金利別に実質の効果を比べる
結論から言うと、控除率が高いほど繰上げの実質の効果は小さくなりますが、金利が上がるほど差の意味は薄れます。残債2,500万円・残り25年・年収600万円で、300万円を期間短縮型で入れる場合です。
| 適用金利 | 減る利息 | 1%:減る控除 | 1%:実質の効果 | 0.7%:減る控除 | 0.7%:実質の効果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.6% | 45.1万円 | 24.6万円 | 20.4万円 | 17.3万円 | 27.8万円 |
| 1% | 78.7万円 | 25.1万円 | 53.6万円 | 17.6万円 | 61.2万円 |
| 1.6% | 133.7万円 | 25.8万円 | 108.0万円 | 18.0万円 | 115.7万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。金利が動かない前提で、控除の残り8年、借入限度額は比較のため4,000万円に揃えています。住民税からの控除上限は入居年の制度データに従っています。
どの条件でも実質の効果はプラスです。「控除があるから繰上げは損」とまでは言えません。ただし控除率1%の人の方が差し引きは小さくなります。方式別の効果は控除の減少を差し引いた実質効果で確認できます。
控除の残り年数で差はどう変わるか
適用金利0.6%で、控除の残り年数を変えて比べました。残りが短いほど差は小さくなります。
| 控除の残り | 1%:減る控除 | 1%:実質の効果 | 0.7%:減る控除 | 0.7%:実質の効果 |
|---|---|---|---|---|
| 3年 | 9.1万円 | 36.0万円 | 6.4万円 | 38.7万円 |
| 5年 | 15.3万円 | 29.8万円 | 10.7万円 | 34.4万円 |
| 8年 | 24.6万円 | 20.4万円 | 17.3万円 | 27.8万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。条件は上の表と同じです。実際の控除率は入居した年で決まります。
2021年までの入居の人は、控除の残りが短くなりつつあります。残り年数が少ないほど、控除を理由に繰上げを待つ理由は小さくなります。待つかどうかの比較は控除終了まで繰上げを待つかで計算しています。
控除率と入居年の関係
このサイトの制度データでは、2021年入居までの控除率は1%、2022年入居からの控除率は0.7000000000000001%です。国税庁の案内で確かめられます(No.1211-1、No.1212)。
入居年と住宅の区分で限度額も違います。控除期間も異なります。自分の条件は確定申告の控えや年末調整の書類で確かめます。13年と10年の差は控除13年と10年の比較にあります。
金利が控除率を超えたらどう見るか
適用金利が控除率より低い間は、残高を残すと利息より控除が多い状態です。これがいわゆる逆ざやです。控除率1%の人は、金利が1%に届くまでこの状態が続きます。0.7%の人は0.7%までです。計算は控除と支払利息の比較にあります。
ただしこの比較は控除が残る期間だけの話です。繰上げの効果は完済まで続くので、表のとおり実質はプラスになります。短期の差し引きと完済までの差を分けて読みます。
控除が頭打ちの人の場合
所得税と住民税の合計で控除が頭打ちになっている人は、残高が減っても控除は減りません。年収が低い人、または残高に対して控除の額が大きい人です。控除率1%の人の方が頭打ちになりやすくなります。
頭打ちの人は、繰上げで失う控除がほとんどないので、差は表より小さくなります。条件は年収別の控除額と年収と控除額で確かめます。
金利上昇の局面での判断
金利が上がると、繰上げで減らせる利息の方が大きく増えます。表の1.6%の行では、控除率の差は実質の効果に対して相対的に小さくなります。上昇の仮定で繰上げの時期を比べる場合は繰上げ返済と金利上昇の備えで計算しています。
手元の資金を使う判断なので、生活防衛資金を残した範囲で考えます。預金との比較は預金金利と繰上げ返済にあります。
繰上げの額を変えた場合の読み方
表は300万円の例です。繰上げの額を増やすと、減る利息も減る控除もおおむね比例して増えます。控除率の差による実質の差も比例して広がります。ただし残高が限度額を超えている人や、控除が頭打ちの人は比例しません。
今の年末残高と限度額を確かめ、限度額を超えている分までは繰上げで控除が減らないことを確かめます。残りの控除期間が短い人は、年末を超えてから入れる方法も使えます。差額は12月と1月の比較で計算しています。
自分の条件を確かめる手順
- 入居した年、控除率、控除の残り年数を確かめる
- 控除が頭打ちになっていないかを確かめる
- 適用金利と繰上げ額をツールに入れ、実質の効果を確かめる
- 金利が上がった場合の効果も比べて時期を決める
控除率についてよくある質問
自分の控除率はどこで確かめますか
確定申告の控えや住宅ローン控除の計算書で確かめられます。入居した年と住宅の区分でも判断できます。
控除率1%の人は繰上げを控えるべきですか
控除の残りと金利で変わります。この試算では実質はプラスでした。手元資金の必要性と合わせて判断します。
借り換えると控除率は変わりますか
控除の期間は借換えで延びないとされています。要件は国税庁のNo.1233で確かめられます。個別の扱いは税務署に確認します。
控除が終わった後の繰上げと比べるとどうですか
控除の減少がなくなる分、実質の効果は上がります。一方で繰上げが遅いほど減らせる利息は小さくなります。表の残り年数の行を比べて判断します。
この試算で置いた前提
比較のため、入居年による限度額の違いは4,000万円に揃え、期間短縮型で300万円を年初に入れて、年末残高から控除を計算しました。年収は600万円で固定し、控除期間の間の所得税額は変わらないものとしています。実際には限度額と住宅の区分、年収の変化で金額は動きます。金利は完済まで一定としており、途中で上がる場合は減る利息の方が増えるので、繰上げの実質の効果は表より大きくなります。
まとめ
- 控除の残り8年で300万円入れると、減る控除は1%で24.6万円、0.7%で17.3万円
- どの条件でも実質の効果はプラスだった
- 金利が上がるほど控除率の差の意味は薄れる
- 頭打ちの人は差が小さい