2本に同じ100万円を入れた結果

比較するのは、変動0.6%・残り25年・残債2,500万円のローンAと、固定1.5%・残り15年・残債600万円のローンBです。 どちらにも100万円を期間短縮型で入れ、完済までに払う利息がいくら減るかを見ます。 結論は、金利が高く残り期間が短いローンBの方が68,976円多く減りました。

入れる先毎月返済繰上げ前の総利息繰上げ後の総利息減る利息短縮期間
変動0.6%・残り25年
残債2,500万円
89,760円 1,927,938円 1,769,619円 158,319円 1年
固定1.5%・残り15年
残債600万円
37,244円 703,931円 476,636円 227,295円 2年8ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。元利均等・ボーナス返済なし、期間短縮型で100万円を一度入れた場合の、完済までの総利息の差です。

短縮される期間も1年と2年8ヶ月で違います。 残り期間が短いローンBは毎月返済額が37,244円と小さいため、同じ100万円でも多くの回数分を消せます。

残り期間が長い方が得とは限らない理由

繰上げ返済で消えるのは、入れた元金に対してこれから先に付く利息です。 つまり効き方を決めるのは適用金利と、その元金が残るはずだった期間の掛け算です。 残り25年のローンAは期間が10年長い一方、金利はローンBより0.9ポイント低く、掛け算の結果では負けました。

ここが「残り期間が長い方から返すのが基本」という一般論と食い違う点です。 期間が長いほど有利なのは金利が同じ場合の話で、金利差が開いていれば順位は入れ替わります。 どちらが効くかは、実際の金利差と残り期間差を入れて計算しないと決まりません。

金利差と残り期間別|どちらへ入れると利息が減るか

ローンAを変動0.6%・残り25年・残債2,500万円に固定し、もう1本の金利差と残り期間を動かします。 各セルの上段は100万円を入れたときに減る利息、下段はローンAへ入れた場合(158,319円)との差です。

ローンAとの金利差もう1本が残り10年もう1本が残り15年もう1本が残り20年
+0.2ポイント
(0.8%)
76,160円
ローンAが82,159円有利
116,000円
ローンAが42,319円有利
157,180円
ローンAが1,139円有利
+0.5ポイント
(1.1%)
106,048円
ローンAが52,271円有利
162,546円
短い方が4,227円有利
221,624円
短い方が63,305円有利
+0.9ポイント
(1.5%)
147,043円
ローンAが11,276円有利
227,295円
短い方が68,976円有利
312,547円
短い方が154,228円有利

このサイトの計算エンジンによる算出値です。もう1本の残債は600万円で固定し、金利と残り期間だけを変えています。

金利差が0.2ポイントしかない場合は、残り期間が20年あっても1,139円の差でローンAが上回りました。 一方で金利差が0.9ポイントあると、残り10年の相手でも差は11,276円まで縮み、残り15年なら逆転します。 金利差と残り期間差は、どちらか一方だけを見て決められません。

優先が入れ替わる金利差の境目

ローンA(変動0.6%・残り25年)へ入れた場合と利息の減りが並ぶ金利を、もう1本の残り期間ごとに逆算しました。 この水準を超えると、残り期間が短い側へ入れた方が利息は多く減ります。

もう1本の残り期間並ぶ金利ローンAとの金利差判定
残り10年 1.61% 1.01ポイント これより金利が高ければ短い側が先
残り15年 1.07% 0.47ポイント これより金利が高ければ短い側が先
残り20年 0.81% 0.21ポイント これより金利が高ければ短い側が先
残り25年 0.64% 0.04ポイント これより金利が高ければ短い側が先

このサイトの計算エンジンによる算出値です。ローンAへ100万円を入れた場合の利息減(158,319円)と一致する金利を二分法で求めています。

残り期間が短くなるほど、必要な金利差は大きくなります。 残り20年なら0.21ポイント、残り15年なら0.47ポイント、残り10年では1.01ポイントが境目でした。 5年短くなるごとに必要な金利差がおおよそ倍になる形で、ここが判断の目安になります。

