333円 978万円
1.6% 93,331円 121,395円 28,064円 1,034万円
2.1% 100,925円 128,621円 27,696円 1,092万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入3,000万円を35年で返す場合と25年で返す場合の毎月返済額を、適用金利別に比較しています。

上乗せ額は金利0.6%で28,504円、金利2.1%で27,696円です。808円の差しかなく、 しかも金利が高い方がわずかに小さくなります。金利が上がると35年の返済額も上がるため、 25年で返す場合との差はほとんど変わらないからです。

一方で毎月返済額そのものは79,208円から100,925円へ21,717円増えます。 65歳完済を目指すときに家計へ効いてくるのは、上乗せ額ではなく返済額の合計です。 金利2.1%なら、毎月128,621円を25年間払い続ける前提になります。

途中で金利が上がると計画はどれだけ崩れるか

変動金利で借りて上乗せ返済を続けていても、適用金利が上がれば同じ返済額では間に合わなくなります。 40歳から毎月107,712円を10年払った時点(50歳)の残債は1,854万円、65歳まで残り180回です。 ここで金利が上がった場合に必要な返済額と、返済額を変えなかった場合に65歳時点で残る額を算出しました。

10年目の上昇幅適用金利65歳完済に必要な毎月返済不足額返済額を変えない場合の65歳時点残債
+0.5% 1.1% 111,759円 4,047円 79万円
+1% 1.6% 115,902円 8,190円 166万円
+1.5% 2.1% 120,142円 12,430円 263万円
+2% 2.6% 124,476円 16,764円 369万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。10年目に金利が上がり、その後は完済まで同じ金利が続く前提で、残債と残り返済回数から必要額を計算しています。

+1%なら不足は毎月8,190円、返済額を据え置くと65歳時点で166万円が残ります。 +2%では不足が毎月16,764円、据え置けば369万円です。 毎月の不足額は数千円から1万円台でも、据え置いたまま65歳を迎えると残債は百万円単位になります。

さらに5年ルールのある変動金利では、金利が上がっても返済額の改定は最長5年先です。 改定までの間は返済額が同じまま利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。 5年ルールで実際に起きていることと 金利1%上昇の総額差も合わせて確認すると、 据え置き期間中に計画が遅れる仕組みが掴めます。

商品の年齢要件と「65歳完済」は別の話

65歳完済は商品の要件ではなく、自分で決める目標です。たとえばフラット35の申込要件では、 申込時の年齢は満70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申込可)とされ、 借入期間の上限は「80歳」から「申込時の年齢」を引いた年数(1年未満切上げ)と35年のうち短い方です (フラット35のご利用条件)。

つまり40歳で借りれば、商品の上限としては35年を組めます。完済は75歳で、要件上は問題ありません。 定年後も返済が続く形を避けたいかどうかは、年金や退職金の見込み、再雇用の条件によって変わります。 組める期間の上限と、返し切りたい年齢は切り分けて考える必要があります。 年齢から期間の上限が決まる仕組みは何歳まで組めるかで扱っています。

毎月の上乗せを実際にどう入れるか

表の「上乗せ」は、毎月の返済額そのものを増やす形で計算しています。実際の手段は2つあります。 1つは金融機関で返済額の増額変更を申し込むこと、もう1つは毎月または定期的に一部繰上返済をすることです。 後者には最低額の定めがあります。

住宅金融支援機構の一部繰上返済では、金融機関の窓口で手続きする場合は繰り上げて返済する1か月前までに申し出が必要で、 繰り上げて返済できる額は100万円以上です。インターネットサービス「住・My Note」の場合は10万円以上で、 いずれも手続きに手数料はかかりません。ただし「住・My Note」では2か月以上連続しての申込はできません (住宅金融支援機構・繰上返済)。 毎月コツコツ入れる形がそのまま取れない場合があるということです。

