先送りされた差額はどこにあるか

残債3,000万円・残り35年・金利0.6%で、5年かけて+2%上がる場合を計算しました。60ヶ月目の改定で、本来の再計算額は109,616円ですが、125%ルールにより返済額は99,010円で止まります。

毎月10,606円が抑えられる計算で、次の改定までの5年間で636,360円になります。この分は免除されたのではなく、元金の減りが遅れる形で残債に残ります。改定直後の残債は27,351,804円です。

差額が次の改定でどう戻るかは上限で止まった差額は次の改定で戻る、上限そのものの計算は125%ルールの上限はいくらか早見表で扱っています。

借り換えると上限は引き継がれない

125%ルールは法律ではなく契約の内容です。借り換えは前の契約を完済して新しい契約を結ぶことなので、前の契約の返済額も上限も新しい契約には持ち越されません。

このサイトの計算でも、借り換え後の返済額は残債27,351,804円・残り30年・新しい金利から計算します。上限で止まっていた99,010円は基準になりません。

つまり上限は「同じ契約を続けている間だけ効く仕組み」です。借り換えを挟むと、抑えられていた負担がそのまま返済額に出ます。

借り換え後の返済額と総額の算出表

改定直後に借り換えた場合の結果です。残債27,351,804円・残り30年で、事務手数料は定率2.2%として諸費用を積み上げています。

選択借換後の金利毎月返済額完済までの支払(諸費用込み)続けた場合との差
借り換えない2.6%(変動のまま)99,010円(上限)39,760,732円—
借り換える1.8%98,384円36,249,162円3,511,570円少ない
借り換える2.2%103,855円38,218,702円1,542,030円少ない
借り換える2.6%109,500円40,250,955円490,223円多い

このサイトの計算エンジンによる算出値です。改定直後(61ヶ月目)の残債を新しい借入額とし、諸費用は事務手数料(定率2.2%)・抵当権設定の登録免許税・司法書士報酬・抵当権抹消費用・印紙税を積み上げた831,146円です。借り換え後は金利が変わらない前提で、保証料とその戻りは含めていません。

同じ金利2.6%で借り換えると返済額は109,500円で、上限なしの再計算額109,616円にほぼ一致します。上限で止まっていた99,010円より10,490円高くなる計算です。総額も諸費用の分だけ増え、続けた場合より490,223円多くなりました。

金利を1.8%まで下げられた場合は返済額が98,384円になり、上限の99,010円をわずかに下回ります。総額は続けた場合より3,511,570円少なくなりました。

上昇幅ごとの先送り額と借換後の返済額

上昇幅を変えると先送り額が変わります。この条件では+1.5%でもすでに上限に当たるため、改定後の返済額はどの行も99,010円で同じです。上限は直前の返済額の1.25倍なので、上昇幅がいくら大きくても1回の改定ではこれ以上上がりません。変わるのは先送りされる額です。

上昇幅到達金利改定後の返済額上限なしの再計算額毎月の先送り額同じ金利で借換えた場合
+1.5%2.1%99,010円101,351円2,341円101,166円
+2%2.6%99,010円109,616円10,606円109,500円
+2.5%3.1%99,010円118,335円19,325円118,301円
+3%3.6%99,010円127,514円28,504円127,576円

このサイトの計算エンジンによる算出値です。同じ残債3,000万円・残り35年・金利0.6%から、上昇幅だけを変えて5年かけて上げた場合の60ヶ月目の改定を計算しました。「同じ金利で借換えた場合」は改定直後の残債と残り30年から求めた返済額で、諸費用は含みません。

上昇幅が大きいほど先送り額も大きくなります。+1.5%では2,341円ですが、+3.0%では28,504円です。そして借り換えた場合の返済額は、どの行でも上限なしの再計算額に近い水準でした。上限で抑えられていた負担は、借り換えによって前倒しで出る形になります。

