3年据え置くと毎月と総額はどう動くか
条件は残債3,000万円・残り35年・金利0.6%・元利均等で固定します。通常どおり返すと毎月79,208円、 完済は2061年9月、総返済額は3,327万円です。ここから元金の返済だけを止め、 据え置き期間中は利息だけを払う場合を計算しました。完済時期は動かさず、据え置いた分だけ残りの返済回数が減る前提です。
| 据え置き期間 | 据え置き中の毎月 | 据え置き明けの返済額 | 通常返済との差 | 総返済額 | 総額の増加 |
|---|---|---|---|---|---|
| 据え置きなし | — | 79,208円 | 基準 | 3,327万円 | 基準 |
| 1年 | 15,000円 | 81,302円 | +2,094円 | 3,335万円 | +83,813円 |
| 2年 | 15,000円 | 83,523円 | +4,315円 | 3,344万円 | +167,808円 |
| 3年 | 15,000円 | 85,884円 | +6,676円 | 3,352万円 | +251,956円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。据え置き中の支払いは残債が動かないため毎月一定で、据え置き明けは残債3,000万円を残りの回数で元利均等に組み直しています。
3年据え置くと、毎月の支払いは79,208円から15,000円へ、64,208円軽くなります。3年分では231万円の支出が後ろへ回ります。 その代わり据え置き明けの返済額は85,884円で、通常返済より6,676円高くなります。総返済額の増加は251,956円です。
先送りした231万円に対する上乗せは25万円
この251,956円は、3年間で先送りした2,311,488円に対して10.9%にあたります。 据え置きは借金を減らす手段ではなく、支出の時期をずらす手段です。ずらした金額に対していくら上乗せになるかで見ると、代償の大きさを判断しやすくなります。
据え置き明けの返済額が上がるのは、元金3,000万円が丸ごと残ったまま、返す期間だけが3年短くなるためです。 据え置き期間が長いほど残り回数が減り、1回あたりの元金充当を増やさなければ完済時期に間に合わなくなります。 表の「据え置き明けの返済額」が1年ごとに段階的に上がっているのは、この効き方によるものです。
返済期間を延ばす場合と延ばさない場合
据え置き明けの返済額を上げたくない場合は、据え置いた分だけ返済期間を後ろへ延ばす形が考えられます。 この場合、据え置き明けの返済額は据え置き前と同じ79,208円のままですが、完済は据え置いた期間だけ遅くなります。 取り扱いの可否と条件は金融機関により異なるため、ここでは2つの前提を並べて比較します。
| 据え置き期間 | 前提 | 据え置き明けの返済額 | 完済時期 | 総返済額 | 通常返済との差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 期間を延ばさない | 81,302円 | 2061年9月 | 3,335万円 | +83,813円 |
| 期間を延ばす | 79,208円 | 2062年9月 | 3,345万円 | +180,000円 | |
| 2年 | 期間を延ばさない | 83,523円 | 2061年9月 | 3,344万円 | +167,808円 |
| 期間を延ばす | 79,208円 | 2063年9月 | 3,363万円 | +360,000円 | |
| 3年 | 期間を延ばさない | 85,884円 | 2061年9月 | 3,352万円 | +251,956円 |
| 期間を延ばす | 79,208円 | 2064年9月 | 3,381万円 | +540,000円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。「期間を延ばさない」は完済時期を2061年9月に固定した場合、「期間を延ばす」は据え置いた月数だけ最終回を後ろへずらした場合です。
3年据え置きで比べると、期間を延ばさない場合の総額増は251,956円、延ばす場合は540,000円で、差は288,044円です。 延ばす方が毎月の返済額は元のまま維持できますが、残債3,000万円のまま利息だけを払う期間がそのまま総額に積み上がります。 毎月の返済額を優先するか、完済時期と総額を優先するかで、選ぶ前提が変わります。
適用金利が高いほど据え置きの代償は大きい
据え置き中に払う金額は「残債 × 金利」そのものなので、金利が高いほど据え置き中の支払いも大きくなります。 3年据え置き・完済時期を動かさない前提で、適用金利だけを変えた結果です。
