金利が下がると返済額はいつ下がるのか

住宅金融支援機構【フラット35】は、変動金利型のメリットとして 「借入後に市場金利が低下すると、返済額が減少」を挙げています。 同じページでは変動金利型について 「半年ごとに借入金利の見直しが行われます。一方で、毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ」ると説明されています (住宅金融支援機構「金利のタイプを選ぶ」)。 つまり下がったこと自体は返済額に反映されますが、反映される時点は金利が動いた月とは別に決まります。

本ページは残債3,000万円・残り35年・適用金利1.5%・元利均等・2026年9月返済開始を仮定し、 5年ルールと125%ルールがある契約として計算します。この条件での現在の返済額は91,855円です。 金利が2027年1月に一段下がったとして、下落幅ごとの結果を並べます。

下落幅下落後の適用金利2031年8月の返済額現在との差総返済額据え置きとの差
下がらない1.5%91,855円基準3,858万円基準
0.3%下がる 1.2% 86,743円 −5,112円 3,673万円 −1,845,205円
0.5%下がる 1% 83,462円 −8,393円 3,555万円 −3,029,691円
0.8%下がる 0.7% 78,726円 −13,129円 3,384万円 −4,739,633円
1%下がる 0.5% 75,688円 −16,167円 3,274万円 −5,836,048円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利は2027年1月の見直しで一度に下がり、その後は動かない仮定で計算しています。

0.5ポイント下がって適用金利が1%になった場合、返済額が83,462円になるのは2031年8月です。 金利が動いた2027年1月から数えると4年7ヶ月あります。 その間、口座から引き落とされる額は91,855円のまま変わりません。

待っている間、下がった分はどこへ行くのか

返済額が据え置かれている間も、利息は下がった金利で計算されます。 返済額から利息を引いた残りが元金に充てられるため、 利息が減った分だけ元金の減りが速くなります。 1.0ポイント下がったケースで、据え置き期間の元金充当額を年ごとに並べます。

期間金利が動かない場合の元金充当1.0ポイント下がった場合
1年目(2026年9月〜2027年8月) 656,768円 854,326円 +197,558円
2年目(2027年9月〜2028年8月) 666,688円 958,733円 +292,045円
3年目(2028年9月〜2029年8月) 676,758円 963,537円 +286,779円
4年目(2029年9月〜2030年8月) 686,980円 968,367円 +281,387円
5年目(2030年9月〜2031年7月) 638,842円 891,932円 +253,090円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。5年目は改定の前月までの11回分を集計しています。

1年目だけで元金充当は197,558円多くなり、改定の直前(2031年7月)の残債は 2,667万円に対して2,536万円、 差は131万円になります。 金利が上がった場面では、据え置きは元金が減らない状態を作り、 上限のない先送りにつながります。下がる場面では向きが逆で、 据え置きの間に減っているのは残債の方です。

5年ルールが無い契約との比較

5年ルールが無い契約では、金利が動いた時点で返済額が洗い替えられます。 早く下がる代わりに、残債が多いうちに改定するため下げ幅は小さくなります。 同じ下落幅で両方を計算すると次のようになります。

下落幅ルール返済額が下がる時期下がった後の返済額2031年7月の残債総返済額
0.3%下がる ルールあり 2031年8月 86,743円 2,627万円 3,673万円
0.3%下がる ルールなし 2027年1月 87,547円 2,652万円 3,679万円
0.5%下がる ルールあり 2031年8月 83,462円 2,601万円 3,555万円
0.5%下がる ルールなし 2027年1月 84,746円 2,641万円 3,562万円
1%下がる ルールあり 2031年8月 75,688円 2,536万円 3,274万円
1%下がる ルールなし 2027年1月 77,990円 2,613万円 3,281万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。ルールなしは、金利が動いた月に返済額を再計算する前提で計算しています。

0.5ポイントの下落では、ルールが無い方が2027年1月に84,746円へ下がります。 ルールがある場合は2031年8月まで91,855円のままですが、 改定後の額は83,462円と、ルールが無い場合より低くなります。 総返済額は本試算ではルールがある方が72,225円少なく出ました。 金利が上がる方向を扱った5年ルールがない銀行との違いとは、 有利・不利の向きが入れ替わる点に注意してください。