そこで、上乗せ分を1年分まとめて入れる形も計算しました。28,504円の12か月分=342,048円を 毎年1回、期間短縮型で繰上げ返済した場合、完済までは301回かかり、65歳の時点では367,351円が残ります。 毎月入れる場合とほぼ同じ時期に終わりますが、1年分を手元に置いている間は元金が減らないため、わずかに遅れます。 まとめて入れる場合と毎月入れる場合の総額差は長く借りて繰上げ返済は損かで算出しています。

どの数字を見て決めるか

最初に見るのは、上乗せ額ではなく上乗せ後の毎月返済額です。107,712円を25年間払い続けられるかどうかが起点になります。 払えるとしても、教育費や車の買い替えが重なる時期に同じ水準を維持できるかは別に確かめる必要があります。

次に、65歳時点の残債と退職金の見込みを比べます。上乗せなしなら922万円です。 退職金で一括返済する選択と毎月上乗せする選択では、手元資金の厚みが大きく変わります。 退職金を充てた場合に減る利息は退職金での一括返済で減る利息、 65歳時点の残債の成り立ちは完済年齢と定年後の残債で扱っています。

変動金利で借りている場合は、金利が上がったときの不足額も見ます。上の表では+1.0%で毎月8,190円でした。 この余白がないまま上乗せ額を最大まで積むと、金利上昇のときに下げる余地がなくなります。 上乗せは契約上の義務ではないため、金利が上がった局面で止める判断もできます。その柔軟性は増額変更より繰上げ返済の方が高くなります。

確認手順

1つ目に、返済予定表で現在の残債、適用金利、残り返済回数を確認します。当初借入額ではなく現在の残債で計算しないと、必要な上乗せ額を多く見積もります。

2つ目に、65歳(または自分の目標年齢)までの残り月数を数えます。生年月と返済開始年月から、目標年齢の誕生月までの回数を出します。

3つ目に、残債と残り月数から必要な毎月返済額を計算し、現在の返済額との差額を出します。このサイトのツールに残債・期間・金利を入れると同じ計算ができます。

4つ目に、金融機関へ返済額の増額変更が可能か、一部繰上返済の最低額と手数料はいくらかを確認します。条件は金融機関ごとに異なります。

定年までの完済についてよくある質問

上乗せ返済は途中でやめられますか

一部繰上返済として入れている場合は、入れる月を選べます。返済額の増額変更として契約上の返済額を上げた場合は、 元に戻すために再度の変更手続きが必要になり、金融機関の審査や手数料がかかることがあります。 取り扱いは金融機関ごとに異なるため、申し込む前に条件を確認してください。

最初から25年で借りるのと、35年で借りて上乗せするのは同じですか

同じ金額を同じ時期に返すなら、総額はほぼ同じになります。違うのは契約上の返済額です。 35年で契約すれば義務は79,208円で、上乗せ分は家計が苦しい時期に止められます。 25年で契約すると107,712円が毎月の義務になり、止める余地がありません。 一方で、借入時の審査では毎月107,712円を前提に返済負担率が計算されるため、25年契約の方が通りにくくなります。 完済時年齢の要件については、期間が短い25年契約の方が余裕があります。

65歳時点で残債が残っていると問題になりますか

契約上は完済期限までに返せば問題ありません。論点は収入が下がった後も同じ返済額を払えるかどうかです。 65歳時点の残債922万円を、退職金、年金、再雇用の収入のどれで返すのかを先に決めておくと、 いま上乗せすべき額が決まります。

まとめ

  • 40歳・3,000万円・35年・0.6%なら、65歳完済に必要な上乗せは毎月28,504円
  • 上乗せなしなら65歳時点の残債は922万円、45歳借入なら必要な上乗せは53,473円
  • 必要な上乗せ額は金利が高くてもほぼ動かない。動くのは毎月返済額そのもので、金利2.1%なら128,621円
  • 10年目に金利が1.0%上がると毎月8,190円不足し、据え置けば65歳時点に166万円残る