金利別|元金が利息を上回る回

借入額3,000万円・返済期間35年・元利均等・ボーナス返済なしで、金利だけを変えて計算します。 知りたいのは「返済額のうち元金に充てられる額が、利息を上回る最初の回はいつか」です。

金利毎月返済初回の利息初回の元金元金が上回る回その時期
0.6% 79,208円 15,000円 64,208円 1回目 2026年9月
1% 84,685円 25,000円 59,685円 1回目 2026年9月
1.5% 91,855円 37,500円 54,355円 1回目 2026年9月
2% 99,378円 50,000円 49,378円 5回目(4ヶ月後) 2027年1月
2.5% 107,248円 62,500円 44,748円 88回目(7年3ヶ月後) 2033年12月
3% 115,455円 75,000円 40,455円 144回目(11年11ヶ月後) 2038年8月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。2026年9月を初回返済として、借入額と期間を固定し金利だけを変えています。

金利0.6%では初回の内訳が元金64,208円・利息15,000円で、 1回目からすでに元金の方が多くなっています。1.5%でも同じで、逆転を待つ期間はありません。 つまり「最初は利息ばかり」という説明は、いまの水準の変動金利で借りた人にはそのまま当てはまりません。

変わるのは、次の節で逆算する境目の1.98%を超えてからです。2%では4ヶ月後の2027年1月、 2.5%では7年3ヶ月後の2033年12月、 3%では11年11ヶ月後の2038年8月まで、利息の方が多い状態が続きます。 境目を少し超えただけなら数ヶ月ですが、そこから0.5ポイント上がるごとに逆転は年単位で遠のきます。

逆転の境目になる金利は返済期間で決まる

初回の元金充当と利息がちょうど並ぶ金利を、返済期間ごとに逆算しました。 この金利以下なら1回目から元金の方が多く、これを超えると逆転を待つ期間が生まれます。

返済期間境目の金利その金利での毎月返済初回の利息
20年 3.47% 173,537円 86,768円
25年 2.78% 138,789円 69,394円
30年 2.31% 115,635円 57,817円
35年 1.98% 99,102円 49,550円
40年 1.73% 86,705円 43,352円

このサイトの計算エンジンで、初回の元金充当が利息と並ぶ金利を二分探索した算出値です。

期間が短いほど毎月返済額が大きくなるため、同じ残高でも元金に回る額が増え、境目は高くなります。 20年返済なら3.47%まで、40年返済では1.73%までが「初回から元金の方が多い」範囲です。 期間を延ばすほど、この余白は薄くなります。

なお、この境目は借入額ではほとんど動きません。同じ35年返済で借入1,000万円なら1.98%、 8,000万円なら1.98%と、同じ値になります。 毎月返済額も初回利息も残高に比例して増えるため、両者の大小関係が残高で変わらないからです。 逆転時期を左右しているのは、借りた額ではなく金利と期間の組み合わせです。

期間と金利の組み合わせで逆転時期はどう動くか

自分の条件に近い欄を見てください。同じ金利でも、返済期間が長いほど逆転は遅れます。

金利20年返済25年返済30年返済35年返済
0.6% 1回目から1回目から1回目から1回目から
1.5% 1回目から1回目から1回目から1回目から
2.5% 1回目から1回目から2年3ヶ月後7年3ヶ月後
3.5% 3ヶ月後5年3ヶ月後10年3ヶ月後15年2ヶ月後

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・元利均等で、金利と返済期間だけを変えています。

たとえば金利2.5%では、25年返済までは1回目から元金の方が多いのに、 35年返済にすると7年3ヶ月かかります。 期間を延ばすと毎月返済は軽くなりますが、その分だけ元金の減りは後ろに寄ります。 期間そのものの損得は35年と30年の総返済額で扱っています。

変動金利では一度上回った元金がまた下回る

ここまでは金利が動かない前提でした。変動金利では別のことが起きます。 5年ルールがあると、金利が上がっても返済額は据え置かれます。返済額が同じまま利息だけ増えるので、 一度は利息を上回っていた元金充当が、再び利息を下回ることがあります。

