同じ資金で比べると境目は金利差0.28%
結論から言うと、残債3,000万円・残り25年・金利0.9%の場合、諸費用90万円を繰上げ返済に回した方が有利になるのは、提示された金利差が0.28%未満のときです。0.28%以上なら借り換えの方が総支出を減らします。
| 金利差 | 借り換えの純効果(金利横ばい) | 借り換えの純効果(+1%) | 繰上げ返済の純効果(金利横ばい) | 繰上げ返済の純効果(+1%) |
|---|---|---|---|---|
| 0.1% | −49.7万円 | −46.1万円 | +22.3万円 | +48.8万円 |
| 0.2% | −9.8万円 | −2.6万円 | +22.3万円 | +48.8万円 |
| 0.3% | +29.9万円 | +40.7万円 | +22.3万円 | +48.8万円 |
| 0.5% | +108.3万円 | +126.2万円 | +22.3万円 | +48.8万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。純効果は、そのままの総支出から使う総額を引いた差で、諸費用または繰上げ額を費用に含めています。繰上げは期間短縮型、+1%は3年で段階的に上がる仮定です。
この例では、繰上げ額90万円で完済が10ヶ月早まります。金利差0.2%の借り換えは総支出が増え、繰上げの方が有利でした。金利差0.5%の借り換えは大きく有利になります。
諸費用と繰上げ資金の性質の違い
諸費用は金融機関や登記に払って戻らないお金です。一方、繰上げ返済は借金そのものを減らします。ただしどちらも、一度払うと手元の資金には戻りません。使い道を比べる前に、手元に残す額を決めます。
借り換えの効果は金利差が続く限り毎月積み上がります。繰上げの効果は元金が減ったことで生じ、金利が上がるほど大きくなります。+1%の仮定で繰上げの効果が48.8万円に増えるのはこのためです。繰上げの利回りの見方は繰上げ返済と運用の比較で計算しています。
残債と残り期間で境目はどう動くか
次の表は、残債と残り期間を変えた場合の境目です。諸費用の額は残債で変わるので、繰上げに回す額も変わります。
| 残債 | 残り期間 | 同じ資金(諸費用) | 繰上げの純効果 | 短縮期間 | 境目(金利横ばい) | 境目(+1%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 25年 | 90万円 | 22.3万円 | 10ヶ月 | 0.28% | 0.32% |
| 3,000万円 | 20年 | 90万円 | 16.7万円 | 7ヶ月 | 0.34% | 0.37% |
| 2,000万円 | 25年 | 64万円 | 15.4万円 | 10ヶ月 | 0.3% | 0.34% |
| 2,000万円 | 20年 | 64万円 | 12.2万円 | 8ヶ月 | 0.36% | 0.4% |
| 4,000万円 | 30年 | 116万円 | 34.1万円 | 11ヶ月 | 0.23% | 0.27% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。現在の金利0.9%で、事務手数料は定率2.2%の既定値です。境目は借り換えの純効果が同額の繰上げ返済と並ぶ金利差です。
残りが短いほど、借り換えが追いつくのに必要な金利差は大きくなります。金利が上がる仮定で境目が上がるのは、繰上げの効果が上昇の影響で大きくなるからです。金利差だけでの判定は金利差の分かれ目も参照してください。
毎月の返済を下げたいなら結論が変わる
総支出が同じ程度でも、毎月の返済に与える影響は違います。借り換えは金利差の分だけ毎月が下がりますが、期間短縮型の繰上げは毎月が変わりません。今の家計の負担を下げたい人にとっては、総支出だけで判断すると目的に合わないことがあります。
繰上げでも返済額軽減型なら毎月を下げられますが、減らせる総額は小さくなります。方式の違いは返済額軽減型で毎月いくら下がるかと期間短縮型との比較で確認できます。
控除が残っている人が見る差
どちらも年末残高を変えるので、控除に影響します。繰上げ返済は残高が直接減るため、残る控除期間の控除額も減ります。借り換えの影響は、元金の減りがわずかに変わる程度で通常は小さく、諸費用を上乗せしない限りは按分も発生しません。ただし借り換え後の期間が10年未満だと対象外です。
控除込みの判定は、繰上げについては控除の減少を差し引いた実質効果、借り換えについては諸費用の上乗せと控除で計算しています。この比較では控除を入れていないので、控除が長く残る人は別に確かめます。
手間と審査の違いも判断材料になる
借り換えは審査があり、書類の準備や登記の手続きが必要で、団信にも入り直します。健康状態によっては同じ条件で入れない場合があります。繰上げ返済はオンラインで手続きできる銀行もあり、手数料も銀行によって異なります。
金額の差が小さいなら、確実にできる繰上げを選ぶ理由があります。ただし、手元資金を減らすと急な支出に対応しにくくなります。生活防衛資金の目安を残したうえで判断します。
どちらを選ぶかの判断手順
- 借り換え先の金利と諸費用の実額で、純効果を計算する
- 同じ額を繰上げに回した場合の効果を計算する
- 生活防衛資金を残しても、その額を出せるかを確かめる
- 毎月を下げる必要があるか、控除の残りはどうかで結論を調整する
手元資金をどちらにも使わず同じ銀行で金利の引き下げを相談する方法もあります。費用が少なく、最初に確かめる価値があります。
借り換えと繰上げ返済についてよくある質問
諸費用を借入に上乗せすれば、手元資金を使わず両方できますか
借り換え自体は上乗せでできますが、上乗せした分にも利息がかかり、控除の対象外です。手元資金の負担は減っても総支出は増えます。繰上げと同時にするのは効果を打ち消す面があります。
先に借り換え、後で繰上げの順にすると効果は増えますか
金利が下がった後の繰上げなので、繰上げの効果自体は小さくなりますが、借り換えの効果と合わせて計算できます。残高が減ると定率の事務手数料も減るので、同時に行う場合は借り換え時に借入額を減らす場合も参考になります。
どちらもせず現金で持つのはどうですか
その資金の使い道がある、または金利が低いうちは手元資金を重視する判断も合理的です。比較は預金金利と繰上げ返済で試算しています。
まとめ
- 残債3,000万円・残り25年なら、金利差0.28%が同額の繰上げと並ぶ境目
- 金利が1%上がる仮定では境目は0.32%に上がる
- 毎月を下げたいなら借り換えの価値が増える
- 諸費用の実額と提示金利で、繰上げと並べて判断する