控除13年と10年の総額差を先に出す

控除期間が13年か10年かで変わるのは、最後の3年分を受け取れるかどうかだけです。 そこで、同じローン・同じ年収で期間だけを変えて計算しました。 残高3,000万円・35年・金利0.6%・元利均等、年収600万円、控除率0.7%、 借入限度額3,500万円(2025年入居のZEH水準省エネ住宅)という条件です。

結果は、13年で2,225,789円、10年で1,797,100円。差は428,689円でした。 年ごとの内訳は次の通りです。

年年末残高控除額頭打ちの有無
1年目 2,923万円 204,591円 なし
2年目 2,845万円 199,150円 なし
3年目 2,767万円 193,677円 なし
4年目 2,688万円 188,170円 なし
5年目 2,609万円 182,630円 なし
6年目 2,529万円 177,057円 なし
7年目 2,449万円 171,451円 なし
8年目 2,369万円 165,810円 なし
9年目 2,288万円 160,136円 なし
10年目(10年ここまで) 2,206万円 154,428円 なし
11年目 2,124万円 148,685円 なし
12年目 2,042万円 142,908円 なし
13年目(13年ここまで) 1,959万円 137,096円 なし

このサイトの計算エンジンによる算出値です。年末残高は1月入居・1月返済開始として12回返済後の残高を使い、控除額は年末残高×控除率を所得税額と住民税からの控除上限で頭打ちにして求めています。

表のとおり、控除額は年末残高に連動して毎年減ります。1〜10年目の平均は179,710円ですが、 11〜13年目の平均は142,896円です。残高がいちばん小さい時期の3年分なので、 単価の安い3年が足されるかどうかという差になります。

3年分なのに23.1%にならない理由

13年のうち3年は、期間の比率でいえば23.1%です。ところが金額の差は総額の19.3%でした。 控除額が「年末残高×控除率」で決まるため、残高が減った後半の3年は1年あたりの控除額も小さくなるからです。

この差を「3年分だから約4分の1」と見積もると、13年の区分を多めに評価することになります。 逆に10年の区分を検討している場合、失う金額は期間比で考えるより小さく出ます。 どちらの方向にもずれるため、期間の違いは比率ではなく実額で見た方が判断しやすくなります。

13年と10年はどの区分で分かれるか

控除期間は住宅の区分で決まります。2025年(令和7年)入居の場合、 新築・買取再販の認定住宅等・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅は控除期間13年です。 一方、既存住宅(中古住宅)を取得した場合は、認定住宅等でもその他の住宅でも控除期間10年です。 控除率はいずれも0.7%で、借入金は返済期間10年以上であることが要件とされています。

新築の「その他の住宅」は、令和6年以降の入居では控除の対象外です。 ただし一定の建築確認を受けている場合に、借入限度額2,000万円・控除期間10年の例外が設けられています。 区分の判定は証明書類で行われるため、自分がどの区分に当たるかは 国税庁「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」と 国税庁「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」で確認してください。

住宅区分別|期間と限度額を両方入れた総額

実際には、期間が10年になる区分は借入限度額も低く設定されています。 同じ3,000万円・35年・0.6%・年収600万円で、区分ごとの控除期間と借入限度額を当てはめた総額は次の通りです。

住宅の区分控除期間借入限度額控除総額最上段との差
新築・買取再販(ZEH水準省エネ住宅) 13年 3,500万円 2,225,789円 基準
新築・買取再販(省エネ基準適合住宅) 13年 3,000万円 2,225,789円 0円
中古(認定住宅等) 10年 3,000万円 1,797,100円 -428,689円
中古(その他の住宅) 10年 2,000万円 1,400,000円 -825,789円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。控除期間と借入限度額は data/loan-config.json の2025年入居の区分値を使っています。

上2段は借入限度額が3,500万円と3,000万円で違うのに、総額は同じになりました。 借入3,000万円では年末残高が1年目で2,923万円まで下がり、 どちらの限度額も下回るため、限度額の差が一度も効かないからです。 借入限度額は「残高が限度額を超えている間だけ」効く数字で、超えていなければ区分の差は出ません。 同じ理由で中古(認定住宅等)との差は428,689円、 つまり期間だけを変えた428,689円とまったく同じ幅にとどまります。

いちばん下の中古(その他の住宅)は、期間10年に加えて限度額2,000万円が 10年分すべてで効いており、総額は1,400,000円です。 最上段との差は825,789円で、期間だけを変えた428,689円より大きくなります。 期間の3年と限度額の両方が重なる区分では、差は期間の違いだけでは説明できません。

年収別|納税額で頭打ちになると差はどう動くか

控除額は、所得税額と住民税からの控除上限の合計を超えて受け取れません。 そのため年収が低いほど「計算上の控除額」より受け取れる額が小さくなります。 期間3年分の差がこの天井でどう動くかを、年収別に計算しました。

年収控除の天井(年)13年の総額10年の総額差頭打ちの年数
300万円 112,644円 1,464,372円 1,126,440円 337,932円 13年
400万円 172,263円 2,114,092円 1,685,403円 428,689円 6年
500万円 235,845円 2,225,789円 1,797,100円 428,689円 0年
600万円 302,210円 2,225,789円 1,797,100円 428,689円 0年
800万円 563,586円 2,225,789円 1,797,100円 428,689円 0年

