返済額を決めて期間を解く
借り換えの試算は普通、期間を決めて返済額がいくらになるかを見ます。この記事は逆で、返済額を今と同じに固定して、期間が何ヶ月まで縮むかを逆算しています。
毎月の負担を変えずに完済を早めたい場合の計算です。期間を先に決める形は借り換えで返済期間を短くするとで扱っています。
計算は現在の金利1%から借り換える場合で、事務手数料は定率2.2%として諸費用を積み上げました。
残債・金利差別の短縮月数と利息の減り
返済額を据え置いたまま完済できる最短の期間を、1ヶ月ずつ詰めて求めた結果です。
| 残債・残り期間 | 据え置く返済額 | 金利差 | 借換後の期間 | 短縮 | 利息の減り | 諸費用を引いた実質 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 15,000,000円 残り20年 | 68,984円 | 0.3% | 19.4年 | 7ヶ月 | 509,349円 | 651円の損 |
| 0.5% | 19.0年 | 12ヶ月 | 829,272円 | 319,272円の得 | ||
| 0.8% | 18.5年 | 18ヶ月 | 1,275,718円 | 765,718円の得 | ||
| 20,000,000円 残り25年 | 75,374円 | 0.3% | 24.1年 | 11ヶ月 | 873,345円 | 233,345円の得 |
| 0.5% | 23.5年 | 18ヶ月 | 1,410,160円 | 770,160円の得 | ||
| 0.8% | 22.7年 | 28ヶ月 | 2,153,892円 | 1,513,892円の得 | ||
| 25,000,000円 残り25年 | 94,218円 | 0.3% | 24.1年 | 11ヶ月 | 1,091,675円 | 321,675円の得 |
| 0.5% | 23.5年 | 18ヶ月 | 1,762,726円 | 992,726円の得 | ||
| 0.8% | 22.7年 | 28ヶ月 | 2,692,398円 | 1,922,398円の得 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。据え置く返済額は現在の金利1%・元利均等で計算した額で、借換後はその額以下で完済できる最短の月数を1ヶ月単位で探しました。諸費用は事務手数料(定率2.2%)・抵当権設定の登録免許税・司法書士報酬・抵当権抹消費用・印紙税の積み上げです。保証料とその戻りは含めていません。
残債2,000万円・残り25年で金利差0.5%なら、期間は25年から23.5年へ18ヶ月短くなりました。1年半ほどです。
金利差0.8%でも短縮は28ヶ月でした。どの条件でも最大28ヶ月で、年単位で大きく縮むという結果にはなりませんでした。
なぜ短縮が小さいのか
短縮の幅は、浮いた利息で何ヶ月分の返済額を賄えるかで決まります。低い金利同士の借り換えでは、毎月の返済額のうち利息の割合が小さいため、浮く金額も相対的に小さくなります。
残債2,000万円・残り25年・金利1%の総利息は2,612,189円です。これは総支払額の一部にすぎません。金利差0.5%で減る利息1,410,160円を据え置いた返済額75,374円で割ると、ほぼ18ヶ月分にあたります。
金利が高い時代の借り換えでは利息の割合が大きいので、同じ金利差でも短縮の幅は大きくなります。いまの水準では利息そのものが小さいため、期間より総額に効くという形になります。利息の割合は利息は総返済額の何割かで確認できます。
残り期間が長いほど短縮は大きい
残債2,000万円・金利差0.5%で、残り期間だけを変えた結果です。
| 残り期間 | 据え置く返済額 | 借換前の総利息 | 利息の減り | 短縮 |
|---|---|---|---|---|
| 30年 | 64,327円 | 3,157,879円 | 1,729,947円 | 26ヶ月 |
| 25年 | 75,374円 | 2,612,189円 | 1,410,160円 | 18ヶ月 |
| 20年 | 91,978円 | 2,074,815円 | 1,105,727円 | 12ヶ月 |
| 15年 | 119,698円 | 1,545,718円 | 807,877円 | 6ヶ月 |
