半年ごとに動くのは金利、5年ごとに動くのが返済額
変動金利型では、適用金利の見直しと返済額の改定が別の周期で動きます。住宅金融支援機構【フラット35】は 変動金利型について「半年ごとに借入金利の見直しが行われます」「毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われ、 見直し後の返済額は、変更前の返済額の1.25倍が限度とされているケースが一般的です」と説明しています (住宅金融支援機構【フラット35】「金利タイプについて」)。 全国銀行協会も、変動金利住宅ローンの金利は「通常半年ごとに見直されます」、元利均等返済の返済額の見直しは「通常5年毎」としています (全国銀行協会)。
この2つの周期を回数で数えると、差がはっきりします。残債3,000万円・残り35年・現在金利0.6%・元利均等で、 金利が10年かけて+1.5%まで上がる仮定を置いた場合の内訳です。
| 数えるもの | 回数・期間 |
|---|---|
| 返済回数 | 420回 |
| 金利見直しの機会(6ヶ月ごと) | 70回 |
| 返済額の改定の機会(5年ごと) | 6回 |
| 1回の改定までに挟まる見直し | 10回 |
| この仮定で適用金利が動いた回数 | 20回 |
| 返済額が1,000円以上動いた回数 | 2回 |
| 上昇が返済額に反映されるまでの最長 | 4年6ヶ月(54ヶ月) |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利の見直しを6ヶ月ごと、返済額の改定を5年ごととして数えています。
金利が20回動いても、返済額が動いた改定は2回でした。 通知が来ないのは計算が止まっているからではなく、改定の順番が来ていないためです。
改定ごとに、いつの金利が反映されるのか
改定の機会6回を時系列に並べ、その直前5年間に金利が何回動いたか、最初の上昇から改定までどれだけ離れていたかを出しました。 返済開始を2026年10月として計算しています。
| 改定が効く月 | 直前の適用金利 | 改定後の適用金利 | 返済額(改定前→改定後) | 直前5年の金利変更 | 最初の上昇から改定まで | 金利横ばいとの利息差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2031年9月 | 1.275% | 1.35% | 79,208円 → 89,790円 | 10回 | 4年6ヶ月 | 47万円 |
| 2036年9月 | 2.025% | 2.1% | 89,790円 → 99,795円 | 10回 | 4年6ヶ月 | 137万円 |
| 2041年9月 | 2.1% | 2.1% | 99,795円 → 99,796円 | 0回 | — | 166万円 |
| 2046年9月 | 2.1% | 2.1% | 99,796円 → 99,796円 | 0回 | — | 137万円 |
| 2051年9月 | 2.1% | 2.1% | 99,796円 → 99,795円 | 0回 | — | 104万円 |
| 2056年9月 | 2.1% | 2.1% | 99,795円 → 99,795円 | 0回 | — | 67万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。「金利横ばいとの利息差」は、同じ残債・期間で金利が0.6%のまま続いた場合との、その5年間の利息の差です。1円単位の差は再計算時の端数処理によるものです。
1回目の改定は2031年9月です。その直前の適用金利は1.275%まで上がっていましたが、 返済額は79,208円のままでした。改定で89,790円になり、差は10,582円です。 最初の上昇が起きたのは改定の4年6ヶ月前で、その間も半年ごとの見直しは10回進んでいました。
3回目以降は「直前5年の金利変更」が0回です。この仮定では金利が10年で上がり切るため、 それ以降は改定の機会が来ても返済額がほぼ動きません。一方で「金利横ばいとの利息差」は0になりません。 これは据え置きの遅れが続いているからではなく、金利の水準そのものが高いままだからです。 遅れによる差と、水準による差は分けて読む必要があります。
返済額が変わらない5年間に起きていること
1回目の改定が来るまでの約5年間、返済額は79,208円で一定でした。 それでも適用金利は0.6%から1.275%まで上がっています。 返済額が同じで金利が上がれば、増えた分は内訳の利息側に回ります。
この5年間で減った元金は、金利が上がる仮定では337万円、金利が横ばいなら384万円でした。 差は47万円で、同じ期間の利息の増加47万円とほぼ同額です。 返済額が変わらない間に、元金の減りが遅れる形で影響が出ていたことになります。 仕組みの詳細は5年ルールで実際に起きていることで扱っています。
なお、この仮定では未払利息は発生していません(0円)。 開始時点の残債と返済額では、利息が返済額を超えるのは3.17%を上回ったときという算出結果で、 この仮定の上限2.1%はそこまで届いていません。発生時期の目安は 未払利息はいつ発生していくらかで計算しています。
残債別|据え置きの5年で変わる金額
見直しと改定の回数は残債に関係なく同じですが、金額は残債に比例して動きます。 同じ仮定で残債だけを変え、1回目の改定額と、改定が来るまでの5年間の違いを出しました。
| 残債 | 当初の毎月返済 | 1回目改定後 | 増加額 | 5年間の利息増 | 5年で減った元金(上昇あり/横ばい) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 52,805円 | 59,860円 | 7,055円 | 31万円 | 225万円/256万円 |
