残債3,000万円・残り30年の4択

結論から言うと、有利な選択肢は上昇幅によって入れ替わります。最初の表は返済の前半にいる人の例です。そのままは変動0.6%、借り換えは変動0.4%、固定は同じ銀行で1.8%に変更する仮定です。控除の残存は8年としました。

3年での上昇幅そのまま借り換え固定へ変更最も安い300万円繰上げの削減額
+0%3,134万円3,130万円3,737万円借り換え38万円
+0.5%3,355万円3,346万円3,737万円借り換え86万円
+1%3,590万円3,576万円3,737万円借り換え138万円
+1.5%3,840万円3,821万円3,737万円固定へ変更195万円
+2%4,123万円4,096万円3,737万円固定へ変更262万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金額は控除を差し引いた実質の総支出です。上昇は3年で段階的に起き、その後は横ばい、借り換えも同じ幅で上がる仮定です。繰上げは期間短縮型です。上昇幅は0.5%刻みで見ています。

金利差0.2%の借り換えは、諸費用を払っても残りが長いのでわずかに有利です。そのままとの差は小さいものの、この差は手数料の実額や提示金利で簡単に逆転します。+1.5%からは固定が安くなります。

残債2,000万円・残り20年の4択

同じ金利差でも、残りが短いと借り換えは有利ではなくなります。この表では控除の残存を3年、固定金利を1.6%としました。

3年での上昇幅そのまま借り換え固定へ変更最も安い300万円繰上げの削減額
+0%2,085万円2,107万円2,301万円そのまま28万円
+0.5%2,176万円2,197万円2,301万円そのまま57万円
+1%2,271万円2,291万円2,301万円そのまま87万円
+1.5%2,371万円2,389万円2,301万円固定へ変更118万円
+2%2,475万円2,491万円2,301万円固定へ変更151万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。条件は上の表と同じで、残債と残り期間、控除の残存、固定金利だけを変えています。

金利差0.2%の借り換えは、どの上昇幅でもそのままより高くなりました。借り換えが選択肢から落ち、そのままと固定の比較に絞られます。分かれ目の考え方は借り換えない方がいい条件で詳しく示しています。

残債1,000万円・残り10年の4択

返済の終盤にいる人の例です。控除は終わっている前提で、固定金利は1.4%としました。

3年での上昇幅そのまま借り換え固定へ変更最も安い300万円繰上げの削減額
+0%1,031万円1,058万円1,073万円そのまま16万円
+0.5%1,049万円1,077万円1,073万円そのまま27万円
+1%1,068万円1,096万円1,073万円そのまま38万円
+1.5%1,088万円1,115万円1,073万円固定へ変更50万円
+2%1,108万円1,135万円1,073万円固定へ変更62万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。控除は含めていません。繰上げの削減額は投じた300万円を差し引いた名目の総支出の差で、手元資金の機会費用は含めていません。

残り10年では、どの選択肢でも差が小さくなります。借り換えは諸費用を回収しきれず、固定も大きな上昇がなければ得になりません。上昇幅による金額の差自体が小さいので、動く費用と手間の方が問題になる段階です。

繰上げ返済を同じ順位に並べない理由

繰上げ返済の削減額はどの表でもプラスです。ただしこれは、金利が正である限り、資金を入れれば総支出が減るという当然の結果です。300万円を投じている以上、同じ条件の比較にはなりません。

判断の問いは「どれが一番得か」ではなく「手元の300万円を他に使う予定があるか」です。生活防衛資金を残した上で余裕がある場合に候補に入ります。使い道の比較は借り換えと繰上げ返済の比較、預金との比較は預金金利と繰上げ返済で計算しました。

結論が入れ替わるのは金利だけではない

3つの表を見比べると、結論を動かす要素が分かります。上昇幅のほかに、残り期間、提示された金利差、諸費用です。さらに控除の残存が判定に関わります。借り換え後の期間が10年未満になると控除を失う点も忘れないでください。

逆に言えば、自分の条件を入れずに「金利が上がるから固定」「低金利だから借り換え」と決めることはできません。金利の数字だけで決めた場合と、諸費用や控除を含めて決めた場合で、結論が逆になることがあります。

どの選択肢を選ぶかの基準

借り換えを選ぶ根拠は、金利差が十分に大きく、残り期間が長いことです。固定を選ぶ根拠は、避けたい上昇幅が分岐点を超えていること、または毎月の返済を変えたくないことです。そのままを選ぶ根拠は、想定する上昇が分岐点より小さく、家計で吸収できることです。

分岐点は残り期間別の分岐点で読めます。どの選択肢でも、次の改定後の返済額と未払利息が出る金利は別に確認します。総支出が最も安くても、途中の返済額を払えなければ選択肢になりません。

自分の条件で4択を比べる手順

  1. 返済予定表で残債、残り期間、現在の金利と返済額を確かめる
  2. 借り換え先の金利と諸費用、同じ銀行の固定金利を確かめる
  3. 控除の残存年数と年収を確かめる
  4. ツールに入れ、上昇シナリオごとの総支出を見る。結論が入れ替わる上昇幅を確かめる

4択の比較についてよくある質問

どのシナリオを信じて判断すればよいですか

一つに絞る必要はありません。結論が入れ替わる上昇幅を確かめ、それより上がると考えるか、その上昇が起きたときに家計がどうなるかで判断します。このサイトは将来の金利を予測しません。

2つを組み合わせることはできますか

借り換えや固定に変えた後に繰上げ返済をするなど、組み合わせはできます。順番と資金の配分で結果は変わるので、資金を分けて比較します。

いつ比べ直すとよいですか

年に1回と、返済額の改定の1年前が目安です。金利の通知が来たときや、提示金利が変わったときにも比べ直す価値があります。

まとめ

  • 金利が動かない場合の有利な選択肢は、残り30年では借り換え、残り20年ではそのまま
  • 残り30年と20年は、上昇幅+1.5%から固定が最も安い
  • 繰上げ返済は別枠で、手元資金の使い道として判断する
  • 結論が入れ替わる上昇幅を確かめ、自分の家計と照らして決める