残債3,000万円・残り35年・現在0.6%を起点に、 10年かけて一定のペースで上がる仮定で計算しました。金利の予測ではなく、仮定として置いた条件です。

上昇幅到達金利最初に下回る回最後に下回る回下回る回の合計120回目の元金120回目の利息
据え置き 0.6% 起きない 68,144円 11,064円
+0.5ポイント 1.1% 起きない 65,054円 20,659円
+1.0ポイント 1.6% 起きない 62,016円 30,600円
+1.5ポイント 2.1% 起きない 59,039円 40,893円
+2.0ポイント 2.6% 2035年1月 2036年7月 18回(1年6ヶ月分) 56,128円 51,544円
+2.5ポイント 3.1% 2031年7月 2039年4月 71回(5年11ヶ月分) 53,287円 62,559円
+3.0ポイント 3.6% 2030年7月 2042年5月 138回(11年6ヶ月分) 49,335円 74,427円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年ルール・125%ルールがある前提で、金利上昇の仮定だけを変えています。

+2.0ポイントまで上がる仮定では2035年1月に初めて下回り、 2036年7月までの間に合計18回。 +3.0ポイントでは2030年7月に初めて下回り、 2042年5月までの間に合計138回(11年6ヶ月分)が、 元金より利息の方が多い回になります。これは連続した期間ではありません。 5年ごとの改定で返済額が上がった直後は元金充当が一度戻り、金利がさらに上がると再び下回る、という往復になるためです。 上昇幅が+1.5ポイントまでなら、この逆戻りは起きていません。

重要なのは、この間も毎月の請求額は変わっていないことです。 通帳から引かれる金額が同じなので、内訳が利息へ寄っていることは返済予定表を見ないと分かりません。 金利変更のお知らせに「返済額に変更はありません」と書かれていても、 元金の減り方は変わっている場合があります。

据え置き期間中に内訳がどう動くか

上の表で下回る回が最も多かった+3.0ポイントのケースについて、内訳の推移を追います。

回数年月適用金利返済額うち利息うち元金残債
1回目 2026年9月 0.6% 79,208円 15,000円 64,208円 2,994万円
12回目 2027年8月 0.9% 79,208円 21,991円 57,217円 2,926万円
24回目 2028年8月 1.2% 79,208円 28,660円 50,548円 2,861万円
36回目 2029年8月 1.5% 79,208円 35,099円 44,109円 2,804万円
48回目 2030年8月 1.8% 79,208円 41,361円 37,847円 2,754万円
59回目 2031年7月 2.1% 79,208円 47,556円 31,652円 2,714万円
60回目 2031年8月 2.1% 99,010円 47,501円 51,509円 2,709万円
84回目 2033年8月 2.7% 99,010円 58,535円 40,475円 2,598万円
120回目 2036年8月 3.6% 123,762円 74,427円 49,335円 2,476万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利が10年かけて+3.0ポイント上がる仮定で計算しています。

返済額は79,208円のまま5年間動きません。その間に元金充当は 64,208円から31,652円(2031年7月)まで減ります。 結果として、最初の5年で減る残債は291万円にとどまります。 金利が動かなければ391万円減っていた場面なので、差は100万円です。

2031年8月の改定で返済額は79,208円から99,010円へ上がります。 残高と残り期間から計算した本来の額は101,488円ですが、125%ルールの上限に当たって99,010円で止まっています。差の2,478円は後ろの回へ回ります。 改定で返済額が増えると元金充当も一度は戻りますが、金利がさらに上がるため再び細っていきます。

住宅金融支援機構【フラット35】は変動金利型の説明として、 「毎月の『利息の支払額』が毎月の『返済額』を超えてしまった場合は、その超えた分の利息の支払いは繰り延べられることになります。これを『未払利息』といいます」とし、 「元金は全く減らず、未払利息が積み上がっていく可能性があります」と記載しています (住宅金融支援機構【フラット35】)。 この表のケースでは未払利息までは至っていません。借入直後の閾値は3.17%で到達金利3.6%の方が高いものの、 2031年8月の改定で返済額が上がると閾値も4.38%へ切り上がるためです。 閾値そのものの考え方は変動金利に上限はないで扱っています。

元金均等では逆転の境目が上にずれる

元金均等返済は毎月の元金充当額を一定にする方式です。元金の額が最初から固定されているため、 逆転の条件も元利均等とは変わります。

金利元利均等の毎月返済元利均等の逆転元金均等の初回返済元金均等の初回元金元金均等の逆転
0.6% 79,208円 1回目から 86,428円 71,428円 1回目から
1.5% 91,855円 1回目から 108,928円 71,428円 1回目から
2.5% 107,248円 7年3ヶ月後 133,928円 71,428円 1回目から
3.5% 123,987円 15年2ヶ月後 158,928円 71,428円 6年6ヶ月後