| 10年 | 175,208円 | 1,024,926円 | 529,359円 | 3ヶ月 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債2,000万円・金利1%から0.5%へ借り換え、返済額を据え置いたまま完済できる最短の月数を1ヶ月単位で探しました。諸費用は含まない利息だけの比較です。
残り30年では26ヶ月、残り10年では3ヶ月でした。残りが長いほど総利息が大きく、浮く金額も大きくなるためです。
ただし短縮の月数を据え置く返済額で割ると、どの行でもおおむね利息の減りに見合う水準にとどまります。残り期間を延ばしても、短縮が年単位で大きく増えるという形にはなりませんでした。
短縮が小さくても実質は得
期間の短縮は小さいものの、利息の減りは残債に比例して大きくなります。残債2,500万円・金利差0.8%では利息が2,692,398円減り、諸費用770,000円を引いても1,922,398円の得でした。
一方で残債1,500万円・残り20年・金利差0.3%は実質651円の損で、ほぼ損益の分かれ目にあります。残債が小さく金利差も小さい場合は、諸費用に利息の減りが追いつきません。
残債別の境界は借り換えは残債いくらからか、回収年数の考え方は借り換えの諸費用は何年で回収できるかで扱っています。
返済額を下げる形と比べる
同じ借り換えで、返済額を下げて期間をそのままにする選択もあります。どちらを選んでも借り換え自体の損得は同じで、浮いた分を毎月受け取るか期間の短縮で受け取るかの違いです。
- 返済額を下げる:毎月が軽くなる。完済時期は変わらない
- 返済額を据え置く:毎月は変わらない。完済が18ヶ月早まり、利息が1,410,160円減る
完済年齢を前に出したい場合は据え置く形が合います。定年との関係は完済年齢と定年後の残債、65歳完済に必要な上乗せは65歳完済に必要な毎月の上乗せで計算しています。
繰上げ返済と組み合わせる場合
返済額を据え置く借り換えは、毎月の繰上げ返済を自動化したような形になります。すでに毎月上乗せして返している人は、借り換えでその上乗せ分を金利の低下で置き換えられます。
毎月の上乗せの効果は毎月1万円多く返済すると何年短縮か、借り換えと繰上げ返済の比較は借り換えと繰上げ返済、同じ資金ならどっちで扱っています。
控除が残っている場合の注意
返済期間を短くすると、借り換え後の期間が10年未満になる場合は住宅ローン控除の対象外になります。この算出では短縮が最大28ヶ月なので、残り期間が11年以上あれば10年を下回る心配はありません。
期間が短くなると年末残高も小さくなるので、控除額は減ります。条件は借り換えで住宅ローン控除は減るのか、残存年数との関係は借り換えは控除が終わるまで待つかで扱っています。
自分の短縮月数を確かめる手順
- 返済予定表で残債・毎月返済額・残り期間・適用金利を確かめる
- 借り換え候補の金利を確認する
- 金融機関に「返済額を今と同じにした場合の期間」を試算してもらう
- ツールで利息の減りを出し、諸費用を引いた実質を確かめる
- 短縮月数と実質の得を見て、返済額を下げる形と比べる
返済額を据え置く借り換えについてよくある質問
返済額が同じなら期間は大きく縮みますか
この算出では縮みませんでした。どの条件でも短縮は最大28ヶ月で、金利差0.5%では18ヶ月でした。いまの金利水準では利息の割合が小さいため、浮く金額も小さくなります。
短縮が小さいなら借り換える意味はないですか
期間ではなく総額に効きます。残債2,000万円・金利差0.5%で利息が1,410,160円減り、諸費用を引いても770,160円の得でした。ただし残債が小さく金利差も小さい場合は分かれ目に近づきます。
返済額をぴったり同じにできますか
月数は1ヶ月単位でしか選べないので、据え置いた額よりわずかに低い返済額になります。この算出でも、残債2,000万円・金利差0.5%の借換後の返済額は75,184円で、据え置く額75,374円より190円低い値でした。
まとめ
- 残債2,000万円・残り25年・金利差0.5%で、短縮は18ヶ月
- どの条件でも短縮は最大28ヶ月。期間の大幅な短縮は期待しにくい
- 利息は1,410,160円減り、諸費用を引いて770,160円の得
- 効くのは期間より総額。毎月を下げる形と損得は同じ