2本のままと一本化を、まず同じ表に並べる

モデルケースは次の2本です。1本目は残債2,200万円・残り25年・金利0.7%、2本目は残債400万円・残り10年・金利2.3%。これを残債合計2,600万円・期間25年・金利1%の1本に借り換えた場合と比べます。諸費用は定率型(借入額の2.2%)で80万円、自己資金で払う前提です。

区分残債残り期間金利毎月返済総返済額
1本目(住宅本体)2,200万円25年0.7%79,958円2,399万円
2本目(追加借入)400万円10年2.3%37,345円448万円
2本のまま合計2,600万円——117,303円2,847万円
1本にまとめる2,600万円25年1%97,986円2,940万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。元利均等・ボーナス返済なし。一本化の行には諸費用80万円を含めていません。

毎月返済は117,303円から97,986円へ、19,317円下がります。一方で総返済額は2,940万円で、2本のままの2,847万円より多く、ここに諸費用80万円を足した総支出は3,019万円になります。差は+1,723,178円です。

毎月が下がる主因は金利ではなく期間

一本化で毎月が軽くなるのは、金利が下がったからではありません。このケースでは1本目の金利0.7%が1%へ上がっています。軽くなった理由は、残り10年で返す予定だった400万円を、25年かけて返す形に組み替えたからです。

2本目の毎月返済37,345円は、10年で終わる前提の金額です。一本化するとこの400万円が25年返済に乗り、毎月の負担は小さくなる代わりに、利息が乗る期間が15年延びます。借り換えで返済期間を延ばすと起きることと同じ構造です。

見落としやすいのは、11年目から先の比較です。2本のままなら2本目が完済して毎月返済は79,958円に下がりますが、一本化後は97,986円が25年続きます。つまり11年目以降は、一本化した方が毎月18,028円高い状態になります。毎月が下がるのは最初の10年だけです。

一本化後の金利別|総支出で並ぶのは何%か

一本化後の金利をいくらまで引き下げられれば、諸費用を払っても2本のままと総支出が並ぶのかを見ます。期間は25年に固定し、金利だけを変えています。

一本化後の金利毎月返済総返済額諸費用込みの総支出2本のままとの差
0.5%92,214円2,766万円2,846万円−8,636円
0.7%94,496円2,835万円2,914万円+675,981円
1%97,986円2,940万円3,019万円+1,723,178円
1.3%101,558円3,047万円3,126万円+2,794,488円
1.6%105,209円3,156万円3,236万円+3,889,947円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用は定率型80万円を一律で足しています。差額のプラスは一本化した方が総支出が多いことを示します。

二分探索で求めた分かれ目は0.503%でした。1本目の金利0.7%より低い水準まで下げないと、総支出では並びません。0.7%のまま一本化しても+675,981円で、金利が同じでも期間の延長と諸費用の分だけ総支出は増えます。

一本化後の期間別|12年6ヶ月が分かれ目

金利を1%に固定し、一本化後の返済期間だけを変えた場合です。期間を詰めれば総支出は減りますが、毎月返済は跳ね上がります。

一本化後の期間毎月返済諸費用込みの総支出2本のままとの差
10年227,770円2,813万円−340,314円
12年6ヶ月184,464円2,847万円−3,148円
15年155,608円2,881万円+336,717円
20年119,572円2,949万円+1,024,549円
25年97,986円3,019万円+1,723,178円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利1%・諸費用は定率型80万円で固定し、返済期間だけを変えています。

総支出が並ぶのは12年6ヶ月までで、そのときの毎月返済は184,464円です。2本合計の117,303円より重く、毎月を軽くする目的とは逆方向になります。諸費用が定額型28万円で済む場合は16年3ヶ月まで伸びますが、それでも元の25年には届きません。

2本目の金利が高いほど一本化は効く

一本化が総支出でも有利になるのは、2本目の金利が十分に高いときです。2本目の金利だけを変え、一本化(1%・25年)との差を見ます。

2本目の金利2本目の毎月返済2本のままの総返済額一本化との差
2.3%37,345円2,847万円+1,723,178円
3%38,624円2,862万円+1,569,686円
5%42,426円2,908万円+1,113,470円
10%52,860円3,033万円−138,613円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。1本目と一本化の条件は固定し、2本目の金利だけを変えています。差額のマイナスは一本化した方が総支出が少ないことを示します。