毎月の支出を早く軽くしたいなら、下がった時点で返済額に反映される方が目的に合います。 総額を抑えたいなら、据え置かれている間に元金が減る方が結果として残ります。 どちらが良いかは目的で決まり、契約でどちらになるかは自分では選べません。

下がるペースが違うと改定額はどう変わるか

同じ1.0ポイントでも、一度に下がるのか、時間をかけて下がるのかで改定時点の金利が変わります。 改定額はその時点の適用金利・残債・残り期間で計算されるためです。

下がりきるまで2031年8月時点の適用金利改定後の返済額現在との差総返済額
一度に下がる 0.5% 75,688円 −16,167円 3,274万円
3年かけて 0.5% 76,795円 −15,060円 3,314万円
5年かけて 0.5% 77,640円 −14,215円 3,345万円
10年かけて 1% 84,529円 −7,326円 3,413万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。合計の下落幅はいずれも1.0ポイントで、到達までの年数だけを変えています。

10年かけて下がる場合、2031年8月時点ではまだ半分しか下がっていないため、 改定後は84,529円にとどまります。一度に下がる場合の75,688円とは8,841円の開きがあります。 最終的な到達金利が同じでも、改定のタイミングにどこまで下がっているかで返済額は変わります。

残債と残り期間で下がり幅は変わる

同じ0.5ポイントの下落でも、残債が小さく残り期間が短いほど、返済額の下がり方は小さくなります。 自分の条件に近い行で見てください。

残債・残り期間現在の返済額改定後の返済額総返済額の差
3,000万円・35年 91,855円 83,462円 −8,393円 −3,029,691円
2,500万円・30年 86,280円 79,239円 −7,041円 −2,119,043円
2,000万円・25年 79,987円 74,256円 −5,731円 −1,381,159円
1,500万円・20年 72,381円 67,916円 −4,465円 −808,231円
1,000万円・15年 62,074円 58,831円 −3,243円 −392,416円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。いずれも適用金利1.5%から0.5ポイント下がる前提で、改定は5年後としています。

残債1,000万円・残り15年では、下がる額は3,243円、 総返済額の差は39万円です。 金利の下落が家計に効く度合いは、残っている元金と、これから利息が付く期間の長さで決まります。

上がってから元の金利に戻った場合

金利が上がったあと、しばらくして元の水準へ戻る展開もありえます。 このとき返済額は元の91,855円に戻るのか、という点を計算します。 1.0ポイント上がって5年後の改定を迎え、その後5年かけて元の1.5%へ戻る仮定です。

金利の動き2031年8月の返済額2036年8月の返済額その時点の適用金利その時点の残債総返済額
金利が動かない 91,855円 91,855円 1.5% 2,297万円 3,858万円
1.0ポイント上がったまま 107,850円 107,851円 2.5% 2,404万円 4,435万円
1.0ポイント上がってから元へ戻る 107,850円 93,700円 1.5% 2,343万円 4,009万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。上昇・下落とも半年ごとに一定ペースで動く仮定で、未払利息は3ケースとも発生しませんでした。

2036年8月時点の適用金利は1.5%で、出発点と同じ水準に戻っています。 それでも返済額は93,700円で、元の91,855円より1,845円高いままです。 上がっていた5年間に元金の減りが遅れ、残債が2,343万円と、 金利が動かない場合の2,297万円より多く残っているためです。 金利が戻っても、返済額と残債は自動では戻りません。

下がっても払う額を変えないという選択

改定で返済額が下がった後も、下がる前と同じ額を払い続ける選択があります。 差額はそのまま元金に充てられるため、繰上げ返済を毎月続けるのと同じ形になります。 改定後は金利が動かない仮定で、完済がどれだけ早まるかを計算します。

下落幅改定後の返済額据え置いた場合の上乗せ額完済が早まる期間完済時期改定後の支払総額の差
0.3%下がる 86,743円 5,112円 1年11ヶ月 2059年9月 −348,357円
0.5%下がる 83,462円 8,393円 3年1ヶ月 2058年7月 −446,795円
1%下がる 75,688円 16,167円 5年7ヶ月 2056年1月 −371,297円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。改定後の残債・残り期間・適用金利から計算し、手数料は0円、以後の金利は動かない仮定です。

