毎月の支出をそろえて比べた基準ケース
条件は借入3,000万円・35年・元利均等・ボーナス返済なし。全期間固定を2.0%、 変動の当初金利を0.6%と仮定します。どちらの金利水準も予測ではなく、比較のための仮定です。
毎月返済額は固定が99,378円、変動が79,208円で、差は20,170円です。 この差額を毎月の返済に上乗せし続けると、支出は固定と同額になります。金利が0.6%のまま動かない前提で3つを並べます。
| 選択肢 | 毎月の支出 | 完済までの回数 | 総支払額 | 固定との差 |
|---|---|---|---|---|
| 全期間固定2.0% | 99,378円 | 35年 | 4,174万円 | 基準 |
| 変動0.6%・上乗せなし | 79,208円 | 35年 | 3,327万円 | -847万円 |
| 変動0.6%・差額を上乗せ | 99,378円 | 27年4ヶ月 | 3,253万円 | -921万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せ返済は手数料なし、毎月同額を入れ続けた場合として計算しています。
差額を上乗せした場合、完済は2053年4月、回数は27年4ヶ月です。 35年に対して7年8ヶ月早く、総支払額は固定より921万円少なくなります。 ただしこれは金利が動かない前提の数字で、変動を選ぶ側だけが上昇のリスクを負っています。
総支払額が固定に並ぶ上昇幅は+1.98ポイント
次に、当初0.6%から10年かけて段階的に上がるシナリオを当てます。 金利の見直しは半年ごと、返済額の改定は5年ごと(125%ルールあり)です。 上乗せする側は、改定で下がる分も含めて毎月99,378円を入れ続ける前提にしています。
| 上昇幅 | 到達金利 | 上乗せなしの総支払額 | 上乗せありの総支払額 | 上乗せありの完済 | 固定との差 | 最終回に残る額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 上昇なし | 0.60% | 3,327万円 | 3,253万円 | 2053年4月 | -921万円 | — |
| +0.5 | 1.10% | 3,542万円 | 3,422万円 | 2054年9月 | -752万円 | — |
| +1.0 | 1.60% | 3,769万円 | 3,624万円 | 2056年5月 | -550万円 | — |
| +1.5 | 2.10% | 4,010万円 | 3,872万円 | 2058年6月 | -302万円 | — |
| +2.0 | 2.60% | 4,264万円 | 4,185万円 | 2060年12月 | +12万円 | 116,001円 |
| +2.5 | 3.10% | 4,531万円 | 4,581万円 | 2060年12月 | +407万円 | 4,068,808円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。上昇幅は10年かけて到達する前提で、半年ごとに段階的に上げています。
二分探索で求めた分岐点は+1.98ポイント、到達金利2.58%です。 この水準では上乗せ側の総支払額が4,171万円、固定が4,174万円で、差は3万円まで縮みます。
表の「最終回に残る額」は、上乗せ額を据え置いたままでは35年で終わらなくなった分です。 +2.0ポイントで116,001円、+2.5ポイントで4,068,808円が最終回に回ります。 実際には5年ごとの改定で返済額そのものが上がるため、この水準まで来ると「支出を固定と同額にそろえる」という前提自体が崩れます。
分岐点が上昇幅と一致する理由
分岐点の+1.98ポイントは、上乗せ側がちょうど35年で完済する上昇幅とほぼ同じです。 毎月の支出が固定と同額なので、同じ回数払えば総支払額も同じになります。 つまりこの比較では、「35年以内に終わるか」と「総支払額で固定に勝つか」がほぼ同じ条件になります。
上乗せなしで比べた場合の分岐点は+1.83ポイントでした。毎月20,170円を追加で払っても、 分岐点は0.15ポイントしか広がりません。上乗せの効果は、固定に対する耐性を大きく変えるのではなく、 金利が上がらなかったときの完済の早さに出ます。
上乗せできる額ごとの完済と総支払額
差額の全額を毎月回せる人は多くありません。上乗せ額を変えた場合、金利が0.6%のまま動かない前提で結果はこうなります。
| 毎月の上乗せ額 | 毎月の支出 | 完済 | 回数 | 総支払額 | 固定との差 |
|---|---|---|---|---|---|
| なし | 79,208円 | 2060年12月 | 35年 | 3,327万円 | -847万円 |
| 10,000円 | 89,208円 | 2056年9月 | 30年9ヶ月 | 3,285万円 | -888万円 |
| 20,170円(差額の全額) | 99,378円 | 2053年4月 | 27年4ヶ月 | 3,253万円 | -921万円 |
| 30,000円 | 109,208円 | 2050年8月 | 24年8ヶ月 | 3,228万円 | -946万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。上乗せ分は全額が元金に充当され、手数料はかからない前提です。
上乗せ10,000円でも完済は4年3ヶ月早まります。 一方、30,000円まで増やしても総支払額の削減は25万円しか伸びません。 元金が減るほど利息の削減余地も小さくなるため、上乗せ額を倍にしても効果は倍になりません。
固定金利の水準で分岐点はどう動くか