| 3,000万円 | 79,208円 | 89,790円 | 10,582円 | 47万円 | 337万円/384万円 |
| 4,000万円 | 105,611円 | 119,720円 | 14,109円 | 63万円 | 450万円/513万円 |
| 5,000万円 | 132,014円 | 149,651円 | 17,637円 | 79万円 | 562万円/641万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。残り35年・元利均等・ボーナス返済なしで、金利が10年かけて+1.5%まで上がる仮定を置いています。
残債が大きいほど、改定前の据え置き期間に積み上がる差も大きくなります。 残債4,000万円なら5年間の利息増は63万円、 1回目の改定での増加額は14,109円という結果でした。 返済中の方は、当初借入額ではなく返済予定表の現在残債と残り期間で計算し直してください。
どの数字を見て判断するか
見直し回数と改定回数の差は、判断の材料としては3つに分けて見られます。 1つ目は次の改定の時期です。改定の起点が分かれば、残り何ヶ月で返済額が動くかが決まります。 2つ目はそのときの改定額です。今の適用金利が続く前提でいくらになるかを先に出しておくと、 通知が来てから家計を組み替える必要がなくなります。
3つ目は据え置き期間に遅れた元金の減りです。返済額が動いていない時期でも、 残債の減り方は金利の影響を受けています。上の試算では、改定前の5年で元金の減りが47万円遅れていました。 この遅れは、繰上げ返済や固定への変更を検討する時期の判断に関わります。
反対に、改定が遠い場合は時間の余裕があるという読み方もできます。 次の改定まで何年あるかによって、資金を貯めてから繰上げ返済に回すか、先に条件変更を検討するかで優先順位が変わります。 どちらが合うかは残債、残り期間、手元資金、収入の見通しで変わるため、同じ条件で並べて比べるのが前提になります。
自分の改定時期を確認する手順
最初に、金融機関から届く返済予定表で現在の残債、残り回数、適用金利、毎月返済額を確認します。 読み方は返済予定表の見方にまとめています。 次に、改定の起点になる日付を探します。借入日や契約書に記載された見直し基準日が起点になるため、 不明な場合は金融機関に確認するのが確実です。
続いて、半年ごとの金利見直しの通知を確認します。金利が動いていれば通知が届く扱いの金融機関もあり、 その内容の読み方は金利変更のお知らせが届いたらで扱っています。 通知の金利と返済予定表の金利がずれている場合、改定待ちの状態である可能性があります。
最後に、今の適用金利が続いた場合と、さらに上がった場合の2通りで次回改定額を計算します。 耐えられる上限を知りたい場合は金利は何%まで耐えられるかも合わせて確認できます。
見直しが多くて改定が少ないのは不利なのか
改定が少ないことは、短期的には返済額が動きにくいという意味になります。 金利が上がる局面では、返済額の増加が後ろにずれます。一方で下がる局面でも同じ仕組みが働くため、 返済額の減少も改定まで待つことになります。方向によって有利・不利が入れ替わる仕組みです。
また、この仕組みは返済方法とルールの有無で変わります。三菱UFJ銀行は、5年ルール・125%ルールについて 「変動金利かつ元利均等返済で借入の場合」のルールとし、元金均等返済では5年ルール・125%ルールはないと説明しています (三菱UFJ銀行「返済方法について」)。 ルールがない契約では、半年ごとの見直しが返済額にそのまま反映される扱いになります。 取り扱いは金融機関により異なるため、契約先の商品説明書で確認してください。
同じ金利の動きで、ルールがない契約として計算し直すと、総返済額は3,993万円でした。 据え置きがある上の試算は4,010万円で、差は17万円です。 改定回数が少ないことは総額を小さくする仕組みではなく、支払う時期を後ろにずらす仕組みという結果でした。 返済額の推移まで含めた違いは5年ルールがない銀行との違いで計算しています。
比較の軸を変えると、金利が横ばいだった場合との総返済額の差は683万円でした。 こちらは金利の水準そのものによる差で、改定の回数とは別の話です。混ぜて読むと判断を誤りやすい部分です。
見直し回数と改定回数についてよくある質問
金利が上がったのに返済額が変わらないのは手続きの漏れですか
元利均等返済で5年ルールがある契約では、返済額の改定時期が来るまで返済額は据え置かれる扱いが一般的です。 上の試算でも、適用金利が1.275%まで上がった時点で返済額は79,208円のままでした。 ただし契約や金融機関により取り扱いが異なるため、気になる場合は返済予定表と商品説明書で確認してください。
半年ごとの見直しは、通知が来なければ何も起きていないのですか
金利が動かなければ適用金利は変わりません。上の試算では70回の見直し機会のうち、 金利が動いたのは20回という仮定を置いています。 金利が動いた場合は、返済額が据え置かれていても内訳の利息と元金の比率が変わります。
改定の時期は自分でずらせますか
借り換えをすると新しい契約の起点から数え直しになる扱いが一般的で、改定の周期も新しい契約のものになります。 この点は借り換えで改定の起点が動くとで計算しています。 既存契約のまま改定時期だけを変えられるかは金融機関の取り扱い次第のため、個別に確認が必要です。
まとめ
- 35年返済なら金利の見直しは70回、返済額の改定は6回
- 1回の改定の前に見直しが10回挟まり、反映は最長4年6ヶ月遅れる
- 1回目の改定は2031年9月で、79,208円から89,790円になる試算
- 据え置きの5年で元金の減りは47万円遅れ、同額の利息が増えていた