他行が有利になるために必要な金利差

結論から言うと、残債3,000万円・残り30年なら、他行の固定金利は同じ銀行より0.17%以上低い必要があります。同じ銀行の変更は手数料だけで済むことがある一方で、他行への借り換えは事務手数料や抵当権の費用がかかるためです。

残債残り期間他行の諸費用(定率)並ぶ他行の金利(定率)他行の諸費用(定額)並ぶ他行の金利(定額)
3,000万円30年90万円1.73%30万円1.85%
3,000万円25年90万円1.69%30万円1.83%
2,000万円25年64万円1.68%26万円1.81%
2,000万円20年64万円1.62%26万円1.79%
1,000万円15年38万円1.44%22万円1.64%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。同じ銀行の固定1.9%・変更手数料5,500円との総支出が並ぶ他行の金利です。全期間固定として元利均等で計算し、控除の変化は含めていません。定額型は保証料などが別にかかるのが一般的で、その分は含めていません。

残債1,000万円・残り15年では、必要な金利差が大きく広がります。諸費用を返す期間と残高がどちらも小さくなるためです。この傾向は残債いくらから借り換えが見合うかと同じ理屈です。

提示された金利で直接比べる

実際の検討では、他行の金利を提示されてから比べることになります。次の表は、同じ銀行の固定1.9%に対し、他行の定率型で固定1.7%と1.5%を提示された場合の総支出の差です。マイナスは他行の方が安いことを示します。

残債残り期間同行の総支出他行1.7%との差他行1.5%との差
3,000万円30年3,939万円−16.8万円−121.4万円
3,000万円25年3,772万円+3.0万円−82.1万円
2,000万円25年2,515万円+5.8万円−51.0万円
2,000万円20年2,406万円+18.5万円−25.9万円
1,000万円15年1,151万円+21.0万円+4.7万円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。他行の諸費用は定率2.2%の事務手数料などの既定値です。同行の変更手数料は5,500円の仮定です。

0.2%の差では、残り25年以下で他行の方が高くなりました。0.4%の差があれば、残債1,000万円の短い条件を除いて他行の方が安くなりました。金利だけを見ると他行に動きたくなりますが、残りの短い人ほど費用の差が効きます。

同じ銀行の変更手数料はいくらか

手数料は銀行によって異なります。ソニー銀行は、現在の金利タイプが変動の場合、いつでも手数料無料で固定金利へ変更でき、手続きの翌日から適用されると案内しています(ソニー銀行の金利タイプ変更の案内、2026年10月31日に確認)。他の銀行では所定の手数料がかかる場合があるので、取引銀行の手数料一覧を確かめます。

手数料の金額そのものは総支出にほとんど影響しません。この記事の仮定で手数料が16,500円でも、0円の場合との差は16,500円です。金利の差の方がはるかに大きく、比べるべき数字は手数料より提示金利です。

同行の金利タイプ変更で気をつける条件

費用が少ない反面、確かめておく条件があります。1つ目は、変更後に変動へ戻せるかどうかです。銀行によっては固定期間中の変更ができなかったり、手数料がかかったりするので、期間と条件を確かめます。2つ目は、提示される固定金利の水準です。今の銀行の固定金利が他行より高い場合、手間の差と金利の差を比べることになります。

3つ目は引き下げ幅です。契約時の優遇がそのまま固定にも適用されるとは限らず、当初の優遇を前提に試算すると実際の提示とずれることがあります。変更時の適用金利は申込前に確かめます。

他行へ移る場合だけ増える確認事項

他行への借り換えは新しい借入になるので、審査があり、団信にも入り直します。健康状態によっては同じ条件の団信に入れない場合もあります。また借り換え後の期間が10年未満だと控除の対象外になり、諸費用を上乗せした分も対象外です(要件は借り換えと住宅ローン控除)。

同行の変更で済めば、これらの論点は基本的に発生しません。ただし「金利が低い方」だけで選ぶと、これらを見落としやすくなります。金額の差が小さいなら、手間と確実性を重視する判断も成り立ちます。

どちらを選ぶかの判断基準

他行の金利差が表の「並ぶ金利」より十分に大きいなら、他行を比較する価値があります。差が小さいか、残りが短いか、健康状態に不安があるなら、同じ銀行の変更を優先する理由があります。

同行の金利が高いと感じる場合は、他行の提示を材料に交渉する余地もあります。同じ銀行で引き下げを交渉する場合の比較のとおり、小さな引き下げでも他行へ移るのと同じ結果になることがあります。そもそも固定へ移るべきかは、残り期間別の分岐点で確かめてから決めます。

比較を進める手順

  1. 取引銀行に、現在提示できる固定金利と変更手数料、変更後の条件を確認する
  2. 他行の固定金利と諸費用の見積もりを取り、定率型か定額型かも確認する
  3. 表で並ぶ金利を確かめ、ツールで残債と残り期間を入れて比較する
  4. 控除の残存がある人は、期間と諸費用の扱いを確かめる

同じ銀行での固定への変更についてよくある質問

金利タイプの変更は借り換えになりますか

同じ契約の中での金利タイプの変更で、一般的には新しい借入ではありません。そのため他行への借り換えのような抵当権の設定は通常かかりません。ただし扱いは銀行により異なるので、確認が必要です。

いつ変更するのが有利ですか

提示される固定金利の水準次第です。銀行により変更できる時期も異なります。上がる前と後の比較は固定へ移るタイミングで試算しています。

変更すると5年ルールはどうなりますか

全期間固定なら返済額は変わらなくなります。固定期間選択型の場合は、期間が終わると金利と返済額が見直されます。詳しくは固定期間が明けた後の扱いを確認してください。

まとめ

  • 残債3,000万円・残り30年なら、他行は同行より0.17%以上低くないと総支出が高くなる
  • 残りが短く残債が小さいほど、必要な金利差は大きくなる
  • 変更手数料の差より、提示金利の差の方が効く
  • 審査、団信、控除の確認事項が増えない点も同行の変更の特徴