上がってから移る場合と、今すぐ移る場合の差
残債3,000万円・残り30年・変動0.6%の人が、固定1.8%へ借り換える比較です。A「今すぐ移る」、B「3年待って、変動が1%上がったところで移る」、C「変動のまま」の3つを並べました。Bでは固定金利も1%上がって2.8%になる仮定です。
| 選択 | 適用金利 | 移った後の毎月返済 | 諸費用 | 総支出 | Aとの差 |
|---|---|---|---|---|---|
| A 今すぐ固定へ | 1.8% | 107,909円 | 90万円 | 3,975万円 | 基準 |
| B 3年後に固定へ | 3年間は変動、その後2.8% | 121,573円 | 84万円 | 4,351万円 | +376万円 |
| C 変動のまま | 3年で+1%、その後横ばい | 106,339円(5年後の改定) | 0円 | 3,738万円 | −237万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。諸費用は定率2.2%の事務手数料などの既定値で、控除は含めていません。Cは5年ルール・125%ルールありの試算で、3年で+1%に達した後は横ばいの仮定です。
Bが高くなるのは、低い変動の3年間で得た節約より、残り27年の固定金利が1%高くなる影響の方が大きいからです。ただしCが一番安い点も見落とせません。+1%で止まるなら、固定へ移らないことが最も安い選択です。この比較はあくまで「上がった後に移る」という選択の評価です。
固定金利はどれだけ動くかで結論が変わる
結果を左右するのは、変動の上昇に対して固定金利がどれだけ連動するかです。固定金利は市場の長期金利で決まるので、変動と同じ幅で動くとは限りません。連動の度合いを3通りに分けて、Aとの差を計算しました。
| 3年での上昇幅 | 固定が半分動く | 固定が0.75倍動く | 固定が同じ幅で動く | 変動のまま(C) |
|---|---|---|---|---|
| +0% | −123万円 | −123万円 | −123万円 | −696万円 |
| +0.5% | +10万円 | +65万円 | +121万円 | −473万円 |
| +1% | +147万円 | +260万円 | +376万円 | −237万円 |
| +1.5% | +287万円 | +463万円 | +642万円 | +16万円 |
| +2% | +432万円 | +672万円 | +920万円 | +301万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。プラスはA(今すぐ固定)より総支出が多く、マイナスは少ないことを示します。固定の連動幅は比較のための仮定です。
上がらなかった場合は、3年待つ方が123万円安くなります。低い金利で払う期間がある分に加え、残債が減った分だけ諸費用も下がるためです。+0.5%でも固定が半分しか動かなければ差は小さく、+1%以上では待つほど差が開きます。
待つことが不利に変わる上昇幅
表を逆算すると、待つ選択が不利に変わる境目は次のとおりです。
- 固定金利の動きが変動の0.5倍の場合:上昇幅+0.46%から今すぐ移る方が安い
- 固定金利の動きが変動の0.75倍の場合:上昇幅+0.33%から今すぐ移る方が安い
- 固定金利の動きが変動の1倍の場合:上昇幅+0.26%から今すぐ移る方が安い
つまり、固定金利が変動の半分以上連動するなら、1%に満たない上昇で「待たない方がよかった」状態になります。ただし、この判定は「結局は固定へ移る」前提での話です。移らない選択と比べる場合は、下の分岐点を見ます。
そもそも固定へ移るべきかは別の判定
変動のまま続けた場合がAより高くなるのは、この条件で上昇幅+1.47%からです。上昇がそれより小さく止まれば、固定に移ったことが結果として割高になります。固定と変動の差を保険料として見る考え方は変動0.6%と固定1.8%の分岐点、金額の目安は固定金利の安心料にまとめました。
判断を整理すると、問いは2段階です。1つ目は「この上昇幅を自分は避けたいか」、2つ目は「避けたいなら、いつ移るか」です。1つ目がいいえなら、タイミングの比較は不要です。残り期間で分岐点がどう動くかは残り期間別の分岐点で確認できます。
固定金利は変動より先に動くことがある
上の試算では固定金利が変動と同時に動く形で仮定しましたが、固定金利は市場の長期金利に影響され、変動金利の見直しより先に動くことがあります。変動の基準金利の引き上げが発表された時点で、固定金利がすでに上がっていることもあります。
そのため、「基準金利が上がったら移る」という行動の基準は、想定より高い固定金利で移ることにつながる場合があります。基準にするなら、変動の動きではなく、提示された固定金利そのものを見ます。「固定○%までなら移る」と金額で決めておくと、迷いにくくなります。
手間と費用が少ない方法から確認する
他行への借り換えには諸費用がかかる一方、同じ銀行の金利タイプ変更は費用が少なく済む場合があります。提示される固定金利が多少高くても、諸費用の分を差し引くと同じ結果になることがあります。比較は同じ銀行での固定への変更で試算しました。
また、諸費用を入れないこの表では、控除の変化も含めていません。控除が残っている人は、借り換えで年末残高が変わる点と、10年未満にしない点を確かめます。控除の要件は借り換えと住宅ローン控除で確認できます。
待つか移るかを決める手順
- 今の固定金利を実際に提示してもらい、諸費用の実額を確かめる
- ツールで現状維持と比べ、変動のままが不利になる上昇幅を出す
- その上昇幅が家計にとって避けたい水準かを決める
- 避けたいなら、移ってよい固定金利の上限を決め、半年ごとに提示金利と比べる
固定へ移るタイミングについてよくある質問
「上がってから動く」は損と決まっていますか
決まっていません。今回の試算でも上がらなければ待つ方が安く、固定の動きが小さければ差も小さくなります。不利になるのは、固定金利が一緒に上がり、結局移ることになった場合です。
5年ルールがあるなら、上がっても焦らなくてよいですか
返済額の変化が遅れるだけで、利息の増加はその間も続きます。動く時期を返済額の変化で決めると、判断が遅れやすくなります。
どこまで上がったら固定に移るのが正解ですか
将来の金利は誰にも分からず、正解を事前に言うことはできません。家計が耐えられる返済額と、許容できる総支出を基準に、自分の線を決めておく形が現実的です。
まとめ
- 変動と固定が1%ずつ上がってから移ると、今すぐ移るより376万円多い
- 上がらなければ、3年待つ方が123万円安い
- 変動のままが固定より高くなるのは上昇幅+1.47%から
- 動く基準は変動の動きではなく、提示された固定金利で決める