同じ金利なら借り換えない方が総額は小さい

この算出では、金利が下がらない借り換えは総額を増やしました。理由は2つあります。諸費用831,146円がかかること、そして上限による先送りが外れて毎月の返済額が上がることです。

先送りは利息を免除する仕組みではないので、長い目で見た総額を小さくする効果はありません。ただし「次の5年の毎月の負担を抑える」という点では効いています。続ける場合の据え置き期間中の返済額は最大112,689円でした。

借り換えが見合わない条件は借り換えない方がいい条件を実額で示す、諸費用の回収年数は借り換えの諸費用は何年で回収できるかで計算しています。

それでも借り換えを検討する場面

上限で止まっている状態は、見かけの返済額が低いだけで、残債の減りが遅れています。次の改定でさらに上がる見込みがあるなら、金利を下げられる借り換えは選択肢になります。

  • いまの金利より低い金利が取れる。上の表では1.8%で総額が3,511,570円少なくなった
  • 全期間固定へ移って、これ以上の上昇と上限の積み上がりを止めたい
  • 残債の減りが遅れていることを、返済期間を延ばさずに解消したい

固定へ移る判断は固定の分岐点は残り期間でどう動くか、上がる前と上がった後のどちらで動くかは固定へ移るのは上がる前か、上がった後かで扱っています。

借り換えで改定の起点も変わる

借り換えると新しい契約になるので、5年ルールの起点も借り換えの時点に移ります。次の返済額改定までの期間が、借り換えた月から数え直される計算です。

起点が動くことの影響は借り換えで改定の起点が動くとで計算しています。5年ルールのない銀行へ移る場合は上限も据え置きもなくなるので、5年ルールなしの銀行へ借り換える損得で別に扱っています。

未払利息が出ている場合は別の話

上限で止まることと、未払利息が出ることは別の条件です。上限は返済額の上がり方の制限で、未払利息は利息が返済額を超えたときに出ます。この算出では未払利息は発生しませんでした(到達金利2.6%が水位に届かなかったため)。

未払利息が出ている状態での繰上げ返済の充当先は未払利息が出た後の繰上げ返済はどこへ、発生する金利の目安は未払利息は何%から出るか早見表で確認できます。

自分の先送り額を確かめる手順

  1. 改定の通知で、新しい返済額と「上限により」などの記載があるか確かめる
  2. 残債・残り期間・改定後の金利から、上限がない場合の再計算額を計算する
  3. 再計算額と実際の返済額の差が、毎月の先送り額にあたる
  4. 借り換え候補の金利で、残債から新しい返済額を計算する
  5. その返済額と諸費用を、続けた場合の総額と比べる

先送り中の借り換えについてよくある質問

先送りされた差額は借り換えで消えますか

消えません。先送りは元金の減りが遅れる形で残債に残っているので、借り換えのときはその残債がそのまま新しい借入額になります。このサイトの計算でも、改定直後の残債27,351,804円を新しい借入額としています。実際の精算方法は契約により異なるため、金融機関にご確認ください。

借り換えると返済額は上限まで戻りますか

戻りません。上限は前の契約の決まりなので引き継がれず、新しい返済額は残債と新しい金利から決まります。同じ金利2.6%で借り換えた場合、算出では109,500円で、上限の99,010円より10,490円高くなりました。

上限で止まっているうちに借り換えた方が有利ですか

金利が下がるかどうかで変わります。この算出では、同じ金利での借り換えは総額が490,223円増え、1.8%まで下げられた場合は3,511,570円減りました。上限で止まっていること自体が借り換えの理由になるわけではありません。

まとめ

  • 上限で返済額は99,010円に止まるが、再計算額は109,616円。差10,606円は残債に残る
  • 借り換えると上限は引き継がれず、同じ金利でも返済額は109,500円になる
  • 同じ金利での借り換えは総額が490,223円増えた
  • 1.8%まで下げられた場合は総額が3,511,570円減った