上昇幅別に控除と総支出を比べる
結論から言うと、固定へ変えても控除の差は小さく、判断を動かすほどにはなりません。残債3,000万円・残り30年、控除の残り8年の場合です。
| 3年での上昇幅 | 変動のままの控除 | 固定の控除 | 控除の差 | 変動の実質総支出 | 固定の実質総支出 | 固定 − 変動 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| +0% | 144.6万円 | 148.0万円 | +33,800円 | 3,134万円 | 3,737万円 | +603.1万円 |
| +0.5% | 146.5万円 | 148.0万円 | +15,248円 | 3,355万円 | 3,737万円 | +382.1万円 |
| +1% | 148.3万円 | 148.0万円 | −3,531円 | 3,590万円 | 3,737万円 | +147.5万円 |
| +1.5% | 150.3万円 | 148.0万円 | −22,981円 | 3,840万円 | 3,737万円 | −102.9万円 |
| +2% | 152.7万円 | 148.0万円 | −47,041円 | 4,123万円 | 3,737万円 | −385.9万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。実質総支出は返済総額と変更手数料の合計から控除を引いた額です。控除率0.7%、借入限度額3,000万円で計算しています。
金利が動かない場合は固定の控除が少し多くなります。変動の金利が上がると、変動の方も元金の減りが遅くなるので、差は縮み、+1%以上では変動の方が控除は多くなります。一方、総支出の差は数百万円の単位で動きます。
控除の残り年数を変えても結論は同じ
控除が長く残っているほど差は増えますが、桁は変わりません。金利が動かない場合の結果です。
| 控除の残り | 変動のままの控除 | 固定の控除 | 控除の差 | 総支出の差(固定 − 変動) |
|---|---|---|---|---|
| 3年 | 59.1万円 | 59.8万円 | +6,245円 | +605.8万円 |
| 5年 | 95.3万円 | 96.8万円 | +15,013円 | +604.9万円 |
| 8年 | 144.6万円 | 148.0万円 | +33,800円 | +603.1万円 |
| 13年 | 213.3万円 | 220.8万円 | +75,527円 | +598.9万円 |
このサイトの計算エンジンによる算出値です。残債と金利は上の表と同じ条件です。
控除を増やす目的で金利を上げるのは、控除の増加より利息の増加がはるかに大きいので成り立ちません。控除と利息の関係は控除と金利上昇の比較でも計算しています。
同じ銀行の変更と他行への借り換えの違い
同じ銀行の金利タイプの変更は、一般には新しい借入ではないので、借り換えの按分や10年要件の論点は基本的に発生しません。他行の固定へ借り換える場合は、国税庁のNo.1233 住宅ローン等の借換えをしたときの要件を確かめます(2026年10月31日に確認)。
扱いに不安があれば、金融機関と税務署に確かめます。費用の比較は同じ銀行か他行かの比較、諸費用の上乗せの扱いは諸費用の上乗せと控除にあります。
金利が控除率を超えると逆ざやは消える
固定1.8%は控除率0.7%を上回るので、固定へ変えると残高に対する差し引きの有利さはなくなります。変動0.6%で控除を受けている間の「逆ざや」が、固定へ変えると消える形です。計算は控除と支払利息の比較にあります。
逆ざやがなくなること自体は固定を避ける理由にはなりませんが、控除が残っている間の差額を知っておくと、変更の時期を考える材料になります。控除が終わる年は控除が終わった翌年の負担で確かめます。
控除が頭打ちの人は差がさらに小さい
所得税と住民税の合計で控除が頭打ちになっている人は、残高が増えても控除は増えません。年収が低い人や、借入額が大きい人はこの条件に当たります。限度額を超えている人も同様です。
頭打ちの条件は年収別の控除額、限度額の条件は限度額を超えた場合の控除で確認できます。いずれも控除の差は小さくなる方向です。
変更を決めるのは控除ではなく金利と家計
判断の中心は、提示された固定金利、避けたい上昇幅、毎月の増加を払えるかどうかです。分岐は残り期間別の分岐点で読めます。控除は判断の最後に確かめる数字です。
据え置き中に変更する場合は毎月の増加が大きくなります。金額は改定前に固定へ変更する場合で計算しています。
控除より先に見る金額
この記事の表で控除の差は最大でも数万円です。一方で、固定と変動の毎月の差は1万円を超え、1年で十数万円の差になります。控除の差が判断を動かさないのは、金額の桁がこれだけ違うからです。計算は固定金利の安心料で確認できます。
控除の残りが長くても、残高が限度額を超えている期間は、残高の差が控除に効きません。残債が大きい人ほど差は小さくなります。
確認の手順
- 控除の残り年数と、控除が頭打ちかどうかを確かめる
- 同じ銀行の変更か、他行への借り換えかを確かめる
- ツールに控除の残りを入れ、上昇シナリオごとの実質総支出を比べる
- 税の扱いで不明な点は税務署に確かめる
固定と控除についてよくある質問
固定へ変えると控除が減ることはありますか
金利が動かない場合は、固定の方が元金の減りが遅く年末残高が多いので、控除は増えます。変動の金利が上がると変動の残高も増えるので、差は逆転します。金額はどちらも小さなものです。
変更の年に確定申告が必要ですか
手続きは状況により異なるので、税務署や金融機関に確かめます。年末残高の証明書は金融機関から届く書類を確認します。
控除が終わってから固定にする方が得ですか
控除の差は小さいので、控除を理由に待つ必要はほぼありません。固定金利の水準と上昇の見方で判断します。
年末の残高証明はどう変わりますか
金融機関から届く証明書の金額を使います。金利タイプの変更で残高の動きが変わるので、毎年の書類を確かめます。
この試算で置いた前提
同じ銀行の金利タイプの変更で手数料5,500円、固定は完済まで同じ金利の前提です。控除は年初から計算し、所得税額は年収600万円の概算で固定しています。実際の控除は入居年と住宅の区分で変わります。
まとめ
- 控除の残り8年で固定へ変えると、控除は3.4万円増える
- 金利が動かなければ総支出は603万円増える
- 控除の差は小さく、判断の中心にはならない
- 固定金利、上昇幅、家計で決める