2本目が5%でも、一本化の総支出は+1,113,470円です。逆転するのは10%の行で、ようやく−138,613円になります。2本目の残債が400万円しかなく、残り期間も10年と短いため、金利差が総額に効く余地が小さいことが原因です。残債が大きい2本目や、無担保のリフォームローンで金利が高い場合は、同じ計算をやり直す価値があります。

住宅ローン控除の扱いは一次情報で確認する

一本化は住宅ローンの借換えにあたるため、住宅ローン控除の取り扱いが変わり得ます。国税庁は、借換えによる新しいローンが控除の対象になる条件として「新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること」と「新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること」を示しています(国税庁タックスアンサー No.1233)。

償還期間の10年は、国税庁の説明では「最初の返済等の時から返済等が終了する時までの期間」です(国税庁タックスアンサー No.1225)。上の期間別の表で期間を詰める案を検討する場合、10年を下回る期間にすると控除の要件から外れます。

金額の按分にも規定があります。国税庁は、借換え直前の当初ローンの残高をA、新しいローンの当初の借入金額をB、新しいローンの年末残高をCとして、A≧Bなら対象額はC、A<Bなら対象額はC×A/Bと示しています。諸費用を借入に上乗せしてBを膨らませると、対象額は按分で絞られます。どのローンがAに当たるかは契約内容によるため、借り換えで住宅ローン控除は減るのかと合わせて、税務署と金融機関に確認してください。

判断基準|毎月を取るか総額を取るか

この試算では、一本化で下がるのは毎月19,317円、増えるのは総支出172万円でした。19,317円の余裕を10年買うために、172万円を払う取引だと読み替えられます。

毎月の資金繰りが優先される局面、たとえば教育費が重なる数年がある場合は、この取引に意味があります。逆に毎月が回っているなら、総支出が増える側へ動く理由は小さくなります。このケースの数字を素直に読むと、毎月の余裕を増やす必要がないなら一本化しない方が総支出は少ないという結論になります。

管理の手間を減らしたい、団信や金利タイプを揃えたいという目的もあり得ます。その場合も、金額としていくら払うのかを先に出してから決める方が、後から条件を変えるより選択肢が広いままです。

確認手順

最初に、2本それぞれの返済予定表から残債・適用金利・残り回数・返済方式を書き出します。2本目がリフォームローンや無担保ローンの場合、金利タイプと残り回数が住宅ローンと大きく違うことがあります。

次に、一本化の候補条件(金利、期間、事務手数料の方式)を金融機関に確認します。手数料が定率型か定額型かで、このページの試算でも分かれ目の期間が12年6ヶ月から16年3ヶ月へ動きました。見積もりを実額でもらうのが先です。

そのうえで、毎月返済と総支出の両方を計算します。最後に、控除の残存年数がある場合は、一本化後も要件に当てはまるかを税務署で確認します。リフォームを追加で借りたら毎月いくらや借り換えの諸費用は総額いくらも、同じ数字をそろえるときに使えます。

一本化についてよくある質問

2本を1本にまとめると金利は下がりますか

一本化は借換えなので、適用される金利は新しく審査される条件によります。1本目より低くなる場合も、このページの試算のように高くなる場合もあります。2本の加重平均と比べるのではなく、候補条件の実数で計算してください。

毎月返済が下がるなら得ではないのですか

毎月が下がることと総支出が減ることは別の話です。この試算では毎月19,317円下がる一方、諸費用込みの総支出は172万円増えました。どちらを優先するかで答えが変わります。

一本化で返済期間を10年未満にしても問題ありませんか

返済そのものは可能でも、住宅ローン控除については国税庁が償還期間10年以上を要件としています。控除の残存年数がある場合は、期間を詰める前に要件を確認してください。

まとめ

  • 2本合計の毎月117,303円は、一本化で97,986円になる(19,317円減)
  • 諸費用込みの総支出は172万円増える。期間の延長分が主因
  • 総支出で並ぶのは金利0.503%以下、または期間12年6ヶ月以内
  • 11年目以降は2本のままの方が毎月18,028円安い