| 適用金利 | 通常の返済額 | 据え置き中の毎月 | 据え置き明けの返済額 | 総額の増加 |
|---|---|---|---|---|
| 0.6% | 79,208円 | 15,000円 | 85,884円 | +251,956円 |
| 1% | 84,685円 | 25,000円 | 91,322円 | +399,977円 |
| 1.5% | 91,855円 | 37,500円 | 98,417円 | +562,948円 |
| 2% | 99,378円 | 50,000円 | 105,836円 | +702,080円 |
| 2.5% | 107,248円 | 62,500円 | 113,575円 | +818,313円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債3,000万円・残り35年・元利均等で、適用金利だけを変えています。
金利0.6%では据え置き中の支払いは15,000円まで下がりますが、2.5%では62,500円です。 総額の増加も251,956円から818,313円へ広がります。金利が高い局面ほど「利息だけ払う」の負担そのものが重く、 据え置きで得られる毎月の軽減幅も相対的に小さくなります。
据え置き中に金利が上がったらどうなるか
変動金利で据え置き中に金利が上がると、据え置き中の支払い額そのものが増えます。元金が減っていないため、上昇分がそのまま残債3,000万円に掛かるからです。 据え置き開始時0.6%から、据え置き期間中に金利が上がった場合を計算しました。金利の予測ではなく、「もしこの水準になったら」という仮定です。
| 上昇後の金利 | 据え置き中の毎月 | 0.6%のままとの差 | 据え置き明けの返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|---|---|
| 0.6%(据え置き前と同じ) | 15,000円 | 基準 | 85,884円 | 3,352万円 |
| 1.1%(+0.5ポイント) | 27,500円 | +12,500円 | 92,715円 | 3,659万円 |
| 1.6%(+1.0ポイント) | 40,000円 | +25,000円 | 99,875円 | 3,979万円 |
| 2.1%(+1.5ポイント) | 52,500円 | +37,500円 | 107,358円 | 4,312万円 |
| 2.6%(+2.0ポイント) | 65,000円 | +50,000円 | 115,160円 | 4,656万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。据え置き期間中と据え置き明け以降に同じ金利が適用される前提で計算しています。そのため右端の総返済額は、据え置きの代償だけでなく、残り期間全体に金利上昇が効いた分を含みます。5年ルール・125%ルールの適用は前提に含めていません。
+1.0ポイントで1.6%になると、据え置き中の支払いは15,000円から40,000円へ増えます。 毎月の支払いを下げるために据え置いたのに、その下げた額自体が上がるという形です。据え置き明けの返済額も99,875円になります。 据え置きは金利上昇に対する備えにはならず、むしろ残債が減らない分だけ上昇の影響を受ける金額が大きいまま保たれます。
据え置き中、残債は1円も減らない
据え置きでいちばん見えにくいのは残債の動きです。支払いは続いているのに、その全額が利息へ回るため、残高は動きません。 通常返済と3年据え置きで、同じ時点の残債を並べました。
| 経過 | 通常返済の残債 | 3年据え置きの残債 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 29,227,375円 | 30,000,000円 | +772,625円 |
| 3年後 | 27,668,153円 | 30,000,000円 | +2,331,847円 |
| 5年後 | 26,090,114円 | 28,288,955円 | +2,198,841円 |
| 10年後 | 22,061,180円 | 23,920,445円 | +1,859,265円 |
| 20年後 | 13,631,577円 | 14,780,360円 | +1,148,783円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。3年据え置きは完済時期を動かさない前提で、据え置き明け以降は85,884円で返済しています。
