借り換えない方がいいのは、回収が間に合わない人

結論から言うと、借り換えない方が有利になるのは主に3つの場合です。金利差が小さい場合、残り期間が短い場合、そして控除の要件を外してしまう場合です。次の表は、諸費用を現金で払ったときの総支出の差です。プラスは借り換えの方が安く、マイナスは現状維持の方が安いことを示します。

残債残り期間諸費用金利差0.1%0.2%0.3%0.5%
1,000万円15年38万円−30.1万円−22.3万円−14.5万円+0.9万円
1,000万円20年38万円−27.4万円−16.9万円−6.4万円+14.4万円
2,000万円15年64万円−48.3万円−32.6万円−17.1万円+13.9万円
2,000万円25年64万円−37.1万円−10.5万円+15.9万円+68.2万円
3,000万円20年90万円−58.2万円−26.6万円+4.9万円+67.1万円
3,000万円25年90万円−49.7万円−9.8万円+29.9万円+108.3万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。現在の金利0.9%、期間据え置き、事務手数料は定率2.2%、金利が動かない仮定です。太字は現状維持の方が安い条件です。控除は含めていません。

金利差0.2%では、残債2,000万円・残り25年で10.5万円、残債3,000万円・残り25年でも現状維持の方が安くなりました。「金利が下がる」と「総支出が減る」は別の問題です。残債と残り期間によって分かれ目がどう動くかは金利差の分かれ目の試算にまとめています。

判定1:諸費用が節約分を上回る

定率型の事務手数料は残債に比例するので、残債が大きいほど諸費用も大きくなります。残債3,000万円なら諸費用は90万円です。差額の毎月の節約で取り返せなければ、借り換えは支出を増やすだけです。

事務手数料を定額型で提案されることもあります。その場合は保証料や金利の上乗せを含めて比較します。方式の違いは事務手数料の定率型と定額型の比較、諸費用の内訳は諸費用の実額で確認できます。

判定2:残り期間が短い

金利差の効果は、残りの返済回数と残高の掛け算です。残り15年は表のとおり、残債1,000万円でも2,000万円でも金利差0.3%までは現状維持の方が安くなりました。残高が大きく見えても、あと何回払うかで節約額の上限が決まります。

すでに返済が進んでいる人は、借り換えより残り期間に応じた他の手段が先に候補になります。何年目まで借り換えが見合うかも合わせて見てください。

判定3:控除の10年要件で判定が反転する

控除が残っている場合、もう一つ確認があります。借り換え後の返済期間が10年未満になると、新しいローンは住宅ローン控除の対象になりません。国税庁は、借り換えが控除の対象となる要件として、10年以上の償還期間であることなどを挙げています(No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき、2026年10月31日に確認)。

比較した条件借り換え後の期間控除の残存借り換え後の控除総支出の差(控除込み)判定
控除を入れない9年——+1.2万円僅差
控除を入れる9年6年0円−33.6万円借り換えない方が有利
期間を変えない11年6年345,234円−2.7万円借り換えない方が有利

このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債1,200万円・残り11年・金利0.9%から0.3%へ、控除率0.7%、借入限度額3,000万円、年収600万円の概算です。

控除を入れなければわずかに得に見える条件が、控除を入れると33.6万円の損に変わります。失う控除は、現状維持なら受け取れた348,420円です。期間を据え置いても、この条件では諸費用の回収が間に合わず現状維持の方が安くなります。

控除が長く残っていても、10年以上なら差は小さい

反対に、10年以上の期間を保てれば、控除の差は判定をほとんど動かしません。残債2,500万円・残り25年・金利差0.3%なら、控除を入れない場合の差は22.9万円、控除の残存8年を入れた場合は22.2万円でした。借り換え後は元金の減りがわずかに早くなり、年末残高が減るため控除額は7,036円小さくなります。

なお、諸費用を借入に上乗せした分は控除の対象外です。計算方法と金額は諸費用を上乗せした場合の試算にまとめています。

金利が上がる前提でも結論が変わらない理由

「これから金利が上がるなら早く動く方が得」とは限りません。変動から変動への借り換えでは、借り換え先も同じように上がる可能性があります。次の表は、残債2,500万円・残り25年・金利差0.2%で両方が同じ幅で上がる場合の差です。

3年での上昇幅定率型の差判定定額型の差(金利据え置きの場合)
+0%−10.6万円借り換えない方が有利+38.9万円
+0.5%−7.7万円借り換えない方が有利+41.8万円
+1%−4.6万円借り換えない方が有利+44.9万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。控除の残存8年を含みます。定額型は55,000円で同じ金利差が取れた場合の参考値です。実際には定額型は保証料などが別にかかるのが一般的で、金利差がそのまま取れるとは限りません。

金利差が同じなら、上昇で利息全体は増えても差はあまり広がりません。上昇を理由に判定が変わるのは、固定金利への変更のように金利差そのものが動く場合です。この比較は上がる前と後の固定への移行で扱っています。

借り換えないと決めた場合に残る選択肢

現状維持が有利と出ても、何もしないとは限りません。同じ銀行で金利の引き下げを相談する方法があり、同行の引き下げとの比較のとおり、小さな引き下げでも他行への借り換えと同じ効果になることがあります。手元資金があれば繰上げ返済や火災保険・団信の見直しも選択肢です。

また、判定は条件が変われば変わります。残債、金利差、控除の残存は年ごとに動くので、年に1回は再計算します。その時点の提案金利と諸費用の実額で比べ直すと、見送った判断を検証できます。

判定に使う数字を揃える手順

  1. 返済予定表から残債、残り期間、現在の金利を確かめる
  2. 借り換え先の金利、事務手数料、保証料、保証料の戻りの実額を確かめる
  3. 控除の残存年数と、借り換え後の期間が10年以上かを確かめる
  4. ツールに入れて、控除込みの総支出で現状維持と比べる

借り換えを見送る判断についてよくある質問

「金利差0.5%あれば得」はこの計算でも正しいですか

残債1,000万円・残り15年では金利差0.5%でも差はわずかでした。残債と残り期間で分かれ目が動くので、固定の数字だけでは判定できません。

銀行から提案された試算では得になっています。どこを確かめますか

諸費用がすべて入っているか、諸費用を上乗せしていないか、控除の変化が入っているかを確かめます。月々の差額だけの試算では、総支出の結論と異なることがあります。

借り換えない方がいいと出たら、しばらく見直さなくてよいですか

年1回の見直しを勧めます。金利が上がった場合に固定金利との比較が変わることもあり、控除が終わる年を境に判定が動く場合もあります。

まとめ

  • 残債2,000万円・残り25年で金利差0.2%なら、総支出は11万円増える
  • 残り15年は金利差0.3%でも、この試算では現状維持の方が安い
  • 10年未満への短縮で控除を失うと、33.6万円の損へ反転する条件がある
  • 現状維持と出たら、同行の引き下げ相談と年1回の再計算に移す