2本へ半分ずつ入れた場合

どちらにも入れておけば安心に見えますが、利息の減りという一点で見ると分散は中間値になります。 100万円の配分を3通りで比べました。

配分減る利息の合計集中させた場合との差
100万円すべて固定1.5%・残り15年へ 227,295円 基準
50万円ずつ2本へ 200,040円 −27,255円
100万円すべて変動0.6%・残り25年へ 158,319円 −68,976円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。半分ずつの行は、各ローンへ50万円を期間短縮型で入れた場合の利息減を合計しています。

分散させると、効きの大きい側へ集中させる場合より27,255円少なくなりました。 それでも、金利の低い側へ全額入れる場合よりは41,721円多く減ります。 手数料が1件ごとにかかる商品では、回数が増える分の費用も合わせて見ることになります。 繰上げ返済の手数料が何円まで見合うかも、同じ利息減の額から判断できます。

残債が大きい方から返すべきか

もう一つ迷いやすいのが残債の大小です。金利1.5%・残り15年を固定し、残債だけを変えて100万円を入れました。

残債減る利息短縮期間繰上げ後の残り期間
600万円 227,295円 2年8ヶ月 12年4ヶ月
1,200万円 239,925円 1年4ヶ月 13年8ヶ月
2,500万円 246,647円 8ヶ月 14年4ヶ月

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利と残り期間を同じにし、残債だけを変えています。

残債600万円と2,500万円で減る利息の差は19,352円でした。 基準ケースで金利差0.9ポイント・残り期間差10年から出た68,976円に比べると小さく、残債の大小は優先順位を決める主な軸にはなりにくいという結果です。 ただし金利差0.2ポイント・残り20年の組み合わせでの差(1,139円)よりは大きく、条件が近い2本では残債の違いも結果を左右します。 一方で短縮される期間は2年8ヶ月と8ヶ月で大きく違います。 「期間を縮めたい」目的なら残債の小さい側、「利息を減らしたい」目的なら金利と残り期間で選ぶ、という分け方になります。

期間短縮で残り10年を割ると控除の扱いが変わる

住宅借入金等特別控除は、償還期間が10年以上にわたり分割返済される借入金であることが要件の一つです(国税庁タックスアンサーNo.1212)。 期間短縮型は返済期間そのものを縮めるため、入れる額が大きいとこの要件に触れる可能性があります。 残り15年のローンBで、繰上げ額ごとの残り期間を出しました。

繰上げ額繰上げ後の残り期間減る利息10年以上か
100万円 12年4ヶ月 227,295円 10年以上
150万円 11年 322,506円 10年以上
200万円 9年8ヶ月 406,062円 10年未満
250万円 8年5ヶ月 478,422円 10年未満
300万円 7年1ヶ月 539,994円 10年未満

このサイトの計算エンジンによる算出値です。固定1.5%・残り15年・残債600万円に期間短縮型で入れた場合の残り期間です。

この条件では200万円を入れた時点で残り9年8ヶ月となり、10年を下回りました。 控除期間がまだ残っている場合、減る利息だけでなく控除の扱いも併せて確認する必要があります。 期間を縮めたくない場合は、同じ額を返済額軽減型で入れる方法もあります。 控除が切れる繰上げ額の目安は繰上げ返済で控除が切れる額でも扱っています。

返済額軽減型を選んだ場合の順位

返済額軽減型は期間を変えず毎月の返済額を下げる方法です。100万円を入れた場合を、期間短縮型と並べました。

入れる先期間短縮型の利息減返済額軽減型の利息減下がる毎月返済
変動0.6%・残り25年 158,319円 77,108円 3,591円
固定1.5%・残り15年 227,295円 117,339円 6,207円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。同じ100万円を、期間短縮型と返済額軽減型でそれぞれ入れた場合の比較です。

