この記事が扱うのは「金利水準」ではなく「金利差」
借り換えの利益は、元のローンと新しいローンの金利差から生まれます。2本が同じ時期に同じ幅だけ上がれば差は保たれますが、連動する基準や改定日が違えば差は縮みます。
借り換え後に両方が同じ幅で上がる場合では、差を0.5ポイントに固定して回収を計算しました。本ページはその前提を外し、差が0.5ポイントから0.4、0.3、0.2ポイントへ縮んだときの感応度を確認します。同じ説明の言い換えではなく、動かす変数が異なります。
金利差別の返済額と回収月数
残債25,000,000円、残り25年、元のローンは年1%、諸費用は770,000円です。借り換え後の金利だけを変えました。
| 金利差 | 借換後金利 | 毎月の差 | 単純回収 | 諸費用控除後の総額差 |
|---|---|---|---|---|
| 0.5% | 0.5% | 5,551円 | 139ヶ月 | 895,191円 |
| 0.4% | 0.6% | 4,458円 | 173ヶ月 | 567,344円 |
| 0.3% | 0.7% | 3,357円 | 230ヶ月 | 236,886円 |
| 0.2% | 0.8% | 2,247円 | 343ヶ月 | -96,177円 |
| 0.1% | 0.9% | 1,128円 | 683ヶ月 | -431,780円 |
| 0% | 1% | 0円 | 回収不可 | -770,000円 |
このサイトの返済計算で、各金利が全期間続く元利均等返済を比較しました。回収月数は諸費用を当初の毎月差で割った単純値、総額差は完済までの返済額差から諸費用を引いた値です。
差が0.5%なら毎月5,551円軽く、139ヶ月で回収します。差が0.2%へ縮むと毎月差は2,247円になり、回収は343ヶ月まで延びます。残り期間内に回収できても、待てる年数かどうかは家計ごとに違います。
新旧ローンの上がり方が違うケース
借り換え前は1.0%、借り換え後は0.5%から始まり、その後に旧ローンが1.5%になったと仮定します。新ローンがどこまで上がるかで結果が変わります。
| その後の動き | 残る金利差 | 毎月の差 | 単純回収 | 総額メリット |
|---|---|---|---|---|
| 両方とも+0.5% | 0.5% | 5,766円 | 134ヶ月 | 959,767円 |
| 旧ローン+0.5%、新ローン+0.7% | 0.3% | 3,486円 | 221ヶ月 | 275,555円 |
| 旧ローン+0.5%、新ローン+0.9% | 0.1% | 1,171円 | 658ヶ月 | -418,935円 |
| 旧ローン+0.5%、新ローン+1.0% | 0% | 0円 | 回収不可 | -770,000円 |
| 旧ローン+0.5%、新ローン+1.1% | -0.1% | -1,178円 | 回収不可 | -1,123,719円 |
上昇後の金利が残り25年間続くと置いた比較です。実際には上昇前に得た返済差もあるため、借り換え直後から差が縮む厳しめの感応度として読んでください。
両方が+0.5ポイントなら差は0.5ポイントのままです。新ローンだけがさらに0.4ポイント強く上がると差は0.1ポイントに縮み、費用回収は残り期間を超えます。新ローンが旧ローンを上回れば、毎月差は逆転します。
提示金利だけでは将来の差を判断できない
広告や見積書の適用金利は、基準金利から優遇幅を引いて決まる商品が一般的です。ただし、基準金利の名称、変更方法、優遇が全期間続くか、返済額へ反映する時期は商品ごとに異なります。
比較表には「現在の適用金利」だけでなく、「基準金利」「優遇幅」「金利見直し月」「返済額改定月」「5年ルールの有無」を並べます。差が縮む可能性をゼロか百かで予測するのではなく、0.1ポイントずつ縮めた上の表で耐性を見る方が実務的です。
どこまで縮んだら借り換えを見送るか
本ページの条件では、0.5ポイント差なら明確に総額が減りますが、0.2ポイント差では諸費用を完済までに回収できません。したがって、現在の差だけでなく「0.2ポイントまで縮んでも回収できるか」のように安全余裕を置きます。
境界は残債と残り期間で動きます。残債が小さい、または残り期間が短いほど、同じ金利差から得られる総額が小さくなります。自分の境界は借り換えに必要な金利差と合わせて確認してください。
金利差が縮んでも、すぐ損とは限らない
差が縮むまでの期間に毎月の節約を積み上げていれば、その分は残ります。また、新ローンの方が団信や手数料、返済方法で有利な場合もあり、金利差だけで契約全体の価値は決まりません。
一方、金利差が小さく総額差も小さい場合は、諸費用の見積もり誤差や途中売却で結論が変わります。回収まで住み続ける見込みがあるかも確認します。
契約前に確認する順番
- 新旧ローンの適用金利と基準金利を並べる
- 優遇幅が全期間固定か、条件で変わるかを確認する
- 見直し月と返済額への反映月を確認する
- 金利差を0.1ポイントずつ縮めて回収月数を計算する
- 保守ケースでも居住予定期間内に回収できるかを見る
この順番なら「今の金利が低い」という一点ではなく、条件が少し悪化しても判断が崩れないかを確認できます。
借り換え後の金利差についてよくある質問
両方とも変動なら金利差はずっと同じですか
同じとは限りません。基準金利、優遇幅、見直し日が商品ごとに違うためです。同じ幅で動くケースと、差が縮むケースを分けて試算してください。
差が0.2%でも借り換える意味はありますか
残債、残り期間、諸費用によります。本ページの条件では総額メリットは残りますが回収は長期化します。残り期間が短ければマイナスになることがあります。
将来の金利差はどう予測すればよいですか
一点予測ではなく、0.5、0.3、0.2、0.1ポイントの複数ケースで見ます。予測を当てるより、どこまで縮んだら判断が逆転するかを先に把握します。
まとめ
- 借り換えの利益を決めるのは金利水準だけでなく新旧の金利差
- 差が0.5%から0.2%へ縮むと回収は139ヶ月から343ヶ月へ延びる
- 同じ幅で上がる試算と、借り換え後だけ強く上がる試算を分ける
- 基準金利、優遇幅、見直し日を契約前に並べる