上の計算は固定を2.0%と置いた場合です。提示される固定金利が変われば差額も分岐点も動きます。 変動の当初金利を0.6%としたまま、固定だけを変えて計算します。
| 全期間固定 | 固定の毎月返済 | 変動との差額 | 上乗せ時の完済回数 | 並ぶ上昇幅 | 到達金利 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1.6% | 93,331円 | 14,123円 | 29年3ヶ月 | +1.4ポイント | 2.00% |
| 1.8% | 96,327円 | 17,119円 | 28年3ヶ月 | +1.69ポイント | 2.29% |
| 2.0% | 99,378円 | 20,170円 | 27年4ヶ月 | +1.98ポイント | 2.58% |
| 2.2% | 102,485円 | 23,277円 | 26年5ヶ月 | +2.28ポイント | 2.88% |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。並ぶ上昇幅は、上乗せ側の総支払額が各固定金利の総支払額と一致する水準を二分探索で求めています。
固定が1.6%のときの分岐点は+1.4ポイント(到達金利2.00%)、 2.2%のときは+2.28ポイント(同2.88%)です。 固定が0.6ポイント高くなると、分岐点は0.88ポイント動きます。 提示された固定金利を自分の数字に置き換えてから判断する必要があります。
上乗せを実際に入れる方法と最低額
毎月の差額をそのまま入れるには、返済額の増額扱いにするか、一部繰上返済として入れるかのどちらかになります。 一部繰上返済には最低額が設けられている場合があります。 【フラット35】では、窓口での一部繰上返済は100万円以上、インターネットサービス「住・My Note」では10万円以上で、 どちらも手数料はかからないと案内されています(住宅金融支援機構「繰上返済」)。
つまり20,170円を毎月入れたい場合でも、最低額に届かず数ヶ月分をためてから入れる運用になることがあります。 ためてから入れる場合と毎月入れる場合の差は、毎年10万円か貯めて100万円かで計算しています。 また、同じ資料では、一部繰上返済の結果として返済期間が10年未満になると住宅借入金等特別控除の対象外になる旨も案内されています。 控除期間が残っているうちに期間短縮型を重ねる場合は、返済期間が10年未満にならないかを確認してください。
どちらを選ぶかの判断基準
数字の上では、10年かけて2.58%に届く上昇までなら、上乗せありの変動の総支払額が固定を下回ります。 ただしこれは「上乗せを35年間続けられた場合」の結果です。差額の20,170円を途中でやめると、 残るのは上昇リスクを負った変動のローンだけになります。続けられるかどうかが、この選択の前提条件です。
固定を選ぶ側の利点は、支出が確定することです。固定金利の安心料はいくらかでは、 その確定のために払う金額を別の角度から計算しています。上乗せをやめる可能性がある、 返済額が上がると家計が回らない、金利の変化を毎年確認する手間をかけたくない、という条件が当てはまるなら、 総支払額だけで変動を選ぶ判断は合いません。
逆に、上乗せを自動振替などで固定化でき、金利が上がったときに上乗せをやめて返済額の増加を吸収できる余裕があるなら、 上乗せありの変動は選択肢に入ります。金利は何%まで耐えられるかで、 自分の家計の上限を先に出しておくと判断しやすくなります。
確認手順
最初に、提示されている全期間固定の金利と変動の当初金利、そして両者の毎月返済額の差を確認します。 ここが20,170円より小さければ、上乗せで生まれる差も小さくなります。
次に、その差額を毎月払い続けられるかを家計で確認します。固定を選んだ場合は強制的に払う額なので、 「固定なら払えるが上乗せは続けられない」という状態は、実質的に固定の方が合っているという意味になります。
最後に、金融機関の一部繰上返済の最低額、手数料、申込方法を確認します。 毎月入れられない場合は、ためて入れる間隔に合わせて計算をやり直します。 毎月1万円多く返済すると何年短縮かも合わせて見ると、 続けられる額の範囲で効果を見積もれます。
よくある質問
上乗せ分は返済額軽減型と期間短縮型のどちらで入れるべきですか
この記事の計算は、毎月の支出を固定と同額に保つ前提なので、期間短縮型に近い扱いです。 返済額軽減型で入れると毎月の支出が下がり、支出をそろえた比較にはなりません。 どちらの方式が自分に合うかは、期間短縮型と返済額軽減型どっちで比較しています。
金利が上がったら上乗せをやめてもいいですか
やめれば毎月の支出は下がりますが、元金の減り方も遅くなり、総支払額は表の「上乗せなし」側に近づきます。 5年ルールがある商品では返済額の改定が遅れて来るため、上乗せをやめた影響は数字に出るまで時間差があります。 変動0.6%と固定1.8%の分岐点では、途中で固定に移る場合の分岐点を扱っています。
固定と変動のどちらが有利かは、何%まで上がるかの予測で決まりますか
このサイトでは金利の予測はしません。ここで出しているのは「もしこの水準まで上がったら、どちらの総支払額が少ないか」という条件付きの比較です。 判断に使うのは予測ではなく、上がった場合に家計が耐えられるかどうかです。
まとめ
- 固定2.0%と変動0.6%の毎月返済の差は20,170円
- 差額を上乗せし続けると完済は7年8ヶ月早まり、総支払額は921万円少ない(金利が動かない前提)
- 総支払額が並ぶのは10年で+1.98ポイント上昇、到達金利2.58%
- 上乗せなしの分岐点は+1.83ポイントで、広がるのは0.15ポイントだけ
- 上乗せを続けられるかどうかが前提条件になる