3年後の残債は、通常返済なら27,668,153円まで減っていますが、据え置きでは30,000,000円のままです。 差は2,331,847円で、これが据え置き中に減らなかった元金です。据え置き明け以降は返済額が高くなるため差は少しずつ縮み、 20年後には1,148,783円まで小さくなりますが、完済までなくなりません。
この「支払いは続いているのに元金が減らない」状態は、変動金利の5年ルールで返済額が据え置かれている間に起きることと同じ向きの現象です。 違うのは、5年ルールが契約上の仕組みとして自動的に起きるのに対し、元金据え置きは自分の申し出で意図的に作る点です。 5年ルールで元金充当がどれだけ減るかも合わせて見ると、残債の減り方が家計に効く理由が分かりやすくなります。
判断の基準は「何を買っているか」
元金据え置きで買っているのは、据え置き期間中の手元資金です。この試算では3年で2,311,488円の支出が後ろへ回り、 その代金が251,956円(期間を延ばさない前提)でした。失業や収入減で一時的に資金が足りない場面では、この代金を払う価値が出ることがあります。
一方、支出を減らす目的なら別の手があります。返済額軽減型の繰上げ返済や返済期間の延長は、据え置きと違って残債が減り続けます。 返済がきつい時の選択肢と期間を延ばして返済額を据え置く場合も、同じ総額の軸で比べられます。
据え置き明けに返済額が上がることも判断材料です。いまの79,208円が重いから据え置く場合、 3年後に85,884円を払える見込みがあるかを先に確認しておく必要があります。見込みが立たないなら、 据え置きは問題を3年後ろへ動かすだけになります。
参考までに、この条件で利息が返済額に追いつく金利(未払利息の閾値)は通常返済で3.17%、 据え置き明けの返済額なら3.44%です。据え置き中は支払額と利息が一致しているため、元金へ回る分が0円という状態が続きます。
確認する順番
最初に、返済予定表で現在の残債・適用金利・残り回数を確認します。この3つが分かれば、据え置き中の支払い(残債×金利÷12)と、 据え置き明けの返済額は自分の条件で計算できます。
次に、取り扱いの可否と条件を返済中の金融機関に確認します。元金据え置きは商品として常に用意されているものではなく、 対象者の条件が決まっている場合があります。たとえば住宅金融支援機構の返済方法変更メニューでは、返済でお困りの方向けの変更として 「元金のお支払いを一時休止し、利息のみをお支払いいただく期間(最長3年)の設定ができます」とされており、 対象は「現に失業中の方、または収入が20%以上減少した方」など、そのタイプの要件を満たす場合とされています (出典:住宅金融支援機構「タイプ別返済方法変更メニュー」)。 民間金融機関での取り扱いや条件はこれとは異なるため、契約先への確認が必要です。
最後に、据え置き明けの返済額を払える家計かどうかを見ます。据え置き期間が終わる月は先に分かるので、その時点の収入の見込みと、 教育費や車の買い替えなど同じ時期に重なる支出を並べて確認しておくと、判断の材料がそろいます。
元金据え置きについてよくある質問
据え置き期間中の支払いはずっと同じ金額ですか
適用金利が変わらなければ同じ金額です。据え置き中は残債が動かないため、支払い(残債×金利÷12)も一定になります。 この試算では残債3,000万円・金利0.6%で15,000円が続きます。ただし変動金利で金利が上がれば、この金額自体が増えます。 上の表のとおり、+1.0ポイントなら40,000円です。
据え置きを使うと住宅ローン控除はどうなりますか
住宅ローン控除は年末残高を基準に計算されるため、残債が減らない期間は控除の計算に使う残高も下がりません。 ただし控除には償還期間などの要件があり、返済方法の変更が要件に影響するかどうかは個別の契約と手続きの内容によります。 控除の扱いは税務の判断になるため、国税庁の案内と税務署、および契約先の金融機関に確認してください。 控除額そのものの計算は住宅ローン控除はいくら戻るのかで試算しています。
据え置きと返済期間の延長はどちらが総額で軽いですか
この試算の範囲では、完済時期を動かさない前提の据え置き(総額増251,956円)の方が、 据え置いた分だけ期間を延ばす前提(同540,000円)より総額の増加は小さくなりました。 ただし前者は据え置き明けの返済額が85,884円へ上がります。総額と毎月の返済額のどちらを優先するかで結論が変わります。
まとめ
- 3年据え置くと毎月の支払いは15,000円になり、64,208円軽くなる
- 据え置き明けの返済額は85,884円で、通常返済より6,676円高い
- 総返済額の増加は完済時期を動かさない前提で251,956円、期間を延ばす前提で540,000円
- 据え置き中に残債は2,331,847円分だけ減らずに残り、金利が上がれば支払い自体も増える