よく言われる3条件の正体
借り換えの目安として、次の3つがよく挙げられます。
- 金利差が1%以上あること
- 残債が1,000万円以上あること
- 残り返済期間が10年以上あること
この3つは要するに、諸費用を上回るだけの利息を削れるかという一つの問いを、 分かりやすく3つに分解したものです。金利差が小さくても残債が大きければ成立しますし、 逆もあります。3つすべてを満たす必要はありません。
何年目かによって、どう変わるか
当初3,500万円・35年・金利1.2%で借りたローンを、 0.6%へ借り換える場合です。借入から何年目に実行するかだけを変えて計算しました。
| 実行時期 | 残債 | 残り期間 | そのままの残り支払 | 諸費用 | 借り換え後の総額 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5年目 | 3,085万円 | 30年 | 36,754,356円 | 922,182円 | 34,642,913円 | 2,111,443円 得 |
| 10年目 | 2,645万円 | 25年 | 30,628,656円 | 807,701円 | 29,297,565円 | 1,331,091円 得 |
| 15年目 | 2,177万円 | 20年 | 24,502,956円 | 686,145円 | 23,798,912円 | 704,044円 得 |
| 20年目 | 1,681万円 | 15年 | 18,377,256円 | 557,075円 | 18,139,649円 | 237,607円 得 |
| 25年目 | 1,154万円 | 10年 | 12,251,556円 | 420,029円 | 12,312,131円 | 60,575円 損 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です(諸費用は定率2.2%、住宅ローン控除は含めていません)。
金利差はどの行も同じ0.6%です。それでも効果はこれだけ違います。 返済が進むほど残債が減り、残り期間も短くなるので、金利差で稼げる額が急速に小さくなるためです。
この条件では25年目あたりが分岐点で、 それ以降は諸費用を回収できなくなります。
注意点として、諸費用は残債に比例して小さくなるものの、 司法書士報酬や印紙税のような定額部分は残ります。 残債が小さいほど、費用の割合が重くなるという構造です。
「遅すぎる」より「早すぎる」に注意
借り換えのタイミングでは「もう遅いのでは」と心配されがちですが、実務上は逆のリスクもあります。
住宅ローン控除が残っている期間の借り換えです。 借り換え時に返済期間を短くして10年を切ると控除が打ち切られ、 諸費用を上回る損失になることがあります。
また、諸費用を借入額に上乗せすると、その分は控除の対象外として按分されます。 詳しくは借り換えで住宅ローン控除は減るのかをご覧ください。
控除が残っている間は、控除の減少額まで含めて計算しないと判断できません。 金利差だけを見て動くと、下がったつもりで損をします。
金利上昇局面では前提が変わる
上の計算は「借り換え後の金利が変わらない」前提です。 変動から変動へ借り換える場合、この前提は成り立ちません。
借り換え先の変動金利も、その後の金利上昇で同じように上がります。 金利が上がったこと自体は借り換えの理由になりません。 借り換えに意味があるのは、いまの適用金利と借り換え先の金利に差があるときだけです。
引き下げ幅の大きい条件で借りている方は、上昇局面でも借り換えが不利なままということがあります。 通知が届いたときの確認手順は 金利変更のお知らせが届いたらにまとめています。
まとめ
- 効果を決めるのは金利差・残債・残り期間の掛け算。3条件は目安にすぎない
- 同じ金利差でも、返済が進むほど取り返せる額は小さくなる
- 控除が残っている間は、控除の減少まで含めないと判断できない
- 変動から変動なら、借り換え先も同じように上がることを前提にする