返済額軽減型でも、利息が多く減るのはローンBの側で、差は40,231円でした。 方式を変えても優先順位は入れ替わりませんでしたが、減る利息の額そのものは期間短縮型より小さくなります。 毎月の負担を下げたい場合は6,207円の軽減と、109,956円少ない利息減を見比べることになります。

判断の順番

最初に見るのは2本の適用金利です。金利差が上の境目の表を超えていれば、残り期間が短く金利が高い側が先に来ます。 金利差が境目に届かない場合は、残り期間が長い側が先です。差が小さいときは、どちらに入れても利息の違いは数千円から数万円にとどまります。

次に、金利以外の条件を確認します。変動金利の側は、今後の金利見直しで適用金利が変わり得ます。 固定期間が残っている側は、その期間が終わるまでは金利が動きません。 変動側の金利が上がると2本の金利差は縮むため、優先は変動側へ寄ります。 ローンAの金利が1.1%になった場合、同じ100万円で減る利息は308,682円となり、ローンBの227,295円を上回りました。 将来の金利は予測できないため、もし変動側がこの水準になったらどちらが有利になるかという形で、仮定を置いて計算し直すのが現実的です。

最後に、控除期間の残りと手数料を見ます。控除期間が残っている側を大きく縮めると、要件に触れる場合があります。 1件ごとに手数料がかかる商品なら、回数を分けるほど費用が増えます。

確認手順

まず2本の返済予定表を並べ、それぞれの残債、残り期間、適用金利、毎月返済額を書き出します。 変動金利の側は、直近の適用金利と次の見直し時期も確認します。

次に、繰上げ返済の最低金額と手数料、受付方法を商品ごとに確認します。 たとえばフラット35では、一部繰上返済は金融機関の窓口で100万円以上、インターネットサービス「住・My Note」で10万円以上から受け付け、この手続に手数料はかからないとされています(フラット35 繰上返済)。 金融機関や商品により条件は異なるため、2本それぞれで確認します。

そのうえで、2本の条件をこのサイトのツールに入れ、減る利息と繰上げ後の残り期間を見比べます。 入れる時期によっても効き方は変わるため、繰上げ返済は早いほど得かも合わせて確認すると判断しやすくなります。

2本のローンの繰上げ返済についてよくある質問

金利が高い方から返すのが原則だと聞きましたが違うのですか

金利が高い側が有利になる場合は多いものの、残り期間が極端に短いと差は縮みます。 この試算では、金利差が1.01ポイント未満で残り10年の場合、残り25年・低金利のローンAへ入れた方が利息は多く減りました。 金利だけでなく残り期間と合わせて計算するのが確実です。

2本のうち変動金利の側を優先した方が安全ではないですか

変動金利の側を減らすと、将来金利が上がった場合の影響を受ける元金が小さくなります。 利息の減り方だけでは固定側が勝つ条件でも、金利上昇への備えを重く見るなら変動側を選ぶ判断はあり得ます。 その場合も、どれだけの利息減を手放すことになるかを数値で把握しておくと比較しやすくなります。

2本をまとめて1本にしてから繰上げ返済した方がよいですか

一本化には事務手数料や抵当権の設定費用などがかかり、まとめた後の金利によって結果が変わります。 費用込みの総支出は2本のローンを1本にまとめるとで計算しています。 繰上げ返済の優先順位を決めるだけであれば、一本化は必須ではありません。

まとめ

  • 変動0.6%・残り25年へ100万円で利息は158,319円減る
  • 固定1.5%・残り15年へ同額なら227,295円減り、差は68,976円
  • 残り15年の側が勝つ境目は金利差0.47ポイント(残り20年なら0.21ポイント)
  • 半分ずつ入れると集中させる場合より27,255円少ない
  • 期間短縮型で残り期間が10年を割ると控除の要件に触れる場合がある

この試算では金利が高く残り期間が短い側へ集中させる方が利息は多く減りました。 ただし境目は金利差と残り期間の組み合わせで動くため、自分の2本の数字を入れて確かめてください。