このサイトの計算エンジンによる算出値です。借入額3,000万円・35年で、返済方式と金利だけを変えています。

元金均等では毎月71,428円が元金に充てられます。 初回の利息がこの額を超えるのは金利2.86%からで、元利均等の境目1.98%より 0.88ポイント高い水準です。 そのため金利2.5%でも1回目から元金の方が多く、元利均等で 7年3ヶ月かかるのと対照的です。

ただし、この境目を超えれば元金均等でも逆転を待つことになります。 3.5%では初回の利息87,500円が 元金充当71,428円を上回り、逆転までに6年6ヶ月かかります。 元利均等の15年2ヶ月より早いというだけで、逆転が起きないわけではありません。

また初回返済額は元利均等より高くなります。3.5%のケースでは 元金均等158,928円に対して元利均等123,987円で、 差は34,941円です。 逆転が早いことと家計が楽なことは別の話で、方式の詳しい比較は 元金均等と元利均等の違いにあります。

逆転時期をどう判断に使うか

逆転時期そのものは、総返済額を減らす目標にはなりません。同じ金利・同じ期間なら、 逆転が早いか遅いかにかかわらず総額は決まっています。使いどころは別のところにあります。

ひとつは、いま自分がどちら側にいるかの確認です。返済予定表の元金欄が利息欄より小さい場合、 金利水準か返済期間、あるいはその両方が、上の表の境目を超えています。 借入時に元金の方が多かったのに、いまは利息の方が多いという場合は、 据え置き期間中に金利が上がった可能性があります。

もうひとつは、繰上げ返済を検討するときの材料です。元金充当が細っている局面では、 繰上げ返済で減らした残高が利息に効く度合いが相対的に大きくなります。 ただし手元資金を減らす判断でもあるため、金額と時期は 繰上げ返済は早いほど得かと合わせて考えることになります。

逆に、金利0.6%で借りていて初回から元金の方が多い状態なら、 「利息ばかり払っている」ことを理由に急いで動く必要はない、という読み方もできます。 数字が示しているのがどちら側かを先に確かめてから、次の手を考える順序が現実的です。

返済予定表で確認する手順

最初に、契約先から交付されている返済予定表を開きます。回ごとに元金・利息・残高の内訳が記載されていれば、 直近の回の元金欄と利息欄を見比べるだけで、逆転済みかどうかが分かります。 内訳の見方は返済予定表の見方にまとめてあります。

次に、その内訳が作られた時点の適用金利を確認します。返済予定表は交付時点の金利で先の回まで作られているため、 その後に金利が動いていれば、実際の内訳は表と違っています。 変動金利で借りている場合は、直近の金利変更のお知らせと突き合わせてください。

最後に、残債・残り期間・現在の適用金利の3つを控えて、このページの表と同じ条件で計算し直します。 当初借入額ではなく現在の残債で入れないと、逆転時期を実際より遅く見積もることになります。 下のツールに入れると、金利が上がった場合の内訳の変化まで確認できます。

元金と利息の逆転についてよくある質問

元金と利息が逆転するまで繰上げ返済は待った方がいいですか

逆転時期は繰上げ返済の効果を決める要素ではありません。効果を決めるのは、繰上げ返済した時点の残高、 残り期間、適用金利です。上の表のとおり、金利0.6%なら逆転は1回目に起きているため、 待つ対象としても成立しません。住宅ローン控除を受けている期間の扱いは 控除中の繰上げ返済で別に扱っています。

返済額が変わっていないのに元金が減らなくなることはありますか

5年ルールがある契約では起こり得ます。返済額が据え置かれたまま適用金利が上がると、 同じ返済額の中で利息が増え、元金に回る額が減ります。 上の推移表では、返済額79,208円のまま元金充当が 64,208円から31,652円まで減っています。

逆転が遅いローンは損なのですか

逆転が遅いこと自体が損失というわけではなく、金利が高いか期間が長いという条件の結果として遅くなります。 損得を見るなら、逆転時期ではなく総返済額と毎月返済額で比べる方が直接的です。 総額に占める利息の割合は利息は総返済額の何割かで計算しています。

まとめ

  • 金利0.6%・3,000万円・35年なら、初回から元金64,208円・利息15,000円で逆転済み
  • 35年返済で逆転を待つ状態になるのは金利1.98%を超えてから。境目は返済期間で決まり、借入額では動かない
  • 2.5%なら7年3ヶ月、3%なら11年11ヶ月かかる
  • 変動金利では据え置き期間中に元金充当が細り、+3.0ポイントの仮定では11年6ヶ月にわたって利息の方が多い状態が続く