0.5ポイント下がったケースでは、8,393円を上乗せし続けると完済は3年1ヶ月早まり、 改定後の支払総額は446,795円少なくなります。 1.0ポイント下がったケースの方が上乗せ額は大きいのに支払総額の差が371,297円にとどまるのは、 適用金利が0.5%まで下がり、削れる利息そのものが小さくなるためです。 実際に返済額を変えずに払い続けるには、繰上げ返済の手続きが必要になります。 手数料と最低金額、受付方法は契約先で確認してください。 方式の違いは期間短縮型と返済額軽減型どっちで扱っています。

下がったときに何を見て判断するか

まず、下がったのが基準金利なのか、自分の適用金利なのかを分けます。 引き下げ幅が契約で固定されている場合、適用金利は基準金利と同じ幅で動きます。 次に、返済額が変わる時期を確認します。5年ルールがある契約では、 金利が動いた月ではなく次の改定月が起点です。

判断の分かれ目は、毎月の支出を軽くしたいのか、総額を減らしたいのかです。 毎月を軽くしたい場合は、改定を待つほかに、返済額軽減型の繰上げ返済という手もあります。 総額を減らしたい場合は、改定後も返済額を据え置く方が効きます。 どちらの目的にも当てはまらないなら、動かさずに次の改定を待つ判断もあります。

借り換えを検討する場合は、下がった後の適用金利を基準に比べます。 金利差だけでなく、事務手数料・保証料・抵当権の設定と抹消・司法書士報酬を含めた実額で見ないと、 差が小さいときは費用の方が上回ります。時期による損得は借り換えは何年目まで得かで扱っています。

確認の手順

1つ目に、返済予定表または金利変更のお知らせで、現在の適用金利・残債・残り返済期間を確認します。 どこに書かれているかは返済予定表の見方にまとめてあります。

2つ目に、次の返済額改定がいつかを確認します。5年ルールがある契約なら、 前回の改定から5年後です。改定の通知が来たときに何を見るかは 金利変更のお知らせが届いたらで扱っています。

3つ目に、下がった金利と現在の残債・残り期間で改定後の返済額を試算し、 いまの返済額との差を家計のどこに回すかを決めます。 差額を支出に回すのか、元金に回すのかで、その後の残債の減り方が変わります。

よくある質問

金利が下がったのに返済額が変わらないのはなぜですか

5年ルールがある契約では、適用金利の見直しと返済額の見直しの周期が別になっています。 本ページの条件では、金利が2027年1月に下がっても返済額が変わるのは2031年8月で、 その間は91,855円のままです。ただし返済額のうち利息に充てられる部分は減っており、 元金の減り方は速くなっています。契約でルールの有無がどうなっているかは、契約書と返済予定表で確認してください。

返済額が下がるのを待つ間、損をしていることになりますか

本ページの試算では、据え置かれている間の差額は元金の返済に回っており、 総返済額はルールがある方が72,225円少なく出ました。 毎月の支出という点では下がるのが遅れますが、支払う総額という点で不利になったわけではありません。 どちらを重く見るかは家計の状況によります。

金利の下限はどこまでですか

本ページの計算では適用金利の下限を0%として扱っています。 契約に下限金利の定めがあるか、基準金利がどこまで下がりうるかは、 金融機関や契約により異なります。商品説明書と契約書で確認してください。 なお本ページは金利の予測をしていません。表の数値は「もしこの幅で下がったら」という仮定の計算です。

まとめ

  • 金利が2027年1月に0.5ポイント下がっても、返済額91,855円が変わるのは2031年8月
  • 待っている間の差額は元金に回り、改定直前の残債の差は131万円
  • 5年ルールが無いと早く下がるが、本試算では総返済額は72,225円多い
  • 上がってから元の金利に戻っても、返済額は93,700円で元には戻らない
  • 改定後も同じ額を払い続けると、0.5ポイント下落のケースで完済が3年1ヶ月早まる