このサイトの計算エンジンによる算出値です。所得税額と住民税の課税所得は年収から概算し、社会保険料は年収の15%として計算しています。扶養や各種控除は含めていません。

ここで結果が直感とずれます。年収400万円では13年のうち6年が納税額で頭打ちになっていますが、 差額は428,689円で、年収600万円以上と同じです。 頭打ちが起きているのは残高が大きい前半の年で、11〜13年目の控除額148,685円前後は 天井を下回っているため、後半3年分は満額で受け取れているからです。

差が縮むのは、11〜13年目まで天井に当たる水準まで納税額が小さい場合だけです。 この条件で1万円刻みに逆算すると、境目は年収365万円でした。 これを下回る年収300万円では差は337,932円まで縮み、 13年の区分を選んでも後半3年を使い切れません。 境目は借入額と残高の減り方で動くので、自分の条件で計算し直す数字です。

借入額別|差が比例しなくなる水準

借入額を変えると、3年分の差も変わります。年収600万円・借入限度額3,500万円のまま比較しました。

借入額13年の総額10年の総額差総額に対する差の割合
2,000万円 1,483,858円 1,198,066円 285,792円 19.3%
3,000万円 2,225,789円 1,797,100円 428,689円 19.3%
4,000万円 2,900,269円 2,328,684円 571,585円 19.7%
5,000万円 3,161,673円 2,450,000円 711,673円 22.5%

このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利0.6%・35年・元利均等、年収600万円、借入限度額3,500万円で、借入額だけを変えています。

借入5,000万円では差が711,673円、総額に対する割合も22.5%に上がります。 年末残高が借入限度額3,500万円を超えている前半の年は控除額が限度額で頭打ちになり、 残高が限度額を下回る後半の年との差が小さくなるためです。 限度額を超える借入では、期間3年分の重みが相対的に大きくなります。

何を見て判断するか

区分を選べる場面、たとえば新築と中古で迷っている場合、控除総額の差は区分の組み合わせで変わります。 この条件では、中古(認定住宅等)なら428,689円、 中古(その他の住宅)なら限度額2,000万円も重なって825,789円でした。 物件価格の差や改修費はこれより大きくなることが多いため、控除だけで物件を選ぶ判断にはなりにくい金額です。 一方で、住宅の区分が同じで価格もほぼ同じなら、期間3年分は無視できません。

次に見るのは自分の納税額です。表の「控除の天井」が11〜13年目の控除額を上回っているなら、 後半3年は満額で受け取れる前提で計算できます。下回っているなら、 期間が13年あっても受け取れる額は増えないため、期間の長さに価値を置きすぎないことになります。

借入額が借入限度額を超えている場合は、限度額で頭打ちになる年数も合わせて確認します。 頭打ちの年が多いほど、控除総額は借入額に比例して増えません。 控除の借入限度額を超えたらで、限度額を超える借入の控除と利息の関係を扱っています。

自分の条件で確かめる手順

最初に、売買契約書や住宅性能の証明書類で住宅の区分を確認します。 新築・買取再販か既存住宅か、認定住宅等・ZEH水準・省エネ基準適合のどれに当たるかで、 控除期間と借入限度額が決まります。区分が確定しないと総額は出ません。

次に、返済予定表から各年の年末残高を拾います。控除の基準になるのは12月31日時点の残高なので、 毎月の返済額ではなく残高欄を見ます。入居月が年の後半だと初年度の年末残高が大きく残り、 初年度の控除額が変わります。 入居が1月か12月かで控除はいくら違うかで月ごとの差を計算しています。

最後に、源泉徴収票で所得税額を確認し、11〜13年目の控除額と比べます。 所得税額と住民税からの控除上限の合計が下回っていれば、その年は頭打ちです。 年収は在職中に変わるため、 年収が下がると控除はいくら減るかも合わせて見ておくと、 後半3年を見込んでよいか判断しやすくなります。

控除13年と10年の違いについてよくある質問

控除期間が3年長いと、控除総額も約3割多くなりますか

この条件では19.3%の差でした。控除額は年末残高×控除率で決まるため、 後半3年は残高が小さく、1年あたりの控除額も小さくなります。 期間の比率23.1%より小さい差になる点に注意してください。

中古住宅でも控除期間が13年になることはありますか

2025年入居の既存住宅は、認定住宅等でもその他の住宅でも控除期間10年として扱われます。 入居年によって期間や限度額の区分は変わるため、自分の入居年の表を 国税庁の該当ページで確認してください。

年収が低いと13年の区分を選ぶ意味はありませんか

意味がなくなるのは、11〜13年目の控除額も納税額の天井に当たる場合だけです。 この条件では年収365万円以上であれば後半3年を満額で受け取れており、 年収400万円でも差は428,689円で高年収と同額でした。 天井に当たるのは残高が大きい前半の年なので、年収が低いことと後半3年を使えないことは別の話です。

まとめ

  • 控除期間13年の総額は2,225,789円、10年は1,797,100円で、差は428,689円
  • 差は総額の19.3%で、期間比の23.1%には届かない
  • 期間と借入限度額が重なる中古(その他の住宅)との差は825,789円まで広がる
  • 年収365万円を下回ると、後半3年も頭打ちになり差そのものが縮む